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「捨てる」は自分の至らなさを認めて前に進むこと/近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法」
久しぶりにコンマリこと近藤麻理恵さんの処女作「人生がときめく片づけの魔法」を読んだ。
この本の内容はいたってシンプル。片付けられると人生が変わる。そして片付けるために大切なのは捨てること。
ちょうど引越しが迫っていて日々捨てる、を意識していたからとても刺さった。特に、この一説が心にずしんときた。
苦い記憶が蘇る。ヤヌークのカラージーンズについて。伊勢丹のカウンセリングサービスに申し込み、何も買わないのも、と思い、と薦められるがままに購入を決めた。
実は何回履いてもピンと来なかった。ただ伊勢丹のスタイリストがおすすめしてくれた、ということが「捨てる」の障壁になって、結果、似合わないな、と何度も思いながら履き続けた。
1年前、落ちないシミがついてようやく、捨てる、と決断できたのだけれど、本を読みながら振り返ると、似合わないと思いながら着続けた自分が情けない。
そして部屋を見渡した時に、似たようなアイテムが色々あることに気がつく。数年前にネットで話題になったクリスマス限定の、有名香水店の香水詰め合わせセット。年に一度しか買えない、人気の香りがある、予約しないと買えない、ということで興味を持って購入。ところがどの匂いもピンと来なかった。それでもせっかく買ったし、とたまにつける。その日は一日中、この香りあまり好きじゃないな、と思いながら過ごすことになるのだけれど。
服もピンと来ないアイテムが多い。たとえばセールで買った、好きなブランドのカットソー。安いし、と購入を決め、買ったからには、と着るのだけど、形はいいけど色はそこまで好きじゃなく、着るたびにモヤモヤ。綺麗なシルエットのロングスカートも気に入ってはいるけど縫製がイマイチで、ふと不揃いなミシン目をみると残念な気分になる。ほかにも、着ているとよく褒められるものの自分的にはピンと来ないカーディガン。高かったし、カシミヤだし、と1シーズンに1回くらいしか着ないセーターetc…
コンマリさんの本を読みながら、ときめかないけど捨てられないものが次々見つかり、そして自分の至らなさを痛感する。そして至らなさを痛感するから、捨てることの重要性がしっくりくる。
余計なものを所有しつづけることは、自分の価値をすり減らす選択だと思う。片付かない上に、自分のいけてない選択から目を背けている。そんな自分と決別したい。すっきりした部屋で、すっきりした気持ちで毎日を過ごしたい。服に袖を通すたびに、この服そこまで好きかな、なんて考えなくてすむように、香水コーナーの香水は、どれをつけてもいいように全部自分の好きな香りに。
それが実現することを考えたら、なんだか気持ちが華やいだ。そして本を読みおわった今、断捨離が大いに捗っている。
私にとってのいい本とは自分の行動や価値観を変えてくれる本のこと。コンマリさんのこの本は、まさに、そんな気づきを与えてくれるばかりか、行動まで変えてくれた、本当に大事な一冊なのだと気づく。