夫への愚痴をこぼしちゃいけない相手
それは娘。3歳。
不意の一言も気をつけねばとハッとさせられた。
娘はここ10日体調が優れず、ずっと二人でいる時間が多い。保育園のこと、夏休みにしたこと、半年も1年以上前でも覚えていること。色んな話をする。
誕生日話題も多い。次は誰が誕生日で、どうやってお祝いしたかという話。
「むすめちゃんはねー、3さいのお誕生日はピカチュウのケーキやったねー。つぎはパパの誕生日だっけ?!あれ、ママだっけー?」
「パパはママのお誕生日を、お祝いしてくれなかったから」
話の流れで不意に出た台詞。
少し時間が経ってまたも娘が
「パパ、ママのお祝いしてくれなかったもんねー。ほんとかなしいよねー。なんでだろうねー」と、先ほど話した一言から話題を展開しているではないか。
まずい。
不意にはいた言葉をよく覚えている。
慌てて
「ううん、パパお祝いしてくれたよ。ごはん食べに連れて行ってもらったんだー。そうだケーキも食べたね、3人で!」
と思いっきり会話をかぶせる。
「そうだ、わたしはブルーベリー。ママは桃。パパはチョコ。パパのチョコもおいしかったなー」
これまたよく覚えてる。
なんか適当にカフェでお祝いとなったのが嫌だったんだけど、娘ですら、あれはママの誕生日と認識しているのねー。と、苦い思い出と一緒に振り返る。
夫源病発症から早1ヶ月。
息をするように出る彼への愚痴を改めねば。
記録装置が真横にいるぞ。
私の判断ミスでボロボロになった肌の娘は、何事もないように楽しかった思い出をひたすら話してくれる。
「ママだーいすき。イヤとか言わないでね、悲しいから」
疲れて「もう嫌や」とつぶやくと、すかさず掬ってくれる娘。
心に留まりきれずぼとぼと落としていく言葉を、後ろからひとつずつ全部ひろってくれる娘。良いことも悪いことも、あっそれ秘密ねってことも。
娘だけど、3歳だけど、あなたは大人ですかって反応をする娘を愛おしみつつ、夫への愚痴だけは呼吸を止めてでも言わないようにしておこうと誓う二人きりの時間。