ネトゲ恋愛研究家をやっています
こんばんは、おげんきですか日本列島。わたくしマキさんと申します。先日noteを始めたばかりなのですが、自己紹介もせずいきなり東京五輪のことなど論じてしまい、全米を驚かせてしまいました。
そこで今日は、自己紹介代わりに、わたしのライフワークであるネトゲ恋愛研究についてご紹介するしだいです。
ネトゲ恋愛とは何か。ネットゲームの仮想空間で出会った人どうしが恋愛関係に発展すること、と本学術院では定義しております。ひじょうにシンプルですが、ゲーマーでもオタクでもない一般の人々がこのシンプルな説明だけで「ああはいはい、そういうのも最近はアリだよね」と飲み込める時代がついにやってきたことに、自称研究者であるわたしは深い感慨を覚えています。
わたしがネトゲ恋愛研究を始めたのは2015年7月でした。たった6年前ではありますが、そのころまだ日本人の多くはネトゲ恋愛を受容していなかったと言えると思います。当時、周囲の友人たちと、休みの日って何してんの~的な話題になって、自分はネトゲ恋愛を研究対象として日々データを集め、仮説検証を繰り返しているなどと言おうものなら「前からやばいと思ってたけど、ついにあんたクるところまでキちゃったんだね」と可哀想がられたというか、ふつうに気味悪がられました。
そう、気味が悪かった。2015年、あのころ世間はいい大人になってもまだゲームやアニメ、マンガの世界から還俗しない人々を気味悪がり、疎外する空気が支配的でした。ネトゲなんてもう論外中の論外で、妙齢の独身女性が夜な夜な仮想空間で知らない人とパーティ組んで死にものぐるいでレベルあげてるなんて、同じ趣味を持つ者以外には決して語れない禁忌の時代でしたねあれは。
で、また、ネット上で男女が出会う恋愛にも、別ベクトルからのキモい怖いありえない、そういう視線が注がれていました。いわゆる出会い系サイトなどネット由来の犯罪が増加したことから、ネット上の行為も規制対象とするべくストーカー規制法の改正が決まったのは翌2016年のこと。おいおいおい目ェ覚ませよ、ネットでまともな恋人ができるわけねーだろ、というのがこの時代でした。
したがって諸君、ゲーム×ネット恋愛なんていうのは当時思いつく限り最悪のコンボであって、ネトゲ恋愛をしている当の本人たち自身、どこか後ろめたさを感じながら息をひそめて生息していたものです。
わたしは、そんなほの暗い秘密の花園でひっそりと人を好きになったり嫉妬したりフったフラれたを繰り返す人々の生態にハマってしまいました。自分自身がネトゲ恋愛に身をやつしたわけではないのですが、かれらが営む独特の恋愛様式といいますか、ゲーム内におけるモテのコツだとか、相手探しのメソッドだとか、付き合ったらゲーム内でお洒落してスクショ撮るだとか、別れるとお決まりのように「とっても大切な相方さんとサヨナラしてしまいました…」って日記をネットにブチ上げるだとか、そういう「何やってんだ一体この人たちは」っていう愛すべきエヴリシングを、全部ひっくるめてわたしはネトゲ恋愛文化と名づけて研究することにしたのです。
わたしが主に研究対象としているのはドラゴンクエスト10というネトゲです。わたし自身も7年来のプレイヤーであります。
ドラクエ内ではこのように白衣とチョビひげの研究員スタイルでプレイしておりまして、ドラクエブロガーでもあることからゲーム内で会う方々に「あ、マキ学長だ」、「マキさん意外と装備しょぼいんだね」、「話してみたら、思ってたよりマトモな人だった」とか言われたり言われなかったりしています。
このゲームはドラクエというブランド力の強さゆえ、いわゆるコアゲーマー層というよりはフツーの人々が集いやすい世界になっているとわたしは思っています。ドラクエ好きのフツーの会社員、フツーのOL、フツーの大学生、そんな人々が、たまたま手にとった初めてのネトゲであるドラクエ10で、まさかのネトゲ恋愛に落ちる。絶対にありえないと思っていたネット不倫にはまる。ネット失恋という、どう処するべきか誰にも相談できない事態に煩悶するわけです。
で、界隈にはネトゲ恋愛否定派が存在し、一部の過激派は晒し行為などのオフェンシブな嫌がらせをする。ゲーム運営サイドは、天下のドラクエブランドが出会い系化しないよう、監視統制に腐心する……。オーケイ、エブリシング イズ オールライト。人はどこへ行っても、どうしようもなく人であり、人が集まればたとえメタバースの中であれ社会ができ、その中でわたしたちは現実と同じようにつるんだり喧嘩したり恋愛したりしている。
そしてゲームの中でも、リアルの社会と同じように流行や衰退があるために、ドラクエ内恋愛のあり方も、サービス開始以来9年という時とともに変化してきました。その変化のひとつひとつを、手に取ってヨダレたらしながら眺め、データを集め、ネトゲ恋愛文化論とかなんとかそれっぽい名前をつけてレポートをしたため続けているのがわたしという真性の変態です。
もともとは、マキさんのドラクエ総合大学というゲームブログで研究成果を発表していましたが、このほどドラクエ業界をとびだし、ずうずうしくもnote界にネトゲ恋愛研究をぶち込むに至りました。
noteには前々から興味はあったのですが、ナゼ「今だ!」と思ったのかというと、要因はまちがいなくコロナ禍です。コロナ禍が時代を変えたからです。
思い起こせば8年前。わたしはニューヨークで地下鉄に乗っていました。先天的に方向感覚を欠いて生まれたわたしにはNYの地下鉄網はわかりづらく、迷いに迷ってようやく乗れた電車に座り、やれやれと顔をあげたその時。目の前に現れたそれは世界最強出会い系サイトMatch.comの中吊り広告でした。
てんしょんあげあげパーリーピーポーの写真を背景に、世界一出会えるサイトでYOUもGO!STEADY!的なピンクのキャッチコピー。
OMG!公共交通機関に出会い系の広告が踊っているなんて!やっぱアメリカは前衛的だな、日本でこれやったら高潔なる消費者戦士さまたちのサンドバッグにされちまうぜー!とか考えながら、IT最先進国の爆進を、口を開けて眺めていたあの日から、8年。
(動画出典)Pairs公式サイト 株式会社エウレカ
こちら、数ある出会い系…もといマッチングアプリの雄であるPairsの公式ムービーです。ネット上だけだろうと思っていたらある日TVでもCMが流れたのを見て、わたしは感極まったのです。とうとう日本のネット恋愛は、お茶の間にCMを流せるに足る市民権を得た……!
この文明開化をもたらしたのは他でもない、コロナ流行による外出自粛モードでした。仕事も行けない、食事も行けない、当然出会う場所もない。じゃあしょうがない、今までは絶対嫌だと思っていたネットの出会いを試すしかないじゃんか。いや、誤解しないでね。致し方なく、よ? ほら。コロナだから。やむを得ず。ね。試すだけだから。マジで出会いあるなんて思ってねえし俺だって。
っていう人が増えた結果、ビジネスや買い物や生活の何もかもがネット空間で済むようになった結果、いともあっけなく大衆はネット恋愛を受け容れました。出会い系の祖と呼ばれるMatch.comがアメリカで生まれた1995年から、じつに26年。日本で、ここにきてようやくネット発の恋愛が普及しつつあるわけです。
だからわたしはnoteに来ました。今なら、ネットゲーマーでない方がたにも、わたしの研究について語れると思ったから。そして、今後さらに変化するであろうネット恋愛は、ゲームの領域からのみ研究していては、研究結果に信ぴょう性がなくなると考えたためです。
さて気づけばこの記事も3200字、時刻も23時になろうとしております。マキさん疲れちゃったんで、今日はここらへんにしといてやる、気が済んだからな!
というわけで、もう眠いんで寝ますが、わたしの自己紹介代わりに、わたしのnoteにおける背骨となるであろう、ネトゲ恋愛研究の概要についてお伝えしました。
さらに詳しく知りたい、マキさんがやる気出して次の記事書くまで待てない、という頭のおかしい方は、ブログのほうまでお越しください。ブログはおもにドラクエ10プレイヤー向けのため、専門用語やネット用語がたくさん出てきますが、ここまで読んでくださった頭のおかしい皆さんならきっと乗り越えてくれるでしょう。そう信じて、わたしはもう寝ます。
【参考資料】
■「ドラゴンクエストXオンライン公式サイト」株式会社スクウェア・エニックス
■「インターネット歴史年表」JPNICアーカイブス
■「出会いなき社会人2年目、不安半分で使った「マッチングアプリ」に見た仕事との共通点」2021年4月27日 日経クロステック
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