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コンテンツ月報:2024.6

今月、映画館で鑑賞した映画は4本。河合優実さんのインパクトが強めな6月でした。
そしてドラマ「アンメット」に、最終話放送翌日にハマりました。まだ余韻に浸っています、最高です。


1.あんのこと

河合優実さんが大好きです。生涯推したい俳優さんは松坂桃李さん…と心に決めているのですが、同率1位って感じです。
昨年NHK BSで放送された「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の主演で本格的に心を撃ち抜かれていて、今最も“信頼できる”演者さんだと思っています。期待を遥かに超える演技を観せてくださるなと…!

この日は職場から定時ダッシュして、テアトル梅田へ駆け込みました。普段、映画鑑賞は休日にと決めているのですが、多忙な時期だったことと、この作品は“娯楽として消費”したくないなと思ったからでした。
仕事脳のまま、現実世界の延長で対峙したかったというか。私にとって、休日に観る映画は異世界に連れていってくれる扉のような存在で、でも「あんのこと」は、自分の地続きの作品なんだろうと、鑑賞前から感じていました。

鑑賞後

「あんのこと」を観ながら、後半はずっと頭の片隅で(自分は一体なんのために、この命を使うんだろう)と考え続けていました。不条理で、不公平で、なんでこんなに私と彼女は違うんだろう、それは断じて彼女の所為じゃないのに。
隣の席の若い女性が泣いていて、泣けることが羨ましいなと、ふと思いました。私は彼女たちの親の世代になってしまったからか、むしろ、虚無と絶望と、社会への怒りの方が強かったのだと思います。そして、こんな社会にしてしまった申し訳なさと。
テアトル梅田を出て、スカイビルの七夕飾りだとか、新梅田シティからうめきたエリアへ続く夜景のキラキラしているビル群をみて、なんだよこの差は、と思っていました。
何時間経っても余韻がすごくて、こんなにひとの命、心に寄り添った映画ってあるんだな…としみじみ感じていました。

杏を演じた河合優実さんは、本当に最高でした。何処にでもいるようでいて、でもそこに居るだけで目を惹く、意識を持っていかれてしまう佇まい。
けれど“顔”で演技をしていなくて、全身で、杏を生きていました。なんだか、歩き方、話し方、座り方、ペンの持ち方すべてが、全体的に“12歳位の所作”に見えて。人は社会の集団生活の中で、立ち振る舞いを覚えていくものなんだな…と、改めて思いました。
杏を支える佐藤二朗さん、稲垣吾郎さんもアクが強くて、滲み出るものがあって、本当に良かったです。
撮影(特に光の感じ)もすごく良かったです。ラストシーンの、ベランダと空の感じは、ちょっと忘れられない光景です。

「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。

売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。

「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。

映画.com

テアトル梅田にサインがあって感激しました。
シネ・リーブル梅田から変わったこちらの映画館、改装もされて、さらに過ごしやすくて素敵にリニューアルされましたね。これからも、仕事終わりに通いたい映画館です。

テアトル梅田にて、河合優実さんのサイン!


2.違国日記

う、うむ…。という。ヤマシタトモコ先生の作品の映像化は、本当に難しいのかもしれないなあと…。
早瀬憩さんが良かったです。勿論、新垣結衣さんも!演者さんと撮影は、すごく好きな感じでした。

「ちがう国の女王の王座のかたすみで眠る」のフレーズが無かった気がするのすが、それは…何事???と、今でも思っています。あの場面は、ビジュアルとモノローグで、しっかり描いてほしかった…!

コミック誌「FEEL YOUNG」で2017年から2023年まで連載されたヤマシタトモコの同名漫画を映画化し、人見知りな女性小説家と人懐っこい姪の奇妙な共同生活を描いたヒューマンドラマ。

大嫌いだった姉を亡くした35歳の小説家・高代槙生は、姉の娘である15歳の田汲朝に無神経な言葉を吐く親族たちの態度に我慢ならず、朝を引き取ることに。他人と一緒に暮らすことに戸惑う不器用な槙生を、親友の醍醐奈々や元恋人の笠町信吾が支えていく。対照的な性格の槙生と朝は、なかなか理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに、家族とも異なるかけがえのない関係を築いていく。

新垣結衣が槙生役、オーディションで抜てきされた新人・早瀬憩が朝役でダブル主演を務め、槙生の友人・醍醐を夏帆、元恋人・笠町を瀬戸康史、朝の親友・楢󠄀えみりを小宮山莉渚がそれぞれ演じる。監督・脚本は「PARKS パークス」「ジオラマボーイ・パノラマガール」の瀬田なつき。

映画.com
OSシネマズミント神戸にて


3.ルックバック

公開初日に観ました。原作が大好きで、だからこそ(アニメ映画にする必要があるのか?)と心のどこかで思っていて、でも河合優実さんが藤野を演じるなら大丈夫だ…と信じて。

(大事に育ててくれてありがとう)と思ったのでした。大切なふたり(藤野と京本)が、「ルックバック」というお話が、色付いて、動いて、声を発して、生きていた。嬉しい。生きてるんだ!と泣けました。
原作にはないエピソードを過剰に足すことなく、“あの場面”を“そんなふうに動いてたんだ”“そんなふうに笑って、走って、泣いてたんだ”と見せてくれるのが、本当にすごく素敵なことでした。嬉しくて、愛しい58分間でした。
公開初日とはいえ、平日の劇場がほぼ満席だったし、隣の若い男性がぐしぐしに泣いていたし、この映画館にいる全員が「ルックバック」をめちゃくちゃ好きなんだなあと思うと、すごくしあわせな気持ちになりました。

「漫画を描くのは本当に大変」のシーン。そう、本当に大変。でも、なんであんなに楽しいんだろう。私はクリエイターを目指したことはないけれど、友人と創作に夢中になっていた時代があったので、あの頃の情熱を懐かしく思い出しました。そういう喜びが、大切で宝物みたいな日々が、これからも、藤野が進んでいく光になるんだろうなと。

読み手(ファン)と作り手の解釈が完全一致な映画でした。本当に、すべてが最高で、神作画だし演出も音楽も最高だし、そして河合優実さんと吉田美月喜さんが本当に本当に、ほんっっっとうに素晴らしかった!!!「ルックバック」大好きだー!!!

「チェンソーマン」で知られる人気漫画家・藤本タツキが、2021年に「ジャンプ+」で発表した読み切り漫画「ルックバック」を劇場アニメ化。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」や「君たちはどう生きるか」などさまざまな話題のアニメに携わってきた、アニメーション監督でアニメーターの押山清高が、監督・脚本・キャラクターデザインを手がけ、ひたむきに漫画づくりを続ける2人の少女の姿を描く青春ストーリー。

学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトからも称賛されている小学4年生の藤野。そんなある日、先生から、同学年の不登校の生徒・京本の描いた4コマ漫画を新聞に載せたいと告げられる。自分の才能に自信を抱く藤野と、引きこもりで学校にも来られない京本。正反対な2人の少女は、漫画へのひたむきな思いでつながっていく。しかし、ある時、すべてを打ち砕く出来事が起こる。

ドラマ「不適切にもほどがある!」や映画「四月になれば彼女は」「ひとりぼっちじゃない」などで活躍する河合優実が藤野役、映画「あつい胸さわぎ」「カムイのうた」などで主演を務めた吉田美月喜が京本役を担当し、それぞれ声優に初挑戦した。

映画.com
前売券特典のしおりが嬉しかった
特典の小冊子、鑑賞後に読んで良かった…!

押山監督のインタビューを拝読して、やっぱりもう一回、映画館で観たい…!と、強く思いました。ロングラン上映になってほしい!


4.#つぶやき市長と議会のオキテ【劇場版】

自分が広島出身であることと、政治ドキュメンタリー映画が好きなので楽しみにはしていたのですが、2日前に観た「ルックバック」の余韻に浸りたくもあり、鑑賞するかどうか迷っていたのですが。
けど、想像以上に、めっちゃくちゃ面白くて!観て良かった…!と思いました。

政治ドキュメンタリー映画って本当にいろんな切り口があって、今作も本当にいろんな面の「面白さ」が凝縮されていたのですが、今の私は「組織課題の問題」面の印象を強く抱いています。宇田川先生の「他者と働く」を読んだ方がいいと思うよ…!と思うなど。

7/8追記▼

今回の東京都知事選を眺めていて、ある意味この映画は“公平”に描かれすぎていて、石丸氏の言動を薄めすぎていた(あるいはストーリー仕立てにしすぎた)のかなと感じています。
“政治”や、“その土地に生きる市民”の思いを汲み上げるタイプではないんだな、と思ってしまいました。映画の冒頭では、そんなふうに感じたのですが。変節があったのかな…
チキさんの番組でのインタビューを観て、強く感じました。44:37〜より。

7/8追記ここまで

石丸市長の、市議会に対する物事の進め方や苛立ちが、自分にも身に覚えがありすぎて…妙に共感してしまって、そういう意味でも面白かったです。私も攻撃的にバッサリ行きたい武闘派で、無用なconflictを起こしがちだったので。
組織改革には仲間づくりが必要で、でもあの議会で果たしてそれが可能なのか?本当に難しい。でも確かに何かが変わり始めていたのも事実で、2期目にチャレンジしないのは惜しいなあと思いました。公募での副市長が就任できていたら、議会との間に「橋」を架けてくれたんじゃないかなと思うと、惜しいですね。
でも石丸市長のように、バサバサ切って爆弾落としまくらないと短期間で爪痕を残すことすら難しいし、注目を集めたからこその現状ってのもあるんだろうなと。議会との喧嘩に終始せず、市民との対話をひたすら大事にして、理解してもらったり、結果、自分も変わったり…という時間があったら良かったね…と思いました。

7/8追記②
そういう感じじゃないみたいですね。完全に見誤ってました。反省です。

こういう状況は、日本のあちこちで多かれ少なかれ絶対にあって、石丸さんのおかげでシチズンシップが前進したなら先進的事例だよねと思うけど、もうちょっと平和的な進め方もあったんじゃないのかと。
一方で、政治は生活に関わる事だから、本来、施政者にはなるべく失敗なく進めていただきたいけど、初めから100%うまくいくことなんてなくて。今よりちょっとだけマシな明日を、皆で泥まみれ・血まみれになりながらも掴み取って、3歩進んで1.5歩下がる位でもいいからちょっとずつ進めていかないといけない。でも大事なのは「マシな未来を」と望むこと。そういう意味で、未成熟な方がトップについても、どうしても分かり合えないことで喧嘩をしたとしても、一緒に育っていこうよ、マシな明日を作ろうよ、という諦めなさが必要だなあと改めて思いました。

7/9追記③
“今日よりもマシな明日”を一緒につくりたい!と思える人が
リーダーになってくれる未来を掴みたいですね。
その為には、SNSで呟いているだけでは、本質的に無理だなと感じました。
政治のことは、もっとちゃんと“言葉”を交わさないと。
やっぱりリアルでの対話しかないのかな…などと思ったりしています。
だから今回の都知事選で、SNSを駆使して若年層の票を獲得できたのは、
ブレーンのマーケティング手腕が恐ろしく長けているってことで。
そこにどう対抗していくのか。まだ答えが見出せていない宿題です。

SNSを中心に全国的に話題となった広島県安芸高田市議会と石丸伸二市長を巡る騒動を追った広島ホームテレビ制作のドキュメンタリー番組に、未公開映像と追加取材を加えた劇場版。

広島県北部に位置する安芸高田市では、2019年参議院選挙を巡る大規模買収事件で河井克行・河井案里夫妻から現金を受け取ったとして、当時の市長と市議3人が辞職した。2020年8月に実施された市長選で市民が選んだのは、政治経験の全くない37歳の元銀行員・石丸伸二氏だった。石丸市長は「政治の見える化」を掲げてSNSで積極的に情報発信を行い、市民からの期待も高まっていたが、効率的で持続可能な市政を目指して忖度なしで進める石丸市長の手法と、根回しを重んじる議会との間には軋轢が生じていく。その経緯を次々とオープンにする石丸市長のSNS投稿が決定的な亀裂となり、事態は議会とSNS、さらに法廷までをも舞台にした騒動へと発展する。

市長誕生から3年間にわたって取材を続け、市長・議会・市民など地方政治に関わる複数の視点から事態の顛末を描き出す。

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元町映画館にて



5.アンメット ある脳外科医の日記

最終回の放送直後、あまりにもSNSで評判が高かったので、休日に一気見しました。すごかった…!本当に、奇跡のようなドラマだったんですね。
リアタイできなくて本当に悔しいのですが、最終回の翌日に一気見できて良かったです。ファンの皆さんの余韻と情報の洪水に、一緒に浸らせてもらえて幸せです。

放送中、ずっと評判が良かったので、なんとなく気にはなっていたのですが、杉咲花さんのクランクアップコメントをTwitterで見て、そんなに素晴らしい現場で生まれるドラマってどんな…!?と興味が湧いたのでした。Netflixで視聴できてありがたいです。海外の方々にも視聴してほしい、早く各国の翻訳がつきますように!と願っています。

「アンメット」は、各話・各シーンの構成が素晴らしすぎて、改めて1話から11話まで丁寧に見返して、演者さん達の演技と、演出・編集の巧みさと、撮影や美術の丁寧なお仕事ぶりについて語りたいことがありすぎるので、別途noteにしたためたいです。こんなにハマったのは「アンナチュラル」「MIU404」以来です。思い出すだけで胸がいっぱいになる感じ。

このドラマが月曜22時〜に毎週放送されてたんだなあ。日本すごいじゃん!と本当に思います。全部が全部、このクオリティのドラマを!というのは無理だとわかってるけど、1,2クールに1本位は、こういう丁寧な「神は細部に宿る」の権化のような作品がTVで見たいです。時間と予算が必要だとわかっているけど。

どのシーンも本当に素晴らしいのだけど、やっぱり9話のあのシーンは、ちょっと忘れられないです。

前回放送の9話は、『アンメット』チーフ助監督の日高さん(※高=はしごだか)が監督をしていて、ずっと傍らで見てくれていた方だったというのもあって、自由にやらせてもらいました。最後のシーンは、14分長回しだったり。近くで見ていてくれたからこそ、撮れた画(え)がたくさんある。照明部、撮影部、録音部、演出部という各部署が力をあわせていろんなアイデアを出して一致団結できたなと思います。撮影前のリハーサルでは数十人のスタッフが輪になって芝居を確認して1カットのために1時間以上セッティングして全員緊張してカメラがまわる。最高に贅沢な時間でした。

『アンメット』“三瓶”若葉竜也が「実は…」と明かす「わりとバレてない」これまで&ラスト2話【長文インタビュー】

そしてまじで!?と慄いた最終話の場面に関するTweet。凄すぎる…!


Yuki監督のインタビュー。制作秘話を読んでこんなに「マジで!!?」と叫んだことはないです。凄すぎる…!

コーヒーショップの店員さんこと今泉監督、完全同意です。TVドラマだからこそ、という面も確かにある。

とても素敵な感想note、共有させていただきます。


7.働きマン

働きマンの新刊!!描き下ろしは表紙イラストだけだったけど、それでもめちゃくちゃ嬉しかったです!

ニュースでしたほんと。
久々に1〜4巻を一気に読み返して、あーやっぱり良き!!!好き!!!と実感しました。ひとつひとつの台詞が、表情が、沁みました。私は働きマンとthee michelle gun elephantとカープに支えられて若手時代を生き抜いてきたので。
5巻、めっちゃ良かったです。この後の松方はどうなるのーーーと思うけど、続きがわからなくてもいいか、とも思います。その方が、松方が何処かで生きてる感じがするもんな、と。


6月もコンテンツ充できました!「ルックバック」と「アンメット」は、7月にも持っていきたいと思います!

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