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そんなに怒らなくても…とばっちり??
私が書店員だった頃の話だ。
世間では「アナと雪の女王」という作品が大ブームになっていた頃だった。
興行収入がいくらを超えたとか、
レンタルショップのDVD枚数を増やしても間に合わないほどだとか、
そんな話題が大きなニュースにもなっていた。
私はといえばあまり映画に興味がなく、
「アナと雪の女王」を鑑賞したこともないし、
そもそも興味もないところに、
拍車をかけての過剰人気が鑑賞意欲も下げていたくらいだった。
ある出来事をキッカケに鑑賞せざるを得なくなる、、、。
書店では「アナと雪の女王」の関連書籍もとにかくよく売れていた。
レジに立つ度に何度も見る。
「話題通りすごい人気だなぁ」
と感じずにはいられなかったくらいだ。
どれがアナなの??
パッと目に映る表紙を見ても、誰が「アナ」なのかさえ知らなかったし、
知らなければ知らないままで、販売する上では問題ないだろうと考えていた。
この白い物体は何なんだろう??
そんなある日、「オラフ」を主役に描かれた絵本が新刊として発売された。
記憶はおぼろげだが…確か
「オラフのぼうけん」
というような感じのタイトルだったと思う。
もちろん私はどのキャラクターがオラフなのかというのも
インプットされていない状態。
事件は起こる!?!?
発売から2週間弱が過ぎた週末。
若めのお母さんと女の子、男の子の親子がレジにやってきた。
2人のお子様がそれぞれ本を手に持っていた。
男の子が手に持っていた本はあの「オラフのぼうけん」だった。
「オラコ~」と言いながら男の子がレジにいた私に渡してきた。
その瞬間「このキャラクターはオラコという名前なんだな」と認識した。
オラフっていうネームもチラっとは聞いたことがあるが、
なるほど!「映画内では男の子が言うオラコという愛称で呼ばれているのだろう」
女の子と男の子の袋をそれぞれ分けて入れてほしいとのことだったので、
どちらに何が入っているかわかりやすいようにと、
男の子にお渡しする際、
「はい、オラコの本ね」と言って渡してあげた。
、、、、、、、、、、、、
しかしその瞬間!!予想だにしないことが起こった
「オラ、フ!!ね!!」
お母さんがかなり強い口調で怒るように言った。
恐らく私が「オラフ」と知っているにも関わらず、
「オラコ」と間違ったことを子供教えているのだと
勘違いされてしまったのだと思う。
子供に言うフリはしていたが、
大声かつ強い口調で私にも注意しているという感じだった。
やはり私も怒られたと体が反応してしまい、本当に心に大きなショックを受けた。
これ、「とばっちりじゃない??」・苦笑
「間違えていたのはお客様のお子様なのになぁ」
「有名な作品とはいえ、
知らないとこんなにヒドい目に合わなければならないのだろうか!?」
レジ番が終わっても就業時間はその日は
大きなショックを引きずってしまい落ち込んでいた。
どんな作品であれ映画を鑑賞すること、しないことは個人の自由
どんな作品であれ映画を鑑賞すること、しないことは個人の自由だが、
「映画一つ見ていないくらいでこんな思いはしたくない!」
という気持ちが強く残った。
そこから変に火がついてしまい、
その日の帰宅途中にレンタルショップで「アナと雪の女王」を即レンタル。
そこまではよかったものの、
レンタル後からなかなか鑑賞する気になれず返却期限が迫っていた。
大きな痛みだった
ショックは残ったままだった。
「もうあんな思いはしたくないし、今後もブームは続くだろうし一応観ておくか」それぐらいの軽い気持ちで鑑賞した。
それまで幼児向けの映画だという先入観が強かったがイメージは変わった。
すごく感動したのだ!!
人気の理由もわかる気がした。
どのキャラクターが「アナ」で雪の女王は「エルサ」を指しているということ、
そしてエルサが作り出したのが「オラフ」だったこと。
映画にはオラコという言葉は出ていなかったことを。
もう間違えることはない!!
これで堂々と関連書籍も販売できる!!
大きな安心感を感じた・笑
生きている上で最低限知っておかなければならない知識はあると思う。
それが書店員だったからといって
「アナと雪の女王」を知らないと働けないということはないはずだ。
人は何かのキッカケで変わることが多々ある。
この出来事がなかったら私は今も
「アナと雪の女王」は鑑賞していなかったと思う。
繋いでくれたのは間違いなくあの親子だ。
キッカケを頂き、ありがとうと伝えたい。
あの男の子も今はもう大きくなっているんだろうなぁ。
お母さん相変わらず怖いかな? 笑