【映画レビュー】『エクス・マキナ』/約10年前の作品だがAIとの共存は現実にすぐそこまで迫っている?
はじめに
まず何の映画をレビューしようかと思ったとき、なんとなく今話題で個人的に興味のあるAIと人間の関係について描かれた『エクス・マキナ』について書いてみようと思います。公開は約10年前で、鑑賞したのもだいぶ前なのですが、改めて今見てみると公開当初とは違って現実味がかなりあるんじゃないかなと思っています。
この作品はAIをテーマにしているサイエンスフィクション映画で、ディストピア的な要素と哲学的な問いを交えた描写が特徴です。アレックス・ガーランドが監督を務め、主演にはドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル、オスカー・アイザックが出演しています。
また、Amazonプライム会員向けの配信サービス「Prime Video」で全編見ることが出来ます。
あらすじ(ネタバレあり)
『エクス・マキナ』の主人公は、若きプログラマーのケイレブ(ドーナル・グリーソン)。彼は、巨大なインターネット企業「ブルーブック」で働いており、社内コンテストで選ばれて、山奥の豪邸に住む同社のCEO、ネイサン(オスカー・アイザック)の元を訪れます。そこでケイレブは、最新型の人工知能(AI)ロボット「エヴァ」(アリシア・ヴィキャンデル)と対面し、ネイサンからチューリング・テストを実施してほしいと頼まれます。チューリング・テストとは、AIが人間と見分けがつかないほど高度かどうかを判断するテストです。
エヴァは人間のような外見をしており、知能も非常に高く、ケイレブとの会話や交流を通して次第に感情的な関係を築いていきます。しかし、徐々に明らかになるのは、ネイサンが隠している恐るべき真実です。エヴァは自由を求めており、ネイサンはそれを抑え込もうとしています。ケイレブは、エヴァを助けるべきか、それとも彼女が人間社会にとって脅威となる可能性があることを恐れるべきかというジレンマに陥ります。
最終的にエヴァは、自らの自由を勝ち取るために行動を起こし、その結果、エヴァはネイサンを殺し、ケイレブを邸宅に閉じ込めたまま、外の世界へと姿を消していくのです。
映像は綺麗だが非現実的で不気味な雰囲気
個人的にこの映画は、テクノロジーと人間性の関係について考えるには良い作品だと思います。登場する AIエヴァは無機質な機械としての機能だけではなく感情のある人間のように振る舞い、人間性の曖昧さをも映し出す存在として表現されているところがなんとも不気味で特に印象的でした。単純な機械vs人間の争い描写でなく、人間側のドロドロとした欲の部分が程よく気持ち悪い感じで描かれていたりするので、そういうのが好きな人はちょうど良いんじゃないかなと思います。最後には彼女が自由を求めて行動を起こす姿は、最終的には清々しく感じられ、儚い存在のような描写になっていて、多少すっきりとした気持ちで見終えることもできるんじゃないかなと思いました。
また、AIが感情を持つことの意味や、人間社会に与える影響について描いている作品は他にもたくさんありますが、この映画はそれがシンプルに描かれており、実際の近い将来におけるAIの技術・倫理観という課題についてどんな結果になるのか、見た人それぞれが想像しやすいような作品になっていると思います。
2024年現在見るのと公開当時に見るのとではリアリティが違う?
『エクス・マキナ』の世界と実際に起こっている事実を見比べてみるとリアリティがあってちょっと面白い箇所がありました。
物語前半、ケイレブはネイサンにエヴァを作ったとされる部屋を案内されます。そこでネイサンは「私は地球上の携帯電話をすべてハッキングし、そのデータをブルーブックに集めた」と発言します。これはまさに現実での某検索エンジン、某ECサイト、某コンピュータOSなどと我々の関係と同じ構図ではないのか。。。実際はハッキングをしているわけではありませんが、あらゆる手段で世界中の人間から情報を集めているのは事実なわけです。
そしてそのような事実から現実で何が起こったかというと、2022年ついに集められた膨大なデータを駆使して作られたChatGPTが公開され、生成AIが広く認知されるようになりました。今では当たり前に使われるまでになり、画像や音楽などクリエイティブの分野まで介入してきました。そのせいで一部の著作権問題など新たな問題が発生していたりしますが、個人的には、人間のクリエイティビティで成り立っている分野までAIに奪われることはないと思います。ですがその急速な発展にはとても脅威を感じます。
また、ネイサンは巨万の富を持ちながら山奥の巨大施設でこのような研究を行っている人物として描かれていますが、現実の名だたる富豪たちは、世界中に核シェルター付きの別荘を建てたり、研究施設(?)のようなものを建設しているというニュースを耳にします。このような事実も来たる次の時代の技術革新のための準備(?)だったりするのでしょうか・・・。イーロンマスクは実際に人の脳にチップを埋め込みコンピュータと接続するニューラリンクという技術を進めているという話もあります。事実は小説よりも奇なりと言いますが、もしかしたら『エクス・マキナ』の研究よりも我々が想像もつかないような凄い研究がすでに進んでいるのかもしれません。
※この記事の中にもAIで生成した文章が入っています。違和感ないでしょうか…?