変化の激しい時代に求められる教育とは?
2030年の未来を生きる子どもたちが、今、学び、身につけておかなければならない力とは何か。未来の視点から逆算して、今の教育の在り方を考える。どれだけ意識しているだろうか。どれだけ想像できているだろうか。だからこそ、今回は、ここを中心に考えていく。
何ができるようになるか。
知っているだけの知識、とりあえず使えるだけの技能。これだけでは、今の世の中ですら、スマホや機械の方が断然勝っている。つまり、身に付けた知識・技能をどのように活用し、課題解決に向けて自分でその方法をマネジメントしていくことができるか。これが、求められている力である。
つまり、昔は、暗記再生型。これからは、自分で考えて仲間に伝えていくアウトプット型である。そして、アウトプット型の学習では、学習を進める一連のプロセスを体験し、自分で創り上げることが大事である。授業のポイント 導入
目の前にあるけれども、子どもだけでは気付けない、気付いていない問題を浮かび上がらせる。つまり、子どもが持っている内なる問いを教師が引き上げ、子どもにとって身近で切実感のある問いへと変化させることが大事である。「問いの顕在化」という視点を教師が持つことから授業はスタートするのである。
では、「問いの顕在化」が生まれる課題設定を検討していくにはどうしたらいいか。それは、子どもたちにどうすれば、「問題状況への違和感」と「理想状況への憧れ」を持たせられるかという2つの視点で教材研究をすることである。これがあれば、子どもたちの中に、自分事となる問いが自然と生まれてくるのである。これと同時に、子どもたちには、2つの見通しをもたせることも忘れてはならない。それは、「プロセスイメージ」と「ゴールイメージ」である。どのように学びを進めていけばいいのか、どうすれば課題解決といえるのか、この2つの見通しが見えた時ほど、子どもたちの学びの原動力は強くなっていく。授業のポイント 展開
知識・技能を活用するには、自分の考えを述べ、友達の意見を取り入れながら、自分の中で知の再構成をしていく。そんな対話的な学びが求められる。対話と協働的な学習を行うことで、子ども自身の中にあった一つ一つの知識が関連したり、結びついたりして、構造化されていく。そのためには、質の高い学び合いでなければならない。単なる話し合いではなく、質の高い話し合いになっているかを見取るためには、子どもの中に「説明による構造化」「多様な情報収集」「関連付けによる知の創出」が見られるかを意識することである。また、教師は子どもたちが「どのような情報を持っていて」それを「どのように処理することを期待」しているか。その結果、「どのような成果を願っている」のかを単元の最初に想定しておくことが大事である。授業のポイント 終末
個々の学びを振り返り、熟考することが大切である。全体では、これまで同様、本時の学びを全体で共有することが考えられる。それと同時に、個々においては、新規と既知の知識の構造化や一般化、関係性を自身の中に落とし込んでいくことが重要になってくる。そして、本時や単元を通した自己変容を自分で認識できるようにすることが何より大事である。これを単元のまとまりの中で、どのようにバランスをとっていくかが、教師の腕の見せ所である。手ごたえやポジティブな感情
好奇心や社会的欲求から始まった問いに対する問題解決を通して、子どもたちのなかに充実感や達成感、自己有用感が育ってくる。こういった学びを繰り返すことで、学ぶことの楽しさや仲間と協力することの意義を見出していく。そんな学びを続けることが、2030年の世界を生きる子どもたちが身に付けなければならない資質・能力の獲得につながるのだろう。
過去に自分たちが経験してきたことは、イメージがしやすい。未知のことはイメージがしにくい。だから、無意識のうちに自分が子どもの頃に経験してきた学び方を子どもに伝えてしまっている場合は、きっと往々にしてあるはずである。
そんな時には、今、伝えている教育は、未来を生きる子どもにとって本当に大切な事なのかという視点を持ちたいものである。
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