エルニーニョ 

中島京子さん著

印象に残った文章と所感
・「小さな男の子エルニーニョは、このようにして世界中の気候を攪乱する」
本書の中で主人公のテルの人生は、ただの恋人からの逃亡からニノを助けるための時間に変わり、最後には生き方さえも変えてしまう。エルニーニョは数年に一度発生する気象現象だが、果たして人間は自分たちの生き方をどこまで変えただろうか?エルニーニョのようなきっかけはいつも発生している。変えるか変えないかは、結局人間次第なのかもしれない。

・「高松灰色は疲れた目をしょぼつかせた。それは、私たちにしても、何がベストの方法かなんかわからないのですと言っているようにも聞こえた」
人はみんな、その場その場で自分で考えうるベストな選択をしてきているはずだ。しかし誰だって、自分の選択が本当にベストかどうかなんてわからないし、自信がない。ただ、選んだからにはベストに違いないと思い込むしか動き出すことはできない。

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