教育を考える:人生の悲しみを受け止める
12/15(木): 教育を考える⑩
今日も大村はま先生の残されたメッセージ達から、教育・子育てについて考察していきましょう。
今日ははま先生が母親に向けて掛けられた、子どもとのかかわりかたについて…はま先生の残された文献は、授業の記録や教師に向けての言葉が多く、保護者向けの言葉や教えはあまり多くありません。
しかし少ないながらもとても「それそれっ!」な教えを与えてくれているので、お伝えできれば嬉しいです。
きっと今までの投稿の中にも上記の引用のようなことは、書いてきていると思います。重ねて同じようなことを書くのは、私自身が大切だと深く深く思っているから。
私たちの生活するこの社会は、とても露骨で残酷な部分をはらんでいます。努力したからといって結果が必ずしも伴うものではなく、なかなか
辛いこともあるのが現実。
大人自身も、子どもの頃見ていた夢がいつしか「昔見ていた夢」という額縁に入れられて、酒の肴になったり仕事の合間の趣味に変化したりするのが現実。そして夢を実現できた一握りの大人も、子どものころに描いた通りの世界とは違ういろいろな現実と折り合いを付け、不甲斐ない自分自身に苦笑いをしながら社会とバランスをとっているものなのではないでしょうか。
その現実を「社会とはこういうもの」と捉え、子どもにもそのようなある種の「仕方のなさ」を受け入れてやることが大切なのではないかと思います。
私が保育士時代に出会った保護者たちのなかで「自分は夢を諦めたから、せめて子どもには…」と夢を託すことこそが親の愛✨とでも言いたげな方たちは多くいらっしゃいました。
気持ちは分かる!…ような気がする。
でも、少し立ち止まって考えてみて欲しい。
なら、何故大人のあなたは諦めるという結論に達したのか。社会の原理や、はま先生の言うところの「人生の悲しみ」や「本物の人生観」を心の底では分かっているのではないでしょうか。分かっていないのなら親であるあなた自身がもう一度夢に向かって頑張ればいいのではないでしょうか。
そして分かっているならどうぞ、子どもが「人生の悲しみ」を味わった時に「お前の力はそんなものじゃない!」なんて耳をふさぎたくなるような言葉をかけるのではなく、共に悲しみを味わって見守ることができるのが親の特権ではないでしょうか。
分かっていても難しいこと。行動に移すのは怖くて大変なこと。
でも、少し頭に置いて子どもの姿を見てみませんか?子どもにとっては、保護者こそ初めて身近に触れる社会の一つという貴重な環境なのだから。