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これからも大切に見返したいクリスマス映画と出会えた〜『未来の想い出 Last Christmas』感想〜
(以下、『未来の想い出 Last Christmas』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)
『森田芳光70祭2024』のライムスター宇多丸さん、三沢和子さんのトーク付上映を鑑賞。
これからも事あるごとに見返していきたい、大切な一本に出会えたと思います。
主体的に生きようとする女性二人のシスターフッドを描いており、現代にも通じるテーマ設定は、さすが森田芳光監督だと唸らされました。
ほぼ全シーンの演出が、神がかった不思議な魅力に溢れていました。
冒頭、主役2人が初めて出会って、工藤静香さん演じる銀子が帽子を脱ぐシーン。この時点で早くも、そのあまりの映画的な美しさに落涙してしまいました。
また、上映後トークで宇多丸さんも言及されていましたが、清水美砂さん演じる遊子が車に乗っているシーンで、途中でオレンジ色の光に照らされる(トンネルの中に入ったということでしょうか)カットなどは、言葉ではなく映像で登場人物の心情を表現する工夫が凝らされており、「う、上手い・・・」と声が出そうになるほどでした。
また、劇中の銀座の街並みを見て、「すごい大掛かりなロケだなあ。人払いとかも大変だったろうな。クレーンとかも使ってそうだし。」と思っていたら、上映後のトークでセット撮影であることを知って驚嘆しました。
クライマックスの飛行機のシーンも、今見ても全く色褪せない特撮で、樋口真嗣さんの仕事と聞いて納得です。
空港で銀子が遊子を励ましながら飛行機を待つシーンでは、さめざめと泣いてしまい、「私たちが想うことが未来なんだ。」という本作のテーマがストレートに胸に届きました。見終わった後も、自分の人生をもっと愛することができるような、そんな素敵な余韻に浸ることができました。
細部にまで手を抜かないスタッフ・キャストの工夫や努力が、この映画を、観客の心に響くクリスマス映画の傑作にしているのだと思います。
12月のこの時期に、この作品を映画館で鑑賞することができて、本当に良かったです。