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男同士のうんざりする友情~映画『ハズバンズ』感想(ネタバレなし)〜

(以下、映画『ハズバンズ』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)


ジョン・カサヴェテス監督の『ハズバンズ』を見た。

大の仲良しである3人の中年男。3人は共通の友人の死をきっかけに、自分たちのやりたいことをしようと、スポーツに興じたり、飲んだくれたりと、遊びまくる。そして、一人の思い付きから、ロンドンに渡って浮気を計画するのだが・・・。

全編に渡って、3人のホモソーシャルなやり取りが描かれるコメディ。コメディなのだが、爆笑するという感じではなくて、周りの人に迷惑をかけまくって悪びれもしない3人の様子にこちらも「うーん」と苦笑いするしかないという作品だ。
また、3人の飲んだくれたちの珍道中というと『ハングオーバー』シリーズを思い浮かべるが、『ハズバンズ』はそんなカラッと陽気な感じではなくて、劇中に出てくる雨降りのロンドンの様にとにかくジメジメとしたやり切れなさを観客に与えてくる。

適当に撮影しているようで、俳優たちの繊細な演技を的確に切り取ってみせるカメラワークは見事で引き込まれる。現実世界だったら「もう帰っていいっすか?」と一目散に逃げだしたくなるような不快なノリの3人をこうやって楽しめるのは、こういう映画の技術力のおかげだと思う。

(文:マカ・ママレード)

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