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ミステリーの醍醐味とは〜映画『ナイル殺人事件』感想(ネタバレあり)〜

(以下、映画『ナイル殺人事件』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)


『ナイル殺人事件』を見た。ケネス・ブラナーが監督・主演を務めている。
ケネス・ブラナーがポアロを演じる作品としては、『オリエント急行殺人事件』に続く二作目だ。
ちなみに筆者は原作は未読で、この作品以外の『ナイル殺人事件』の映像化作品も未見である(岩が落ちてくるという情報はなんとなく耳にしていたが、今回の映画に限って言えば見せ場というほどではなかった)。
ミスリードをいくつも仕掛けて、見るものを混乱させていく展開は面白い。
単独犯のように思わせておいて、実は二人一組の計画で、しかも途中の殺人未遂や盗難は全く関係ない人物の犯行だったというアイデアは大変興味深かった。
ポアロがなぜ事件の全貌を解明できるに至ったかという道筋がもっと論理的に詰められた見せ方をしてくれれば、より見応えがあったと思う(今作だと急に最後の最後になって突然何の前触れもなく、天才的な閃きで犯人が分かったようにも見える)。

全体的な物語のトーンとしては、やけに湿っぽい話に感じた。ここ最近『刑事コロンボ』のマラソン視聴をしていたのだが、コロンボが相当ドライなストーリーが多かったため、余計そのように感じるのかもしれない。
今作では、ポアロの個人的な恋の思い出を掘り下げていくという、ストーリー上の一本の柱があって、ケネス・ブラナーが熱演している。しかし、ミステリーの展開上ははっきり言って何の関係もないので、余計な部分に感じなくもない(そこまで気にはならないが)。また、ポアロの人物像を掘り下げるのもいいのだが、もっと狂言回しやストーリーテラーに徹したポアロ像も見てみたいとも感じた。


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