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バディ映画として楽しめる~『レッド・ワン』感想(ネタバレあり)〜

(以下、『レッド・ワン』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)


大人たちが全力でおとぎ話を創り上げている、とても優しくて暖かい作品でした。劇中でも登場する「サンタクロースって実在するの?しないの?」という問いについて、ルーシー・リュー、ドウェイン・ジョンソン、J・K・シモンズらの圧倒的な存在感によって、「いるに決まってるだろ!」と有無を言わせず説き伏せられてしまう。これこそ、映画が持つ力だと思います。
観ていて、自分が子供の頃、サンタさんからのプレゼントが枕元に置いてあった時の幸福感を思い出して、自然と涙が出てきました。

作品の舞台も、「雪が降り積もり、イルミネーションが光る街並み」というクリスマスと聞いて最初に思い浮かべるような典型的な風景だけではなく、南国のクリスマスや、映画「ミディアン」のような雰囲気のおどろおどろしいクランプスの館が出てきたりと、多種多様な世界観が楽しめました。

また、今作はクリスマス映画としてだけではなく、「何もかもが正反対の二人が、ひょんなことから協力することになり、事件に立ち向かう」という、ドウェイン・ジョンソンとクリス・エヴァンスのバディもののアクションムービーとしても楽しめます。
バディムービーでは二人のキャラクター描写が重要になりますが、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』、『ジュマンジ/ネクスト・レベル』、『レッド・ワン』と三作続けてドウェイン・ジョンソンとコンビを組んできた監督ジェイク・カスダンによって、カラムの頑固だけど憎めないキャラクターが魅力的に掘り下げられていますし、クリス・エヴァンス演じるジャックも「キャプテン・アメリカ」の面影を全く感じさせない軽薄で現実主義の人物に仕上がっています。
そして、トミヤマユキコさんが『「ツレ」がいるから強くなれる!バディ入門』の中で、「クセの強い車に乗ってるバディが妙に多い」と書いていましたが、ジャックとカラムの二人も「ミニカーが巨大化して本物になった車」という「クセが強い」と呼ぶにふさわしい車に乗っています。さらにトミヤマさんが本の中で「本音を語り、秘密を共有する」場所として「車」を論じている通り、今作でも、車で移動中ジャックがカラムに対して自分と息子の関係について吐露しており、それがクライマックスでのジャックの成長のきっかけに繋がっていくのも印象に残りました(ちなみに今作は全体的に、車をカーチェイスなどのアクションの道具としてではなく、主にコミュニケーションをとる場所として位置付けているのが特徴的で、ジャックと息子の最初の会話も車の中です)。

白熊さんなど、脇役もキャラクターが立って魅力的だったので、もっともっと活躍を見たかったです。続編希望!

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