瞳AF使う時、使わない時/#309
近頃のミラーレス一眼はAF性能が飛躍的に向上し、開放から高い精度でピントを合わせられる。一眼レフではできなかったような開放を活かした撮影が可能となり表現の幅が飛躍的に高まっている。そのなかでも瞳AFの発展は目まぐるしく、カメラを買うときの条件として瞳AFの有無とその精度が挙げられるようになった。
以前までは顔認識であったものが、瞳をピンポイントで拾うのだから驚きだ。一般的に人物撮影をする際は瞳にピントを合わせる。ポートレート撮影ならば単焦点レンズを用いて開放で撮影するのだから、なおさら瞳にピントを合わせる必要がある。そうすることで目に視線が集まり、そこからなだらかに美しいボケが楽しめるのだ。
この瞳AFを始め、AF精度は大きく飛躍した。どこにピントを合わせるのか瞬時に判断し、確実にピントを合わせてくれる。特に瞳AFは確実に瞳を捉えてくれる。そのため、そのほかの画面構成や光、コミュニケーションなどに意識を集中できるようになった。
しかし、その弊害も生じる場合がある。よくも悪くも瞳にピントを合わせるのだ。たとえば、人物撮影においてバストアップや寄りの撮影では瞳以外を見せたい時がある。たとえば口元、首元、髪など顔の周囲。そこには必ず目が写り込んでいる。こういった場合では確実に瞳にAFが合う。撮影者は口元を撮りたくても、ピントは瞳を捉える。こうなると意図と違うため鑑賞者には本当に見せたかったものが伝わらない。
カメラ側の設定を把握し、瞳AFを適切に切り替えたいものだ。これは瞳AFに限らず、ほかのAFにも同様なことが言える。写真の面白さのひとつに、ピントをどこに合わせるかがある。そこに撮影者の意図が反映されるからだ。その意図を表現できるようにAFを選びたい。もちろんMFが良い時もある。自身の表現を突き詰めるためにも考慮したいところだ。