精神物理学
精神物理学とは
精神物理学とは、フェヒナーが創始した学問である。外部の刺激と人間の内的な感覚との関係を科学的に解明することを目的とした。心理学誕生前に成立した学問であり、心理学成立に大きく貢献した。
トピックス
ウェーバーの法則
ドイツの生理学教授ウェーバーが唱えた法則。
まず、人間には『2つの刺激を区別できる最小の刺激強度の差』が存在する。これを『弁別閾』という。例えば手にスマホを置かれた状態でその上にペットボトルを置かれたらそれを知覚できるだろうが、スマホの上に砂粒を置かれただけではそれを知覚できないだろう。このように人には知覚できる最低限の変化が存在している。
また、『基準刺激強度』というものもある。これはもともとの刺激の強さを表す。先ほどの例で言えばスマホの重さに相当する。
ウェーバーは『弁別閾』/『基準刺激強度』を『ウェーバー比』として、この『ウェーバー比』は常に一定であるとした。例えば、100gのものを持っているときの弁別閾が10gだとすると、1000gのものを持っているときは100gが弁別閾になるということだ。
フェヒナーの法則
ウェーバーの法則からフェヒナーが導き出した法則。
弱い刺激に対しては敏感に区別できるが、強い刺激に対しては鈍感になってしまう。これをグラフ化すると対数の関係になっていることがわかった。これがフェヒナーの法則である。
スティーヴンスの法則
冷静に考えてみると、すべての刺激が強くなるほど鈍感になるわけではない。例えば、多少の痛みは気づかないことも多い。しかし、重大な痛みは敏感に感じられるはずである。このようにフェヒナーの法則に従わない刺激も多くある。それも含めたのがスティーヴンスの法則である。
スティーヴンスの法則とは、感覚は刺激のべき乗に比例するという法則だ。これはフェヒナーの法則を内包するといえる。
マグニチュード推定法
スティーヴンスが実験に用いた方法で、最初の刺激を10として次の刺激が倍の強さに感じたなら20、半分に感じたなら5といった具合に申告してもらう方法。これによって人間の主観的な感覚を数値化することが可能となった。
面白かったところ
どんどん発展していく様がthe科学って感じで面白い。今ではスティーヴンスの法則には疑義が呈されているけれど哲学から心理学への移行期が感じられる。スティーヴンスの法則がフェヒナーの法則を内包しているのに気付いた瞬間の脳汁はすごかった。