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Less is more - 私が見た、中東に生きる女性たち

※ この記事は宗教ではなく、洋服について語っています ※
私は大学時代、神学(キリスト教)を勉強していました。

大学ではキリスト教だけでなく、イスラーム教の授業も履修可能だったので、興味本位で1コマ取っていました。

その時、期末レポートのために読んでいた本で書かれていたことが、とても印象に残っています。

イスラーム教の女性は、肌を見せなくても、
自分達がセクシーだと十分知っている。

文字通り、頭からつま先までを布で覆わなければならない女性たち。

当時、逆(肌を見せること=セクシー)だと思っていた私には、衝撃でした。

セクシーとはなんぞや

2000年初期に流行した、ローライズのジーパンや、ミニスカート。
キャミソールに胸元が大きく開いたTシャツ…。

▲2000年初期のセクシーと言えば、私の中ではBaby Phatでした。

2000年初期当時は、露出多めで、体のラインにぴったりした服や、そんな服を着ている人がセクシーなんだと思っていました。

「その服や人が、相手(特に男性)から見てセクシーなのかどうなのか」と考えていたように思います。

女性にとっては、タイトな服とか苦痛でしかないし。

【露出が高い服を着る→男性に求められる→自分をセクシーだと思う】こういう公式が頭の中で成り立っていました。

でも、イスラームの女性たちは、そんな小手先のテクニック使って、自分の肌を見せびらかさなくても、自分がセクシーだとわかってるんです。

その自信って、すごくないですか。

アバヤの役割

あの真っ黒の服(アバヤ)には、ちゃんとした役割があります。
女性を好奇の目に晒されないようにする、という役目が。

元々は、「女性がむやみやたらに手を触れることが許されないような神聖な存在」とされていたからです。

イスラーム服を着用することによって、髪や顔、体を「安易に人目にさらすことを防ぎ、屋外で会う男性たちに、自分は性的対象にはならないことを明確に示すことができる」んですって。

参考: 白須 英子『イスラーム世界の女性たち』文春新書、2003年

ちなみに、中東あるあるですが、ふっつーのTシャツ&ジーパンで歩いていても、道端ですれ違う男性や、工事現場で働く男性たちに、上から下まで舐め回されるようにガン見されます。

これがひどく不愉快で、私はいつも睨み返していました。

私が働いていたオフィスがあるビルのロビーでは、ある白人女性が「今度私のこと見たら、警察に通報するわよ!」と男性に怒鳴っていたのも見たことがあります。

彼らが、私や彼女を必ずしも性的に見ているわけでは無いと思います。物珍しかっただけかも知れません。でも、あのじとーっとした視線は、心地の良いものではなかったです。

男性支配の象徴みたいなアバヤも、そういうイヤーな視線から自分の家族を守るためのものだって考えれば、少し見方は変わるんじゃないでしょうか。

実際イスラームの女性たちに会ってみて

私が実際コスモポリタンシティであったイスラームの女性たちは、みんなすっごくパワフルで、明るい素敵な女性たちでした。

▼私が中東に住んでいた時のお話

髪もバッチリ決まっていて、爪も綺麗に手入れされていて。
高級車に乗り、高級バッグや靴を身にまとい、生きるために仕事をしていなくて。
バタバタ走り回ることはなく、徒歩でたった数分の距離でさえ、ゴルフカートのようなもので移動する、あの優雅さ。

彼女たちのことをよく知らないし、経済的に豊かな場所にいたので複雑な気持ちにならなかっただけかもしれません。
彼女たちの高貴な美しさに、私は憧れすら抱いてました。

私がいた都市では、女性の社会進出も進んでいて、公的機関のエライさんも女性が多かったり、連邦政府の大臣だって、女性が全体の30%を占めてるそう(2019年時点)。

私が住んでいた都市だけではなく、トルコだってマレーシアだって、女性の国会議員数は日本よりはるかに多い(確か)。

日本のが遅れてるやんっ。

SATCで語られているのは、ホント?

▲アブダビのモスク

ちなみに、セックスアンドザシティの2つ目の映画では、アブダビが舞台でした(撮影許可は降りなかったそうなので、別の場所でなされたと聞きました)。

キャリーたちを助けてくれたイスラームの女性たちが、アバヤの下に、ハイブランドの煌びやかなドレスを纏っていたことがわかるシーンがありました。

その映画のイメージから、私も、「きっとみんなそうなんだ〜」と思っていたんです。

だって、私が通っていた語学学校のクラスメイトは、よくディオールのミュールを履いていて、メイクも完璧だったし、もう一人はBeyonceが持っているのとおんなじL’Afsharのバッグを持っていたから。

やっぱアバヤの下もきっと、高級品を身につけてるんだろなーと思っていました。

▲クラスメイトが持っていた、Beyonceと同じ鞄

でも、実際、Beyonceと同じバッグを持っていた子は、アバヤの下によくパジャマを着てました😂

しかも、頭のスカーフもよくとっていて、長い髪の毛もガンガン見えていました。

他にも、バスに乗っていた女性が、アバヤの下にスウェットを着ているのがチラッと見えたこともあります。

予定がない限り、あんまりハイブランドの服をアバヤの下に着てる人は、あまりいないのかもしれません。
特に映画の中のような、ホコリっぽいスークでは。

最後に

私が実際お会いしたイスラームの女性たちは、眩しくて、彼女たちが自信に満ち溢れているのがわかりました。

自分の中からみなぎる自信…。

着ている服じゃなくて、誰かが認めてくれるからじゃなくて、自分自信がセクシーだって思える自信、持てるようになれればいいですよね。




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