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自然エネルギーの可能性と日本の生存戦略 #1

先日再生可能エネルギーについての講義に参加してきました✏️
再生可能エネルギー(=自然エネルギー)への転換は排出量削減や脱炭素社会の構築に必要不可欠です。日本の再生可能エネルギー政策について学んだこと、考えたこと、感じたことをまとめます


なぜ再生可能エネルギーなのか?

そもそも再生可能エネルギーとは自然エネルギーとも呼ばれ、太陽光・熱、風力、水力、バイオマス、地熱などを含みます。
循環から生まれるエネルギーを有効活用するため枯渇することがないので、「再生可能」と言われているわけです。

2016年のパリ協定で2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにすることが目標として合意されました。その目標を達成するには、省エネだけでなく、温室効果ガスを発生させる化石燃料から再生可能エネルギーに転換していくことが必要になります。
COP28では日本を含む118カ国が2030年までに世界の再エネの容量を3倍に拡大し、エネルギー効率を2倍にすることに賛同しています。

日本の後進性

日本ではいまだに石炭が電力構成の多くを占めていますが、実はすでに世界のエネルギー消費の1/3は再生可能エネルギーなのです!特に北欧では2022年時点で60-80%と高い再生可能エネルギー比率を誇ります。

それに対して日本は、2022年時点で電力構成比のうち再エネは21.7%であり、天然ガス(33.8%)や石炭(30.8%)と比べてもまだ主要なエネルギー源とは程遠い現状があります。

二酸化炭素排出量が多いイメージの中国でさえもすでに30%以上が再生可能エネルギーであり、日本が再生可能エネルギーの導入において世界から遅れをとっているのがわかります。

日本は再生可能エネルギーのポテンシャルがある!

再生可能エネルギーは自然や地理などの条件に左右されるから、日本がたまたま適していないだけなのでは?と考えることもできますが、実は日本は再生可能エネルギーのポテンシャルを十分に持っています。

環境省の試算では、電力供給量の最大2倍の再エネポテンシャルが存在しています!
特に日本は島国なので洋上風力のポテンシャルが高いです🌊
しかし、地理的に洋上風車の建設が難しいなど技術的な課題もあります。北欧では再生可能エネルギー技術が進んでいますが、それをすべて応用することはできないので、日本に合わせた技術の開発が必要になります。

地方での再生可能エネルギー生産が地方創生につながる

日本のエネルギー自給率がどれくらいか知っていますか?
実は13.3%(2021年)とOECD諸国の中でもかなり低い水準です。エネルギー自給率が低いということは、エネルギー供給を海外からの輸入に頼っているということであり、2019年には年間約17兆円を化石燃料のために海外に支払っていました。

そんな現状を変えるために注目されているのが、地方での再生可能エネルギー供給です。地方は人口比率が低くエネルギー消費量が少ない一方で、豊かな自然資源が存在し、再エネポテンシャルが豊富です。
環境省の国・地方脱炭素実現会議においても、再エネポテンシャルが豊富な地方とエネルギー需要密度が高い都市の連携が重要であると指摘されています。

脱炭素に向けた地方自治体の取組について 2021年3月19日 環境省

地方で生産されたエネルギーは、その地域内で経済循環を生み出します。
例えば、地元の再生可能エネルギー施設の建設・運営には地元の労働力や企業が関わるため、雇用機会が増加し、所得が地域内に留まります。
これは地域経済の活性化につながります。

「再生可能エネルギー」×「地方創生」のシナジーが日本の勝ち筋?

今回参加した講義を通して、「再生可能エネルギー」×「地方創生」のシナジーが日本の勝ち筋なのではないかと考えました。

気候変動は緊急の課題であり、日本も世界各国に追随するだけでなく積極的に取り組んでいかなければならないのは明確です。
また、日本の未来において地方創生も不可欠です。少子高齢化の影響で2050年には人口1億人を割り、地方都市間の格差はさらに拡大していくことが予想されます。日立京大ラボの研究チームと行った共同研究「AIの活用により、持続可能な日本の未来に向けた政策を提言」によると、日本の最も持続可能で望ましいのは地方分散シナリオであるという結果が出ています。

それらの課題を解決する上で、地方創生につながる再生可能エネルギー導入を促進していくことが、排出量削減と地方活性化を両立していく手段になると感じています。

まとめ

今回講義に参加して再生可能エネルギーの可能性を感じた上で、パリ協定の目標を達成するには緊急で取り組んでいかなければならないという焦りを感じました。世界の再エネ先進国の技術や事例から学びつつ、いかに日本に最適な戦略を描いていくのか、今後も考え続けたいと思いました。




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