【心中事件を乗り越えてー落ち込んだ時にもっともされて嬉しいことはー】
Q:落ち込んだ時に他人に何をしてもらったことが嬉しかったですか?
A:私の強さを信じてもらうこと
私が本当に落ち込んでいる時や辛い時に、してもらいたかったことは2つです。
一つは、話を聞いてもらうこと。女性は聞いてもらうと嬉しい・・と言われますが、男性だってそうだと思います。自分の状態や気持ちを言語化することで、思考や感情の整理になるし、何より「相手に寄り添ってもらえている」という感覚はものすごく力になる(^^)
もう一つは「私の強さを信じてもらうこと」
これは、個人的な体験から実感したものです。
13歳、中学2年の冬に、家で心中事件がありました。
学校からの帰り道、車に乗った母が当時小学3年生の弟を連れて、買い物に行こうと誘ってきました。うちは田舎だったので、大型スーパーまでは車で30分くらいかかります。
そのままスーパーへ行ったあと、家とは違う方向へ。「湖に白鳥を見にいく」と言い出しました。時間は夜7時。12月の夜であたりは真っ暗です。
本能的に何かおかしいと思った私は、母に「家に帰りたい」と言いました。でも何も言わずにまっすぐ前を見て運転を続ける母。
わがままを言ったら母も考え直してくれるのではないかと思った私は、信号待ちで車が止まった時に「私は帰る!」と言って後部座席から降りました。そのまま助手席のドアを開けて、弟に「一緒に帰ろう」と声をかけたんです。でも、12月の冬の夜、そこからだと歩いても1時間以上かかります。弟は少し考えて「僕は残る」と言いました。
私だけが歩いて帰ってきました。一度だけ母が「もう帰るから車に乗って」と戻ってきましたが、思春期真っ只中の私は「いい、歩いて帰る」と断りました。
そのまま二人は帰ってこなかった。眠れない夜を過ごした早朝に警察から電話がかかってきて、その時に私は初めて「絶望」を体験しました。
事件のショックだけではない。「私があの時降りなければ、無理にでも弟を連れ出していたら、こんなことにはならなかったかもしれない」という事実が重くのしかかり、「悲しい」という感情すら凍りついてしまった。涙の一滴も出ないのです。
あの時が、今までの人生で最も辛く苦しい時でした。
その時から数年間、私が「生きるとは何か」の答えを見出すまでは、どうしてもその辛さ「絶望」は取れることがなかった。話を聞いてもらってでさえも(実際には話をする相手もいませんでしたけど・・)
後になって、あの時私に何が必要だったのかを考えた時に、出てきた答えは「私の強さを信じてもらうこと」でした。
「辛かったと思う。でもそれをあなたなら大きな力にできる」
「あなたはこの経験を体験できるくらい強い人間なんだよ」
そんな言葉をかけてもらえていたら・・単なる言葉ではなく、心から信じてくれる人がもし周りにいたら、私はもっと早くに、自分の体験を単なる悲劇ではなく、自分の成長の機会に変えられただろうと思いました。
「起きた出来事の被害者として生きなくていい。あなたは必ずこの出来事を糧にして大きな成長を遂げる」
その視点こそが、私が数年間「絶望」の中で生きた後に見出した「希望」でした。ここに気づいて、私の人生は大きく変わりました。災害でも、虐待でも、大事な人の死でも、どんな状況にもある唯一の希望だと思ってます。
残念ながら、私の周りでそれを提示してくれる人はいなかった。だから私は、このことに気づいてから自分で自分にこれらの言葉を言い聞かせて、これが真実であることを、自分の生き方を通して証明しようと思いました。
誰かが超えられない壁に悩んでいるとします。
殆どの人は、「ああ壁を超えられないんだな」と思います。
私は、「超えられない壁を越えようとしている、勇気のある人だ」と捉えます。「超えられない壁で悩んできた分の強さがこの人のどこかにある」ことにも目を向けます。そして、何があると超えられるかも探します。(時には一緒に)大抵、あと少しなんです。なので「もうあとこれだけで超えられるんだね」ということを伝えます。
その人の中に、強さを、希望を、力を見るんです。
誰か一人でいい。
自分が苦しいこと、辛いこと、悩んでいることの奥にある「本当の自分の強さ」を見つけてくれただけで、人生は変わります。
「起きた出来事の被害者として生きなくていい。あなたは必ずこの出来事を糧にして大きな成長を遂げる」
この言葉=「希望」を、コロナ騒動での不安や心配で落ち込み、苦しんでいる人たちに伝えたくて、私は今の「自分の体験と知恵を分かち合う」という取り組みを始めました。今の私たち一人ひとりに必要なのは、この希望だと思っています。
ものすごーく長くなりましたが(笑)
「話を聞いてあげること」
「相手の強さを信じてあげること」
ぜひ、やってみてください(^^)
まい先生(中村舞)
マイコーチングオフィス代表。企業研修講師&プロコーチとして15年。5000人以上を指導。コロナ禍をきっかけに、13歳の時の心中事件で家族3名を失った体験を乗り越えた経験と「どんな出来事があっても、どう生きるかは自分で選択することができる」という生き方を分かち合う。
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