![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162935312/rectangle_large_type_2_66d66d7aec56bc878accc040a5ddbf38.jpeg?width=1200)
映画『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』感想
「踊る大捜査線」シリーズ最新作の映画を見てきました。一応世代なので。
ちなみに自分は連ドラしか見てないので、「レインボーブリッジを封鎖した事件」を知りませんのであしからず。
ネタバレ喋ります。
『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』のここが良い
・秋田の雄大な自然を感じられる。
・田舎の古民家での暮らしが描写され生活を感じ取る事が出来る。
・秋田犬のシンペイ(♀)が可愛い
・20年振りというのを感じさせない程に変わらず「室井慎次」だった。
・警察という経歴を買われて犯人遺族の里親をしている。という絶妙に警察と離れ切った訳ではない退職後の環境。
・かつての「踊るシリーズ」の登場人物が出演する。
・それぞれ異なる境遇の犯人遺族3人に、不器用ながらも大人として親として接する様子は考えさせられるものがある。
・犯人遺族3人それぞれにフォーカスを当てて、彼ら彼女らが室井から何を感じ受け取ったのかをしっかりと描いていた。
『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』のここが悪い
・あくまで「警察を舞台にしたドラマ」であり「刑事ドラマ」ではない。これは「踊る大捜査線」の頃からずっとなのでシリーズ視聴者なら気にならないが、初見の人が期待する「刑事ドラマ」は展開されない。
・新キャラの交番警官がうるさいしちょっと鬱陶しい
・死体発見後、室井はわざわざ捜査本部に参加までさせられるのだが、特別な事をしたわけでは無いので、単に「刑事ドラマっぽい画」を作りたかっただけと感じた。
・タカのガールフレンド、急に関わらなくなるしタカへの影響も無かったのでわざわざ前後編跨いで出す意味は無かった。
・リクの父親に親としての責任能力があるか見抜けなかった役人がちょっと無能すぎる。違和感覚えてる様子もあったから余計に。
・杏は「過去最大の凶悪犯の娘」という強烈な要素を活かしたとは言い切れない。しかし、「どんなセンセーショナルな要素を持っていても彼ら彼女らは『子供』なのだ」という事を強く感じる事は出来た。
・室井の死に方が「リクの父に乱闘のどさくさで逃がされたシンペイを探しに行って遭難した」というお世辞にも感動的と言えないものだった。とはいえ「リクの父と乱闘の末死亡」では子供たちへのショックが大きすぎるので仕方ない…か?普通に病死でもよかったかな。
総評
秋田の山奥を舞台に犯人遺族側の目線で犯罪とはどういう事なのかを描いた意欲作。主役が寡黙な老人室井慎次である事もあり、理想や夢物語では無く、現実に確かにあるものだろうと実感する事が出来る。
室井慎次が退場してしまったのは残念だが、最後に青島を登場させ続編をハッキリ明示させたので、シリーズ再始動として十分な出来だったと言える。
・お気持ち
「踊る大捜査線」シリーズはレギュラーキャラを主役に置いた、言わば「警察を舞台にしたオフィスヒューマンドラマ」で、「事件を中心に関係者を主役にしたドラマを描く」刑事ドラマとは根本から違うものです。
そこを勘違いしてこの作品を批判してる人は「自分で定めた枠に沿って見る」のではなく「作品自体がどんな意味を持っているか」頭と心を使って理解する事から始めましょう。