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枕草子 中宮定子の行啓と出産(5)
清少納言先生:はい、この段の続きです。
舞夢 :それでは、そのまま現代語訳します。
姫宮様のお付きの童女の着物を仕立てるようにと、中宮様より仰せが有った時のことになります。
あの成昌が「この衵(あこめ)のうわっぱりなのですが、何色にさせましょうかねえ」と申し上げて来たものですから、その無粋な言い方で、女房達が笑ってしまうのも、しかたがないことなのですよ。
また成昌が「姫宮様の御膳の食器は普通のものでは大きすぎるし、可愛らしくもないでしょう、ちゅうせい折敷(おりしき)にちゅうせい高坏(たかつき)が、よろしいのでしょうなあ」と申し上げるのを
私(清少納言)は、「はいはい、そうですね、そんなちゅうせい御膳で召し上がってこそ、うわっぱりを着た童女のお仕えしやすいでしょうねえ」とからかってあげました。
中宮様は、「あのね、普通の人相手のように、成昌をそんなに笑いものにしてはいけませんよ、何しろ生真面目な人なのだから」と、あの成昌に同情なされるお心も、お優しく素敵だと思います。
清少納言先生:はい、姫宮様は脩子内親王様。一条天皇様の第一皇女でこの
時四歳。衵というのは上着の下に着る物で童女の場合は汗衫
の下になります。うわっぱりというのは、上に着る物なんだ
けれど、普通は汗衫なの。
ちゅうせいっていうのは、成昌の美作のなまりです。
普通は小さきです。
何しろね、無骨で、言葉を知らず、なまりまくりで笑っちゃ
うの。
舞夢 :折敷は食器を乗せるお膳で、高坏は食物を盛る脚のついた器
ですね。
清少納言先生:見たことあるの?
舞夢 :いや神社仏閣とかで見ることはありますが日常生活ではあり
ません。
清少納言先生:時代も変わっていますしね。
舞夢 :生まれ変わったらいかがですか、今の時代に。
清少納言先生:舞夢君をからかうために?
清少納言先生は、なかなか、からかい上手だ。