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新古今(17)谷川の うち出る波も 声立てつ

百首歌奉りし時
                            藤原家隆朝臣
谷川の うち出る波も 声立てつ うぐひす誘え 春の山風
                        (巻第一春歌上十七)
谷川の割れた氷から、弾けるように飛び出して来た波が、春にふさわしい(鮮烈な)音を立てております。
春の山を吹く風は、(この生き返るような水の音を伝えて)、(是非とも)鶯を誘って欲しいと思うのです。

※百首歌
 正治二年(1200)、後鳥羽院初度百首、春。
※藤原家隆(1158~1237)
 鎌倉時代初期の公卿、歌人。
『新古今和歌集』の撰者の一人。
和歌を藤原俊成に学んだ。寂蓮の婿だったという説もある。歌人としては晩成型。
『六百番歌合』『正治二年初度百首』などに参加し、同時代の藤原定家と並び称される歌人として、御子左家と双璧と評価されていた。
※本歌
 谷川に とくる氷の 隙ごとに うちいづる波や 春の初花
                       源当純 古今和歌集十二
 花の香を 風のたよりに たぐへてぞ 鶯さそふ しるべにはやる
                       紀友則 古今和歌集十三

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