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新古今(46)梅の花 誰が袖ふれし にほひぞと

千五百番歌合に
                             右衛門通具

梅の花 誰が袖ふれし にほひぞと 春や昔の 月にとはばや
                         (巻第一春四十六)
この梅の花の香りは、いったい、どなたのお袖が触れた時の残り香なのでしょうか。
せっかくなので、昔のことを、よく知っておられる、あのおぼろ月に、教えてもらおうと思うのですが。

※千五百番歌合
 建仁元年(1201)、後鳥羽院に詠進した百首歌の一つ。同百首は翌年歌合とされ、千五百年歌合と称される。
※右衛門通具(1171~1227)
 源 通具(みなもと の みちとも)。平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての公卿・歌人。堀川大納言と号した。官位は正二位・大納言。堀川家の祖。
※春や昔の
(参考)
 在原業平 古今和歌集747(伊勢物語第四段)
 月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ 我が身ひとつは もとの身にして
※誰が袖ふれし
(参考)
よみびとしらず 古今和歌集33
色よりも 香こそあはれと 思ほゆれ 誰が袖ふれし 宿の梅ぞも

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