アルビジョア十字軍①ペジェ
「史上最強のローマ教皇」イノケンティウス3世の「異端者の土地と財産」は自由に切り取ってかまわない」の大号令を受けて、特に北フランスの領主、騎士、そして(貧乏な名も無い)多くの志願兵が、南仏ベジェの町を包囲した。
そのペジェの町には、正統的なカトリックも多かった。
この忠実なカトリック信徒と異端者を見分けることは、実際難しかった。
従軍の騎士が、領導して来たシトー派修道院長アルノーに尋ねた。
「異端者を倒すのが我々の目的であるが、見分けがつかない」
「誤って、正統なカトリック信者を殺しかねない」
「そうなれば、罪に問われてしまうではないか」
シトー派修道院長アルノーは言下に答えた。
「全て殺せ、その判断は神がなすのだから」
「カトリックの信者は殺されたら神の判断で天国に、異端は地獄に落とされだけのことである」
別の説もある。
兵士たちは貴族に命令を仰ぐことなく、自然発生的に市内に乱入し、たちまちに町を占領した。
住民をことごとく殺戮し、町に火を放った。幼い子供も、高齢の老人も、殺害を免れなかった。
そして、ベジェ占領は聖女マリー。マドレーヌの祝日であったことから、「神意による裁き」と判断し、十字軍は神に感謝の祈りを捧げたと言う。
ためらいなく、老若男女問わず殺し、財産を強奪する。
これが、「神意による裁き」なのだろうか。
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