【ココロ活】とあるオッサンが推しに沼るまで
ライブなど無縁だったシニアのオッサンの自分が、まさかアラフォーの男性ダンサーを全力で推すことになるなんて、一年前には想像すらできなかった。
リアルアキバボーイズ(RAB)、中でも「ムラトミ」さんとの出会いで、生活パターンは劇的に変わったのだ。
以前には考えられないペースでSNSの投稿をチェックし、RABや個人イベントを最優先にして日程を組んでいる。
いったいどうしたの?っと自分に問いかけることも、しばしばだ。
ムラトミさんは、アニソンxブレイクダンスのパフォーマンス集団RABの中で、黄色いチェックシャツがトレードマークの人だ。
彼を初めて目にしたのは、一年前の7月、「夜に駆ける」を秋葉原で踊るRABの動画でだった。
路上でフットワーク中心のダンスパフォーマンスを披露した後、夜空を見上げる姿が独特の存在感を放つ人、それが彼の第一印象だ。
その後たくさんの動画を見続ける中で、形がきれいで回転量も多くて長く続く彼のヘッドスピンに、目を奪われるようになった。
一方で、挨拶やトークの最中、ずっと静かにしているかと思えば、急に場の雰囲気から外れたユニークな発言をしたりする。
その振れ幅の大きさに、少しずつ惹きつけられ、いつの間にか、彼の不思議な発言を楽しみに待つようになった。
ダンスもそうだ。
お笑い芸人のようにコミカルな表情を作って踊っていたかと思えば、次の瞬間には子供のような人懐っこい笑顔を見せる。
サスペンス風の「ドラマツルギー」では、厳しい表情から始まり、最後には、迫力の狂気の表情を見せ、彼の持つ底知れない演技力を目の当たりにもした。
とにかく、いろいろな面でギャップが大きくて、この人は本当にこういう性格なのか、それともキャラ設定なのか、考え込んでしまうほどだったのだ。
配信動画を見ると、RABのメンバーは皆、ふざける時には全力でふざけながらも、ブレイクダンスの技を決めるべき瞬間にはビシッとカッコよく決める。
そう、彼らのスタイルは基本的にカッコ良さを軸にしており、その上にコミカルな演技が重なっていて、どんなに崩したパフォーマンスでも、核となるスマートさが感じられるのだ。
だからこそ、たとえ女装で踊っていても、その本気度に心を打たれる。
もちろん、これはムラトミさんにも当てはまる。
しかし彼は、特にコミカルタッチの作品では、根底にあるはずのカッコ良さをあえて捨ててでも、その場で喜ばれるであろう表情や行動をすることがあるのだ。
彼の素直な感情表現なのか、計算された演技力なのか、あるいはその両方なのか、本当のところは わからない。
ただ、その予測不能なパフォーマンスによって、彼のダンスをつい目で追ってしまう自分がいた。
昨年10月、初めてRABのライブに現地参加した。
目の前で繰り広げられるRABの迫力のブレイクダンスとメンバー間のオフレコトークは、また行きたいと思わせるに十分な体験だった。
その後しばらくは配信でダンスやトークを観ていたが、もっと近くで彼らの表情や声、仕草を目の当たりにしたいという思いが日に日に強まった。
そんな時に気づいたのが、ムラトミさんの個人イベントだ。
近々、ポーカーイベントがあると知り、はやる気持ちを抑えきれず、すぐに申し込んだ。
正直に言おう。
女性が多いはずのイベントで、ムラトミさん公式の黄色いチェックシャツを着て行ったのは、彼のファンだからという理由もあるが、普通の服で行って場違いなポーカー好きのオッサンに見られるのが、怖かったからでもある。
しかし彼は、そんな打算で着た黄シャツに気づいてくれて、「ありがと〜」って嬉しそうな人懐っこい笑顔で、向こうから握手を求めてくれた。
動画の中で気になっていた人が、目の前で声をかけて笑って握手を求めてくれたら、好きにならずには いられない。
本当に嬉しかったし、「なんて自分の感情に素直な人なのだろう」と、その時に直感した。
ムラクラ(ムラトミさんのファン名称)や保護者(RABのファン名称)の方々と、SNSやイベントなどで交流が始まったのも、この頃からだ。
この交流は徐々に深まり、RABのライブツアー後の飲み会やムラトミさんの個人イベントにも一緒に参加するようになった。
特に、ムラトミさん、RABのドラゴンさん、DJとのさんの3人で構成されるラップクルーSalt Communicationの月一回のライブに毎回参加することで、知り合いがさらに増えた。
もちろん、SNSではRAB公式だけでなく、他の保護者やムラクラの更新も日に何度もチェックし、限定Tシャツやグッズを手に入れてホクホクしている自分がいる。
沼落ちは順調に進んでいるようだ。
ムラトミさんの企画は、大胆で突き抜けた発想が面白い。
自分がムラクラであることを差し引いても、その魅力は否定できないだろう。
ダンスに関しても、若い人でもできる人が少ないヘッドスピンを、アラフォーであれだけのクオリティでライブで決めるのは、本当に凄いとしか言いようがない。
その努力の積み重ねには、ただただ驚嘆するばかりだ。
好きが進んだ状態は、自分が高校生の頃なら、夢中、心酔、応援、と表現していただろう。
どれも部分的には その通りなのだが、自分にはやはり、「推し」という言葉が一番しっくりくる。
その生き方や才能と努力に共感し、好意を持って応援し、幸せや成長を願う、それが「推し」だと考えている。
今もRABを箱(全体)で推しているし、どの曲で誰がパフォーマンスしていても凄く楽しいし盛り上がるし、カッコいいのに面白くて大好きだ。
それぞれのメンバーが持つ個性や魅力に惹かれ、ライブに参加するたびに毎回新たな発見がある。
それでも、RABのメンバーとして活き活きと踊るムラトミさんを観るのが、一番好きなことも事実だ。
ジャンルは違うが、推しへの熱量で密かに師匠と仰いでいるnoter なみさんが放った、自分の心に強く響く この言葉を、推しに捧げたい。
『推しは今日も元気に生きている』
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