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だから私たちは「値上げ」する【まいまい京都のめざすもの⑨】

まいまい京都のツアー参加費は、段階的に上がっている。なぜ、私たちは値上げをするのか。その意図を説明したい。

価格は買い手へのメッセージ

そもそもの話だが、「価格」や「値段」がどのように決まるものなのか考えたい。社会の授業では、需要と供給のつりあうところで値段が定まると教わる。たしかにそうかもしれないが、それは最終的な話だ。

値段が落ち着くまえには、個別の売り手がそれぞれの価値観で「価格」を設定している。価格の前提には、いくらで売りたいかという「売り手の価値観」が潜んでいる。たとえば、この時計をいくらで売りたいのか。500円なのか、2万円なのか、100万円なのか。価格によって、提供できる価値をわかりやすく示している。価格とは、買い手へのメッセージなのだ。

価格をつけると、価値が伝わる

私たちは、「まち歩きツアー」に「価格」をつけた。2011年春のことだった。まち歩きに「価値」を感じていた人はたくさんいた。しかし、これまでその「価値」に見合った「価格」をつけられる事業者はいなかったのだ。

個々人が感じているだけだった「価値」を、「価格」として数値で表す。例えば、2時間の「まち歩き」は1万円なのだと値札をつける。すると、まち歩きの価値がマーケットに提示される。まち歩きには、お金を払って参加するほどの価値があるのだと広く知らしめることになる。まち歩きに価値があると気づいた人たちは、それを体験したくもなるのだ。それと同時に、それならそんな体験を提供しようという動きも生まれてくる。まち歩きの需要も供給も広がっていくのだ。

まいまい京都が事業を始めるまえから、「まち歩き」という活動はもちろん存在していた。しかし、それはたとえば、ガイドさんが自分の知り合いを集めておこなうなど、閉じられたコミュニティのものが多かった。享受できる人が限られていたのだ。「まち歩き」に値札をつけることによって、誰もが楽しめるよう民主化されるのだ。

値上げがもたらすもの

2011年春に、まち歩きツアーに価格をつけてから、まいまい京都のツアー価格は段階的に上がっている。それに比例するように、コース数も参加者数も伸び続けている。

ツアーの価格が上がると、これまで様々な制約によって諦めていた体験を、より参加者に提供できるようになっていく。あの場所にも行ける、あんな体験もできる。あのガイドさんにもツアーを頼める。ガイドさんへの謝金もこれまで以上に払えるようになる。スタッフを増やして、新たなツアー企画もできる。ツアーの種類や開催数も増えていき、参加者さんの選択の幅はさらに広がっていく。それは、きっと社会を豊かにすることだ。

値上げによって、コースも多彩になり、参加者はますます増えている。これからも、妥協せずにおもしろい体験を提供したい。そのためにも、値上げは不可欠なのだ。

まち歩きのリーディングカンパニーとして

まち歩きには、計り知れない価値があると私たちは信じている。その価値を価格に転化することで、市場に「まち歩き」の価値を広く知らしめることができる。私たちは「まち歩きのリーディングカンパニー」という自負がある。価値を「価格」としてしっかり提示していくことも、役目だと考えている。その取り組みの先に、「まち歩き」事業者がまいまい以外にも多数登場して、さらなる切磋琢磨が起こるだろう。そんな未来を構想しながら、「まち歩き」の価値をこれからも世に示し続けていく。

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