万感のおもい

万城目学

『あの子とQ』を読もうと思い、エッセイのほうを先に読んでしまった。わりと好きだと思うと人となりを知りたがる。昔『鴨川ホルモー』は読んだ気がするけど忘れてしまったな。

自分が小説家になったとき、歴史上の人物でよくわかっていないキャラクターをどう描くか、という話が興味深かった。
それこそマジカルニグロ、マジカルゲイだ。
物語に都合のよい身長(大きさで実子ではないことを匂わせるとか)、主人公にとって都合のよい存在にするために設定されたキャラクター。よって書く人によって全く違う印象になる。
たとえ歴史上の話でも、そういうふうに「造られた」人物像を私達は見ているんだな、と。

『マジカルグランマ(柚木麻子)』からくる、この仮りそめの人物像というか、そんな人存在しないのにその幻想を見ている様をまた思い出した。
「常に人々のイメージのなかに住んでいる。いや、イメージのなかにだけ生きていると言っても過言ではない。」
とある人物について書いていて、そのイメージをたのしんだり愛でたり嫌ったりしているけど、それになりたい、なれなくて苦しむことは滑稽なんだな、と思った。存在しないのだから。

他には、ひと月ごとに色があるという話がおもしろかったな。

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