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三文映画感想「フェラーリ」

なんの予備知識もなく観に行った。主人公のフェラーリが困難な状況のなか仲間たちと衝突し合いながらもレースでの優勝を目指すサクセスストーリー、ではなかった。カタルシス、皆無。

アダム・ドライバー演じる主人公エンツォ・フェラーリは、愛人に子供を認知してほしいと言われても、妻に愛人の存在がバレても、会社の経営難を役員に詰められても、困り顔してその場をやり過ごそうとする。あんなに美しくて妖艶なペネロペ・クルスが演じているはずの妻は、ずっと土気色。

ドライブシーンはずっと何かが起こりそうで嫌な予感しかしないし、その予感は想像以上に悲惨なかたちで的中する。

大変ズドンとした気分にはなるが、観たことにまったく後悔しない映画だった。

レーサーの食べかけのバナナをもらって大喜びする少年がすごくよかった。

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