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【全部教えます】全ビジネスパーソンに必要な「ブランド・エクイティ」の概念



自己紹介


はじめまして。タイミーでブランド・エクイティ領域を担当している木村真依と申します。私は「次の当たり前をつくること」をキャリアの軸にし、個人ビジョン「なるべく多くの人の毎日の生活を、より豊かなものにする」を掲げて日々奮闘しています。

【Profile】
新卒でマクロミルへ入社しマーケティング、リサーチ設計・分析業務に従事したのち、当時30名のクックパッドに事業立ち上げメンバーとして入社。事業グロースや競合に負けないブランドづくり、ビッグデータ等を活用したPR・マーケティングで月間約6,600万人が利用するサービスへの事業成長に寄与。マザーズ、東証一部への上場も経験し、2008年〜2018年の約10年間勤めたのち、GUに転職。GUではブランディング、マーケティング、PRを担当し、ファーストリテイリングでもコーポレートPRを兼任。その後、PRのSaasアプリ事業(現「CLOUD PRESS ROOM」)の責任者としてアプリ開発、事業立ち上げを経験し事業譲渡へ。フリーランスで企業のPR、ブランディング、マーケティングの支援を行い、2021年2月に株式会社タイミーに参画。BX(Brand Experience)部を立ち上げ、現在は会社及びサービスのブランディング、PR、オウンドメディアを統括し、ブランド・エクイティ領域、ブランド戦略を担当する。

スタートアップ〜大手企業と企業フェーズに合わせた、事業をグロースさせるためのPRとマーケティングの使い分け、有形、無形に関わらずマスブランドにするための実装を含めたブランド戦略設計、ブランディング、PR、マーケティングを得意とする。

自身の仕事内容やこれまでのキャリアを振り返ると、事業立ち上げや事業グロース、PR、マーケティング、ブランディングなど、自分でも多様な取り組みをしてきたなと感じます。
一見バラバラにも見えるかもしれませんが、これら取り組みには共通して、「ブランド・エクイティの向上」が軸、目的にありました。

これからお話ししたいこと


今後、大小問わず会社を経営をしていく方、事業を立ち上げる方、グロースをしていく方はもちろん、ビジネス全領域においてブランド・エクイティの概念が必要だと感じています。私の今までの経験や作ってきたブランド指標を伝えることで、少しでも想いを持った誰かの役に立てばと思い、自身のキャリアを振り返りながら「ブランド・エクイティ」やその向上についてのノウハウを言語化することにしました。

ブランド・エクイティの歴史はまだ浅く、効果指標や向上ステップの指標を含めて、まだ「これだ!」という正解はないのではないでしょうか(もちろんNPSや好意度、利用意向、満足度、マストハブ、認知度などの“指標”はあります)。短期間で効果が得られるものではない反面、さまざまな分野で多くの企業がひしめく状況下で、これからより必要になってくる概念だとタイミーでの事業を推進する中で日々感じています。

ブランド・エクイティって何?


さて「ブランド・エクイティ」とは何でしょうか。
この概念の提唱者であるデイビッド・アーカー氏(著書『ブランドエクイティ』の翻訳版が日本で1994年に出版)によれば、5つの構成要素で成り立っているといいます。
構成要素には、名前の認知、知覚品質、ブランド・ロイヤルティ、ブランドの連想、他の所有権のあるブランド資産の5つがあります。この“ブランドが消費者に与える目には見えない価値”を表したものが、ブランド・エクイティという概念です。デイビッド・アーカーは、ブランド名やそのブランドが掲げるシンボルなどと結びついた価値の集合体をブランド・エクイティと呼びました。

他にも、ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスのケビン・レーン・ケラー教授が提唱した「ケラーモデル」もあり、ブランドをマネジメントしていくプロセスを以下の4つのレベルで表現しています。

  1. レベル1 ブランドの認知(Brand Identity)ブランドの突出性

  2. レベル2 ブランドの意味づけ(Brand Meaning) 特徴の理解―印象・イメージ

  3. レベル3 ブランドに対する反応(Brand Response) 理性評価―感性評価

  4. レベル4 共感や同調(Resonance)


上記に加えて、私が考える「ブランド・エクイティの向上」は、生活者から選ばれ続けるブランドであり続ける(競争優位な状態をつくる・保つ)ために、「ブランド独自の役割」が理解され、かつ「共感や愛着の感情を持たれる」状態だと捉えています。またその状態は、ブランドとしての「一貫性のあるコミュニケーションで創られる」と考えています。

「エクイティ(資産)」は将来的に利益をもたらすことが期待されるプラスの価値ですが、「ブランド・エクイティ」はマイナスな面を含めた総合的な価値だと捉えています。したがって、“攻め”だけではなく、マイナスを最小限に抑える“守り”のブランドコミュニケーションも重要になってきます。具体的な内容については次回以降の記事でお話ししていきます。

木村が考えるブランド・エクイティ活動フェーズ

なぜ「ブランド・エクイティの向上」が重要なのか


先述したように、今は多様な分野で競合企業やサービスがひしめき合っている状態です。
似たような商品、サービスが飽和状態な中で、お客様の「時間」は変わらず平等に1日24時間です(さらにいうと、日本の平均賃金もこの30年間でほとんど変わっていません)。
今後、大切な時間やお金を使って選んでいただくのが、より難しくなります。そのような中で『選ばれ続けるブランド」であり続けるため、ひいては持続可能な事業成長のために必要なのが、「ブランド・エクイティ向上」なのです。

ブランド・エクイティが向上するとどうなるの?


ここまでのお話で、「ブランド・エクイティの向上って、結局企業側の都合というか、企業が選ばれるため・生き残るための手段なんだな」と理解する方がいるかもしれません。
もちろん企業側にとってのメリットは大きいですが、生活者にとってもメリットがあることなのです。
まず企業はロイヤルカスタマーが増えることで、
・売上が増え事業が安定する
・LTV(ライフ・タイム・バリュー/顧客生涯価値)向上や維持につながる
・ブランドやサービスから離脱されにくくなる
・競合との差別化ができる
・価格競争に巻き込まれない
・人に薦めてもらうことによる口コミ効果が期待できる(ファンがファンを広げてくれる)
・サービス改善やサービス開発につながる
・投資コストを抑えることができる

などが期待でき、

結果、効率よく利益が出ます(LTVの向上・持続など)!

一方で生活者は、安心感(ブランドに対しての安心感。ストレスなく日常が過ごせる)や優越感(自分が共感、愛着を持っているブランドを使っているという優越感)を得ることができたり、日々の生活での高揚感や豊かさを感じることができると思います。

さらに、ブランド・エクイティが高い企業で働く従業員にとってもプラスです。自社のブランドが必要、好きだと継続的に利用や購入してくれる「ロイヤルカスタマー」が増えると、やりがいや社会的意義を感じられるようになります。そしてモチベーションを高く仕事に取り組めることで、さらなる個人の成長や事業の成長につながるのではないかと思います。

「いい話ばかりすぎて怪しい...」「本当にそんな良いサイクルが生まれるのか?」という疑問もあると思います。ですので次からの記事では、私のこれまでのキャリアや事業変化などの具体的な経験を通して、ブランド・エクイティの有用性についてお話ししてみたいと思います。


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