「らしさ」探しの旅
この度、ブログを再復活しようと思い立ったは良いものの、自分なんかのブログを誰が読むのだろうか。
加えて、ダレトクなのだろうか。
そんなどうでもよいことが頭からぬぐい切れず、まったく文章に手がつかなかった。
そこで、まずは自分という人間の「らしさ」が出るブログにしたいという考えに行きつき、らしさ探求の旅をここに記したい。
旅のお供探し
旅に出るためにはコンパスが必要である。
僕はコンパスを探すとき、絶対に行く場所がある。
知識の宝庫、本屋である。
早速僕は新宿紀伊国屋本店へ行き、なんとなく自分の琴線に触れた本を参考文献として購入した。
生物から見た世界(フォン・ユクスキュル)
自省録(マルクス・アウレリウス)
きれはし(ヒコロヒー)
センスの哲学(千葉雅也)
我ながら幅が広すぎてよくわからない4冊だと思う。
ただまったくつながりがないように見えるこの4冊だが、自分なりに熟考して選んだつもりだ。
簡単にその本にした理由を書き残したい。
生物から見た世界
「らしさ」を紐解くために、環世界という概念がヒントになるだろう、と考えた。
この本を選んだ理由は、その概念が最初に定説された本であったからだ。
環世界という概念は以前読んだ「暇と退屈の倫理学」で目にしていて、大変に興味深い概念であった。
環世界の自分の解釈は「主体が感じている、見ている世界」といったところだろうか。ここでいう世界は、知覚するすべてのものは含まれているが、知覚していないものはすべて含まれていないということ。
主体について補足すると、ゆるぎないものではなく、その場での役、キャラクター、というイメージと捉えてほしい。
例えるのであれば、学校での自分、家での自分、バイト先での自分、すべて自分であることに変わりはないが、それぞれでその環世界として感じ取り、その環世界に合わせて振舞っているはずである。 例えるのであれば、職場では素晴らしいリーダーシップを発揮しているのに、家では奥さんの尻に敷かれているパパ、みたいな感じだと思っている。
(たぶんすごい誤読してる笑)
自分とは、ゆるぎないものではなく、その場の環境で揺らぎの起こる存在だろう。
そしてここに「らしさ」を見出すヒントがあるのではないか、と思ったのである。
ちなみに暇と退屈の倫理学は、自分が初めて読破できた倫理学的、哲学的な本である。 文体も面白く飽きさせない展開で、誰構わずにおすすめしたい本である。
自省録
いわずとしれた有名本である。
最近では菅田将暉主演のドラマでも物語の核となる要素にこの本が使われていたのは記憶に新しい。(そんなに新しくなくない?と言われるかも。)
そしてこの本を選んだ理由は、自分が知る限り世界で一番有名な日記だからだ。
日記とは、自分自身に影響した事象を、自分の言葉で書き記す、というまさに自分だけで完結する思索行動だろう。
ここに「らしさ」が眠っていないわけはないと思ったのだ。
聖人とよばれたローマ皇帝のアウレリクスが、日々どのようなことに心動かされ、どのように物事を捉え、どのように記したのか。
ここから「らしさ」を紐解くヒントが得られるのではないか、と考えたのである。
きれはし
ここでまさかの芸人ヒコロヒーのエッセイ。
以前からヒコロヒーさんのことは、謎のいい女感がある方だと思っていたが少し前に読ませていただいたnote記事で本書が紹介されていた。
この方の記事が良くて、noteをもう一回始めようと思ったことは大きい。
(ちいむさん、ありがとう。)
そこで見たヒコロヒーさんの文章にとても惹かれたのである。
いい意味でテレビで見るヒコロヒーさんとのギャップがすごいのだ。
まっすぐな言葉に見え隠れする理知的なワードチョイス。 加えて自分のことを飾らない、素直な文章に魅力を感じた。
同じ現代を生きる方の本ということと、芸人さんという「らしさ」で勝負する世界に生きている方の言葉はどんなものなのか。
ここに「らしさ」を紐解くヒントがあると思ったのである。
センスの哲学
センスの哲学は、このらしさ探求の旅に入る前に読了済みの本だった。
この本では「センス」というふわっとして、ちょっぴり怖い概念を、優しく、鋭く考察している哲学書である。
千葉雅也さんは、ドゥルーズという哲学者についての研究者で哲学に明るい。
その人がセンスという概念をどのように読み解き、どのようにセンスをよくしていくのか、を過去の哲学を参考にしながら紐解いてくれる。
なにしろ哲学は幅が広く、歴史も大変に長いので独学するにはあまりに大変だが、こういったセンスという曖昧模糊な概念を哲学の専門家が書いてくれるのだ。こんなにありがたい本はない。
(なにしろ僕にはセンスがないのだから。)
この本は2つの意味で参考にした。
「センス」と「らしさ」は親戚のような概念なのでは?と考えたから
「らしさ」を紐解くための思考の進め方としても参考にしたいから
らしさを探しに
長々と書いたが、以上のような4冊をまずは自分「らしさ」とはなんなのか、紐解き、今後のブログ運営に活かしたいと思って読み始めた。
正直、らしさなんて書けば勝手に着いてくるものだろうと思っている。
そして終着点も同じような結果になるんじゃないかと思っている。
だけれども、こういった気になったことを考え始めると止まらなくなってしまうのである。
僕という人間は、こんなどうでもよいことが気になったら止まらなくなってしまう。
これも「らしさ」というものなのであろうか。