[interview]#3 柳澤真理さん/Maru Cafe(佐久市)
古くから食文化が豊かな東信でも、「Maru Cafe」ほど食材を「商品」ではなく「人と自然のご縁の賜物」ととらえるお店はないでしょう。店主・柳澤真理さんが学生時代に発案し、2014年にオープン、いまや店のある通りや地域の界隈、さらには佐久市外・長野県外にまで「つながり」を広め、深めようとしているMaru Cafeの、現在と原点、そして今後について、真理さんにインタビューしました。
編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真提供(*)=Maru Cafe
※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストで公開しています
食べものをつくる人にあこがれる
岡澤浩太郎(以下、K) 初めてMaru Cafeに行ったのは、僕たち一家が長野に移住する前の2017年頃だったと思うんです。地域のことをまったく知らなかったので、たぶん「オーガニック」とか、そういう言葉で検索して、たどりついて。そのときはカレーを食べたんですが、いまはもう提供していないですよね。
柳澤真理さん(以下、真理さん) そうなんです。うちのお店は変遷がすごいんですよ。開店からずっとお付き合いしてくださるお客さんもいっぱいいるんですけど、見切り発車で始めたから失敗ばかりで……。
K いやあ、美味しさは変わらないですよ。Maru Cafeが開店したのは2014年でしたよね。その後、同じ通り沿いに食材や日用品を販売する「Maru Cafe商店」と、一棟貸しの宿「awai」がオープンしますが、「地域の自然とのつながりや人との縁を継続的に循環する」というような考え方は一貫していると思うんです。
K 特に農家さんなど、生産者の方たちへの思いを強く感じるんですが。
真理さん もう、リスペクトしかないですね。食べものをつくる人たちへのあこがれや、理解したいという思いはずっとあります。仕事やつくる野菜を見たら、これはもう、プロの仕事だと。だったら役割分担して、私は丹精込めてつくられたものをお客さんに出す「間の人」になろうと思って。
K 食材はどこから仕入れているんですか?
真理さん 主となる野菜は佐久の「長谷川治療院農業部」の長谷川純恵さんから毎週お任せで仕入れているんですけど、それ以外も玉ねぎはこの方、玄米はこの方、とか、それぞれの農家さんの得意なものを仕入れさせてもらっていて。
真理さん だけど地球の気候が変わって、特に果樹は毎年すごく苦労されているのが見て取れるんです。しかも、農家さんが高齢化しているんですよね。お菓子に使う小麦粉を使わせてもらっている南牧村の有坂さんご夫婦も、元気だけどやっぱり高齢で、後継者がいない。
これから原料や資源が貴重になってくる時代になるのに、それを守ってくれている生産者の方がいなくなったら……だからもう、簡単に仕入れられる時代じゃない、いま食卓にあるものが100年後の未来も食べ続けられるのかわからない。そういう思いが、ここ数年すごくあります。
〔編注〕農家の高齢化について
風景をつくる人になる
K 「100年後の未来」はMaru Cafeの大切なキーワードですよね。東京とかからもお店を訪れる人がいると思いますが、どんな反応をするんですか?
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