[interview]#11 武藤千春さん/農ライフアンバサダー・ASAMAYA(小諸市)
大変失礼ながら、世事に疎い私が武藤千春さんのことを知ったのは、「『野菜のサブスク』を小諸で始めた人」という情報が発端で、まさかテレビの向こう側=エンターテイメントの世界で活躍されていた人だったとは知りませんでした(すいません……)。「都会育ちで華やかな生活を送っている武藤さんが、なぜ長野の田舎に移住して畑を?」という点は、ほかのメディアの記事を検索いただくとして、sprout!では、マルシェの企画やポッドキャストなどなど、小諸でさまざまな活動を行う武藤さんにとって、農や小諸という街、移住の実際について、深掘りして聞きました。
編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真=林光
取材協力=中棚荘・はりこし亭
※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストで公開しています
みんなでゆるく農ライフ
岡澤浩太郎/八燿堂(以下、岡澤) 武藤さんはコロナ前の2019年に東京と長野県小諸市の2拠点生活を始めたそうですね。「コロナになってやることがなくなったので長野で畑を始めた」と、ほかのインタビューで拝見したんですが(笑)、2024年で5年経って、いまはどんな農ライフを楽しんでいますか?
武藤千春さん(以下、武藤さん) 基本的に露地栽培なんですけど、小諸も冬はわりと寒くて野菜とかはつくれないので冬はお休みして、やっと4月くらいから耕し始めて、5月から野菜を植えていく感じですね。
武藤さん 畑のほかに3年前からワイン用のブドウもやっていたり、田んぼもやっていたり、去年からウメを植えたり、今年はポップコーンやナッツもやろうかなと。といっても全部すごく小規模なので。小諸市内でちょこちょこやっている感じです。
岡澤 小規模と言ってもワイン用ブドウをやってるって、普通にすごくないですか?
武藤さん ワインは、つながりというか出会いでなんです。つくる場所もあり、醸造を委託できるところもあり、近くに作業を教えてくれる人もいて、環境はもう整っているから、「あとはやるだけじゃん!」って。始めてみたら意外と大変だったんですけど(笑)。
一応、お酒を販売する免許も取っているのでボトルになったら売るんでしょうけど、どうやって売っていくかはまだ全然決めてないです。
岡澤 野菜は種から育てるんですか?
武藤さん ものによりますね。苗から植えるのもあります。
岡澤 有機農法とか、やり方に特にこだわりは?
武藤さん 特にないですけど、「(農薬などを)いろいろ入れない」「あんまり持ち込まない」みたいな(笑)。むしろ私は素人で農薬の使い方もわからないので、「必要になったら勉強しよう」という感じで。だから、薬がどうのこうのっていう感覚は、実は私はあまりないんです。
岡澤 畑は結構広いんですか?
武藤さん 野菜は一反歩(一反)、ワイン用ブドウは二反歩くらいですね(注・一反=300坪=約1000㎡)
岡澤 それ、ひとりでやってるんですか!?
武藤さん 基本はひとりです。たまに家族や友達に手伝いに来てもらったり。野菜は夏に結構忙しくなっちゃいますね。
でも、ブドウも毎日手をかけているわけでもなくて、作業のタイミングで土日や平日の午前中とかに地域のボランティアの方にお声がけして、だいたいいつも5~10人くらいで、みんなで一気にやっちゃいますね。
お米は移住してきた仲間たち10人くらいと「米米倶楽部」というのをつくって(笑)、水の管理とかの作業をみんなでゆるくやっているので、そんなに時間はかからないんです。
岡澤 一緒にやっているのは小諸在住の人ですか?
武藤さん だいたいそうです。
岡澤 土地は借りている?
武藤さん 借りてます。
岡澤 これも別のインタビューで「家庭菜園の延長で始めた」と言ってましたけど、5年でそこまでの規模に拡大していたわけですか……。
武藤さん そうなんです(笑)。
岡澤 しかもちょっとしたビジネスにもなっているわけですよね?
武藤さん いや、全然なっていないですよ(笑)。野菜は、量がいっぱいできたものに関しては、「お野菜のサブスク」で都内とかにお送りしていますけど、ワイン用ブドウは今年初めて収穫~醸造なので、まだ1円にもなっていないんです。
小諸の農を伝えて届けるASAMAYA
岡澤 野菜のサブスクって、武藤さんがオンラインショップ「ASAMAYA」でやられていることですよね。今後は農のビジネスを本格的にやっていこう、とかは?
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