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変わり者のおじぃと孫のこと

私の祖父は、変わり者。
難しい性格で怒りん坊で厳格。

小さい私はそんなじぃじが恐ろしかった。
絶対に逆らってはいけない。そんな感じ。

そんなじぃじの仕事は、
小説家、ライター、オーサー、作家…
うーん。”物書き”っていうのが良い気がする。

物書きのじぃじの頭の中は
いつも空想とイメージと
難しいことと面白いことであふれていたように思う。

そしてみんなが理解できない
突拍子もないことを
突然言って困らせるのも得意。

だけど何故か私だけ、
じぃじの訳のわからない空想を
クスッと笑って少しだけ言葉を返せる。

私がコーヒーを溢して呑気に
「あぁ、寝そべった犬かクジラに見えるなぁ」
と考えてしまう、そんなところも
じぃじから受け継いだところな気がする。

世間から見た私は、
変わっていて個性的で少しだけ浮いている。
幼少の頃は生きづらかったこの性格も、
大人になった今は気に入っているし
面白いと思ってくれる少数派に囲まれている。
それがとても幸せに感じる隔世遺伝。

恐ろしくて、逆らってはいけない
火山のようなじぃじは、
怒りをどこかに忘れて、
穏やかに、少し幼く、丸くなって、ボケた。

じぃじは認知症になったことをわかってない。
そしてじぃじの頭の中は
年齢が散らばっていろんな記憶が混ざり合ってた。

だけど秀才で勉強のできた
じぃじのIQはなぜか衰えないんだから面白い。

きっと若い頃の記憶、大好きだった旅と散歩、
それがしたくて家から出て行く。帰り方を忘れて。

何度も迎えに行って、何度も探しに行って、
時間関係なく起こされる私たちの心は
すり減っていって、
考えてはいけないことを思ったり。
家族の泣く姿もたくさん見た。
だけど優しい記憶ももちろん存在するし、
思い返して優しい気持ちになるし笑ってしまう。

私とじぃじが散歩を一緒にするようになったのは、
その辺りから。

少ない距離を話しながら、
コーヒーを飲みながら、
変わり者同士、
友だちのように歩いた。
じいじお気に入りの哲学へ続く道をのんびりと。

追憶の中に生きるじぃじから
もらった言葉や時間をポツポツと残していく。

次回はじぃじと散歩に。
それでは、また。


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