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今どきはふんわりした氷山


じいじという人についての記事はこちら ↑

かき氷

ある夏の暑い日。じいじと散歩に出かけた。

家から10分の距離、
いままで意識したことのない家の前の通り。

じいじと腕を組んでのんびり話しながら歩くと、
20分もかかって、私たちのおしゃべりも花が咲く。

時々休憩したりしながら、
目の前を通り過ぎる人たちの観察をして。

生温い風を受けて桜の木の葉がさわさわ揺れて、
葉の隙間からちらちら覗く陽の光を
見るのが大好きな私たち。

いつも生き急ぐ私が
こんなに穏やかに暑い日に
汗を流しながらゆっくりとした時間を過ごすなんて。とても心地いいな。

やっとの思いでたどり着いたオシャレなカフェは
一瞬で私たちの汗を乾かしてくれる。

夏限定で、ふわふわのかき氷が3つ。

「贅沢にかき氷食べちゃう?食べたい?」
とじいじが嬉しそうに聞くので
かき氷が苦手な私だが思わず頷いてしまう。

「1個を半分にする?」「だめ。」
どうやら丸々ひとつ食べたいらしい。

じいじは好物の宇治金時抹茶を選び、
私はいちごみるくにする。

自分の分と私の分を
ふたつ注文した途端に席を選びに行くじいじ。

「いや私が払うんかい!!!」

思わず声が出た。

わっはっはっはと
笑う声が遠ざかって行くのを聞きながら、
支払う私。

全く悪びれない様子のじいじを
ジトーっと見つめて冷たい水を飲んで待つと
大きな濃緑と薄ピンクの氷山がふたつ。

ふたりで仲良くかき氷をいただきながら
一緒にじいじの過去にタイムスリップ。

「じいじが若い頃のかき氷は、
もっとかたくて氷の粒が目に見えてたんだよ。」

確かに今どきの氷はふわふわで
口に入れた途端に溶けてなくなる方が人気だ。

現代は、尖った食べ応えがあるものより、
ふんわりとして主張しないものの方が鬱陶しがられず
愛されるのかもしれないと思いながら、
お皿の底に溜まって薄ピンクの透った
甘い水を少量すくった。

かき氷を食べながら飲むお水が
ほんのりあったかくて
私たちの過ごす時間のよう。

夏の暑い日の私とじいじの思い出。
それでは、また。

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