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マシーナリーとも子EX ~サンタ線切り篇~
「あなた達……サンタっていると思う?」
「「はあ???」」
鎖鎌と錫杖は目を丸くした。思っても見なかったことを神妙な口ぶりで問いかけられたからだ。しかもそれを聞いてきたのはあのシンギュラリティ最強のサイボーグ、ネットリテラシーたか子だったのだ。
「たか子よぉ、ウチの若ぇ衆に変なこと吹き込まないでくれっかなあ」
マシーナリーとも子が呆れながらお茶をテーブルに置く。今日はクリスマス。そんなな
マシーナリーとも子EX ~知る能力篇~
ネットリテラシーたか子はめまいに襲われ、力無く腰掛けた。ファンネル2個が気を利かせブランケットをその膝にかける。なんでこうなるのか?
目の前には知らない少女と、それを連れてきたアークドライブ田辺……かつての部下であり、今は敵対する組織の幹部……がキラキラと目を輝かせている。
少女はたか子をキッと睨みつけている。だがその心の奥底には不安があるのだろう。目尻がピクピクと動いており。膝も少し震えて
マシーナリーとも子EX ~田辺の明察な判断力篇~
あーちゃんと呼ばれるその女の子はテレビのリモコンを手に取った。するとリモコンはボロボロに崩壊していった。アークドライブ田辺はポカンとその様子を見ていた。
「私が触ったものはみんなこうなるの……」
あーちゃんはもう片方の手を田辺のアームに握られていた。
「なんであなたは壊れないの?」
「あーちゃん、あなた……超能力者、なんですか?」
田辺の脳裏にトルーの顔が浮かぶ、なるほど、こういうパ
マシーナリーとも子EX 〜田辺の誘拐大作戦篇〜
「この女の子ですか……」
アークドライブ田辺は上司のトルーから写真を受け取った。今どき紙焼きである。画像をスマホで送ってくれればいいのにと田辺は思った。
(国連のエージェントから直接それを渡されてしまったので。私も効率が悪いとは思いますが)
トルーは田辺の考えを読んでテレパシーで返答する。彼女は人類最強の超能力者である。
「いえ。まあパッと懐から出せるのはありがたいかもしれませんから。
マシーナリーとも子EX ~翔ぶ栓篇~
ラウンデル絹枝は驚愕のあまり大口を開けていた。自慢のトラバサミ状の歯が剥き出しになっている。だが……それはいつもと違って相手を威嚇するための機能は果たせていなかった。彼女は初めてドレッドノートりんごに遅れを取ったのだ。行動のすべてを把握しているはずのりんご。いつも先手を取ったコミュニケーションを取れていたりんご。そのりんごに呼び出され、ノコノコと食事の席にやってきて、今は池袋支部のサイボーグに睨ま
もっとみるマシーナリーとも子EX 〜立ち向かう巨砲篇〜
「アミューズでございます」
ウェイターがドレッドノートりんごの前に皿を置く。スモークサーモンに水菜、そこにレッドペッパーを散らしたものだ。りんごはゴクリと喉を鳴らした。よく考えれば食事自体はオマケみたいなものなのだが、うまそうだ。
「あの……お客様」
「……はい?」
ウェイターが皿を持ったまま困っている。りんごの前に置かれたのと同じ皿……。
「……置いといてください……」
「お向かいで
マシーナリーとも子EX ~穿つ刺繍篇~
「白々しい?」
腕にデジタルミシンを取り付けたサイボーグ、ラウンデル絹枝はまたも歯を剥き出しにしてニヤリと笑った。その歯はトラバサミのようにギザギザになっており、なおかつキレイに噛み合いあっている……。人間のそれとはまったく異なる歯並び! それは監視対象を威嚇するために改造された彼女のオーダーメイドトゥースなのだ!
「相変わらず不気味な歯……」
「不気味とはご挨拶ゥ。りんごちゃん、君と食事を
マシーナリーとも子EX ~灼熱の公園篇~
「やあこれはこれは、こんなところで奇遇だな」
ドレッドノートりんごはその声が耳に届くより先に、その独特の駆動音でその者の存在に気づき、警戒心を高めていた。
「……奇遇? バカ言わないで……」
りんごは眉間にシワをギュッと寄せ、敵愾心を剥き出しにしながら振り返る。果たしてそこにいたのはりんごの警戒していたサイボーグが立っていた……。その腕にはマントラ入りの12針デジタルミシンが取り付けられ
マシーナリーとも子EX 〜飛ぶ鉄塊篇〜
そして再び……とある港! ベルヌーイザワみは静かに音を立てる海を見て黄昏ていた。かつてしばらく世話になっていた海の底のことを思い出していたのか、はたまた戦車を改造すると言ってこの2週間家に帰ってきていない妹のことを思ってか……?
ザワみの耳にブブブブとエンジン音が入る。振り返ると錫杖とマシーナリーとも子が原付に2ケツしてやってきたところであった。ハンドルを握る錫杖が手を振る。
「よーっ、ザワ
マシーナリーとも子EX ~鳥頭の巣編~
錫杖に連れられた謎の酒場……。その店の奥からグッさんと呼ばれるワシ頭の亜人が現れた! ジャストディフェンス澤村は慄きながら対話を試みる!
「わ、ワシの亜人かあ?」
「ワシィ!?」
亜人の鋭い眼光が澤村を貫く! そのにらみつけに澤村は戦慄し、まるで防御力が下がったかのような感覚を味わう!
「あーあー、グッさんがいちばん嫌がることを言うたなあ澤ちゃんや」
「わ、悪かった……。違うのかあ?」
マシーナリーとも子EX ~速さへの渇望篇~
「キャッホー!」
ブブブブブ……ゴゴゴゴゴ……。
モーター音、アスファルトを切りつけるタイヤの音……。それらに混じって錫杖のはしゃぐ声がマシーナリーとも子たちに聞こえてきた。
錫杖は原動機付自転車にまたがっている。ひらがなの「し」を更に強引に曲げたかのようなフォルムにパステルグリーンのボディカラー……色は黒系統ばかりだったので買った先で即、塗装してもらったそうだ……。この車種は原付2種と
マシーナリーとも子EX ~カニ虎伝説篇~
「ガマちゃんさあ」
「な〜に?」
店主のガネーシャに呼ばれ、鎖鎌がレジカウンターに駆け寄る。高円寺のアンティークショップ「ムンバイ」。鎖鎌と錫杖がバイトしている、ほとんど客のこない古道具屋だ。しかもたまにくる客は大抵まともな人間ではない。亜人や宇宙人……そうでなければサイボーグといったところで、時たま警戒した表情で普通の人間が入ってくることはあるが、大抵置いてあるものの価値がわからず帰っていく
マシーナリーとも子EX ~真実との接触篇~
Dr.ココスの依頼を請けたその日の深夜、ワニツバメは高田馬場の喫茶・ローリングドリームにいた。この日は亜人専用の深夜営業日……。人類に後ろめたい話をするには都合が良い。
「ワニさんには何か出したほうがいいかな?」
お代わりのコーヒーを持ってきた店主・リープアタック田原が気を利かせてセベクに話しかける。セベクはガウガウと身を捩ってツバメに要求を伝えた。
「ありがとうございまス。ではロースト
マシーナリーとも子EX ~怪しい依頼人篇~
クロコスワロー探偵事務所……ワニツバメが新しくN.A.I.L.の待機所に開いた探偵事務所(20㎡・窓付き)。そこに新たな依頼人としてやってきた中年の男性は少し怯えながらこう口にしたのだ。
「私の名前はDr.ココス……。探してもらいたいというのはサイボーグなのです」
ツバメは一瞬言葉を失った。
だが即座に腕にくっついているワニのセベクと高速念話を試みる!
(セベク!? こいつなんでス!