2020年7月の記事一覧
マシーナリーとも子ALPHA 〜超能力者と猫公園篇〜
(……疲れた……)
トルーは声に出さずにそう漏らすと、国連からの潤沢な資金提供で購入した上質なオフィスチェアの背もたれに全力で体重をかけた。忙しい。人類の既存の仕組みでは解決できない様々な事態──宇宙人、原住亜人、異次元人、怪獣、UMA、サイボーグ──を鎮圧する。ここ数年でN.A.I.L.が請け負うようになり、組織拡大のきっかけとなった重要業務である。これらの活動から得られる収入は莫大なもので
マシーナリーとも子ALPHA 〜たか子の稼ぎ篇〜
カフェにモーターの轟音が響く。その轟音は店内中央のラウンドテーブルから発せられていた。座るのは2名の女性。耳をそば立てるとモーター音に混じって小さくパチパチと軽い音が混じっていることに気がつくだろう。轟音は腕にチェーンソーをつけたサイボーグから。小さなパチパチ音はその向かいに座るサイボーグの手元のキーボードから発せられていた。
もはやわざわざ説明する必要はないだろうが……念のため紹介しておこう
マシーナリーとも子ALPHA ~迫る尋問篇~
「タイムマシンの場所を知らない、と……」
ワニツバメはもう一度深くパイプを吸うとたっぷり煙を吹き出した。鎖鎌はワニツバメに見据えられながら脂汗を滲ませる。タイムマシンの場所は知らない。この答えは半分……いや、7割ほど嘘だった。タイムマシンの場所は知っている。だが起動のさせ方を知らないのだ。なんだっけ……確かシンギュラリティのサイボーグじゃないと動かせないんじゃなかったかな?
「何か……。含
マシーナリーとも子ALPHA 〜迫る探偵篇〜
パカン、と寿司桶の乾いた音が響いた。鎖鎌が昼食を平らげたのだ。
「暇だな〜〜……」
誰もいない部屋でゲップをしながら鎖鎌はリーダー用の椅子にグッと体重をかけて仰け反らせた。エアバースト吉村とダークフォース前澤は横須賀に行った。そのあいだの留守番を鎖鎌に任されたのだ。鎖鎌は紆余曲折の末シンギュラリティのメンバーとして数えられてはいるが、サイボーグではない。そんな彼女をデータセンターに連れて行