- 運営しているクリエイター
2019年10月の記事一覧
マシーナリーとも子ALPHA ~魔境の談話室~
「……わかりませんね」
通信機のフタを閉めながらタイムリリース原田はため息をついた。こいつはシンギュラリティに12ロボいるタイムマシン技師で、これまでも何度も通信機やタイムマシンの具合を見てくれていた。半年ほど前にも私がうっかりタイムマシンの時間調節バルブをへし折ってしまった時、たか子さんに内緒で直してくれる気が効いて腕の立つヤツだった。そいつが、通信機を直せないと抜かす。
「なにぃ〜〜?
マシーナリーとも子ALPHA ~愛顧のカブトムシ~
「マシーナリーとも子、虫捕りに行きますよ。支度をしなさい」
「はあ?」
マシーナリーハウスのドアチャイムが鳴ったので開けると、麦わら帽子に虫捕り網に虫取り籠のフル装備をした上司がそこにいた。
「事情はこれから説明します。が、あなたはどちらにしろ虫捕りに行かなければなりません。上がってもいいかしら?」
「はあ……まあ……いいけど」
「ありがとう」
夏休みのガキみたいな格好のネットリテラシー
マシーナリーとも子ALPHA ~猫と住む少女~
その日、私の街から大量の猫が消えた。
猫とともにあの女の子も消えた。
***
私がつぶれかけの靴を見つめながら学校からの帰り道を歩いていると、小さななにかが通り過ぎた。
最初は虫かと思ったけど、遅れて鼻の奥に酢飯の香りがしたので思わず振り返った。
空中に浮いていたのは寿司だった。
それも酢飯に乗っていたのは魚の切り身じゃなくてハンバーグだった。
「ハンバーグ!?」
私は流石に
マシーナリーとも子ALPHA 〜研ぎ澄ます刃〜
2045年の茨城県は、人類による愚行の繰り返しとシンギュラリティの侵攻によって文明レベルが江戸時代の水準まで後退していた。
アスファルトによって舗装された道路は砕かれ、電気と水道は通っておらず、中継局も壊滅したため電波によるネットワークすら通らない。
人類から見放された地、茨城県に残っているのは松の木やアンコウ、納豆と、文明を手放した世捨て人のような者たちが少し、あとはカマドウマくらいであった。