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大事なときに必ずやってくるパニック発作。
本当に、人生の要所要所でパニック発作に悩まされてきました。
前回の記事に書きましたように、大学院入試の頃はパニック障害全開で、外に出ようとして玄関の所に行くと猛烈な吐き気に襲われて、その場でうずくまってしまうというような日々でした。
その上、僕は嘔吐恐怖症でもあるので、簡単に吐くことができないのです。
ですので、パニック発作に襲われたときは、その猛烈な吐き気をただただ耐えるのみという状態になるのです。
そんな僕は、受験という受験において、ことごとくパニック発作に襲われてきました。
現役時における大学受験でもバッチリ襲われていたのです。
同じ大学を受験する友達と梅田駅で待ち合わせていたのですが、僕が電車に乗れなくなり、結局その友達一人で行ってもらうことになりました。
僕は電車に乗り梅田駅を目指して出かけました。最初の方の各駅停車してくれる数駅は「電車の中でパニック発作がきても、すぐに降りられる」との安心感からクリアできたのですが、さあここからノンストップで目的地まで進むぞ!という駅についた途端、猛烈な吐き気に襲われてしまい、我慢できずに電車を飛び出してしまいました。
吐き気が治まるまでベンチに座っていようと思ったのですが、休めども休めども一向に吐き気は治まらず、むしろどんどん酷くなって行きました。
「これは梅田駅まで行くのは、とてもじゃないけど無理だ。受験は諦めて帰ろう」
ということで、とりあえず家に電話して、「(こういう事情なので)もし友達から電話がかかってきたら、一人で行ってもらって」と家族の者に伝え、僕は引き返すことになりました(当時はスマホや携帯などない時代でした)。
そして一年浪人をして、改めて大学受験をすることになるのですが、その際もパニック発作に襲われてしまったのです。
本命の大学の本命の学部の受験中に、それは起こりました。
1時間目の英語はなんとか乗り越えたのですが、2時間目の国語の受験中に、やはりめちゃくちゃ酷い吐き気に襲われたのです。
「このまま問題用紙を見ていては盛大に吐いてしまう」
そう思ったので、仕方なく問題を解くのを止めて、机に突っ伏して半分寝ながら休むことにしました。
周りから見れば「あいつ諦めよった。終わりやな」ぐらいに思われていたことでしょう。まあ実際そんな感じで机に突っ伏していました。
休んでも一向に治まらず、もう吐いてしまう寸前!みたいな状況になってきたので、挙手して試験官を呼んで、トイレ退出をさせてもらおうかとも思いました。
しかし、一回退出してしまうと、また猛烈な吐き気に襲われるのが怖くなってしまい、二度と会場内に入ることができなくなると思ったので、このアイディアは捨てざるを得ませんでした。
仕方ないので、為す術もなく机に突っ伏したまま、奇跡的に回復することに賭けました。
すると、残り時間がかなり少なくなったときに、ようやく…本当にようやく!回復してきたのです。
残り時間は殆どなくなっていたので、人生最大の集中力を発揮して、残りの問題と取り組みました。
すると、奇跡が起こってくれたのか、どうにか全問解き終えることができたのです。
見直しなどする時間はなかったので、ほぼ全問解きっぱなしで提出しました。
結果、無事合格して、入学することができました。
「最後の最後まで諦めたらあかん」
それを心底実感したできごとでした。
その後の生活において何かに取り組んでいるときに、「これは無理かな…?」との思いが頭をよぎっても、「とりあえずもう少し粘ってみよう」と思うことができるようになりました。これは本当に大きな財産です。
もう一つよく覚えていることがあります。
それは、司法試験の短答式試験の際に、またもや猛烈な吐き気に襲われてしまったことです。このときも、大学受験のときと同じように、試験中に机に突っ伏してしまったのです。
旧司法試験の短答式試験は、憲法・民法・刑法の問題が各30問、合計90問の問題を、3時間30分で解き終わらなければならないというものでした。
「大学受験の悪夢の再来や……」
と絶望し、猛烈な吐き気と闘いながら、涙を流して机に突っ伏していました。
周りの人たちは、カッカッカッと解いていくし、「これは終わった、さすがに終わった」と震えまくりました。
このときも、トイレに立ってしまったら、怖くなって二度と会場内に入れなくなると思い、ただただ机に突っ伏して、嵐が去るのを待っていました。
実はこの試験のときに、ある御守を持ってきていたのです。
それは、ある雑誌の表紙を縮小コピーして小さなクリアケースに入れたものでした。
その雑誌の表紙とは、僕が大好きなバンドで、当時の僕の精神的な支えだった「THE CLASH」のメンバー4人が、革ジャンを着てこちらを向いて立っているというものでした。
人生が決まる緊迫の試験中、その会場内で盛大に吐いてしまう恐怖と闘っていた僕は、思い出したように、その御守を見つめました。
ジョー・ストラマーが、
「お前ならやれる。大学受験のときも乗り越えただろう?お前ならやれる」
そう言ってくれているような気がしました。
刻々と時間は進み、残り時間が少なくなり、試験終了が迫ってきたところで、ようやく!ようやく!徐々に吐き気が治まってきてくれたのです。
後はもう必死で問題を解くのみです。今回もやはり見直しの時間などはありません。解きっぱなしになります。
なので、一問一問、全力以上の力を出し、生涯最大の集中力で取り組むしかありません。
無我夢中で解きに解いた結果、なんとか合格していました。
「やっぱり簡単に諦めたらあかん!どんなときも全力を出さなあかん!」そう思ったのでした。
日常、生活をしていると、そのような強い思いは忘れがちになってしまいますが、人生に数回起こるようなイザというときに、そのような気持ちで取り組むことができればいいなと思います。
パニック発作はここしばらくは治まっていたのですが、最近になって頻発してくるので困っています。
あのときのことを思い出したりしながら、ゆっくりと付き合っていこうと思っています。
まだ他にもパニック発作エピソードはありますので、またの機会に書いてみたいと思います。その際もどうぞ宜しくお願い致します。
それでは今回はこの辺で。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!