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ある刑務所の立派な刑務官。
大阪矯正管区内のある初犯刑務所で、とても立派な刑務官(工場担当官)の方にお会いしたことがあります。
その工場は、屋外で作業を行っているので、夏などは地獄の暑さになります。しかしその工場の受刑者は半袖にはなれずに、長袖を着用しなければならないという決まりでした。
暑さによる苦痛で受刑者の顔が歪む中、よくよく見ると、その工場担当官の方も受刑者に合わせて長袖の服を着ていたのです。刑務官には夏用の半袖シャツが支給されているにもかかわらず。また、長袖シャツを着用するにしても、その場合に腕まくりをしても構わないにもかかわらず(実際に他の刑務官の方々はほぼ全員、半袖シャツを着用されていました)。
「受刑者が長袖で暑い思いをしているのだから、工場担当官だからといって楽はできない」との思いからの行動とのことでした。
そして受刑者が休憩時間に入って、半袖になることが許されたときに初めて、その工場担当官もようやく腕まくりをしたのです。
こういう刑務官の方に巡り会えると、更生への道も具体的に見えてくるのだろうなと思ったエピソードです。夏が来たら思い出すエピソードのひとつです。