固有背筋評価のポイント(腰痛との関連)
固有背筋は外側と内側に分かれます。
それらの基礎的な解剖と腰痛との関連を見ていきましょう。
固有背筋外側群
・最長筋
起始:仙骨、上後腸骨棘
停止:腰椎肋骨突起、胸椎横突起
神経支配:脊髄神経後枝の外側枝
作用:両側性では脊柱の伸展、一側性で同側への側屈、回旋
・腸肋筋
起始:仙骨、腸骨稜、胸腰筋膜
停止:下位肋骨、腰椎肋骨突起、肋骨角
神経支配:脊髄神経後枝の外側枝
作用:両側性では脊柱の伸展、一側性で同側への側屈、回旋
痛みが発生する解剖学的な要因(固有背筋外側群)
最長筋と腸肋筋は上外側に扇状に広がりながら走行して、肋骨突起や肋骨結節に付着します。
この配置は、脊柱の伸展、回旋を行うのに非常に有利な配置となっています。
固有背筋内側も脊柱の伸展作用を持つが、伸展作用の80%は外側群が担っています。
つまり、抗重力姿勢によって生じる胸背部への伸展ストレス(前に倒れようとする力)は固有背筋外側の伸展作用が相殺していることになります。
この筋群の柔軟性が乏しくなるような不良姿勢を続けると、体位前屈が困難になってしまうため、前屈が必要な靴下の着脱などができなくなってしまいます。
固有背筋内側群
・多裂筋
起始:全腰椎の乳頭突起、仙骨後面、上後腸骨棘
停止:起始より3椎体上位の棘突起
神経作用:棘突起に付着する高位の脊髄神経後枝の内側枝
作用:両側性では脊柱の伸展、一側性では反対側への回旋
痛みが発生する解剖学的な要因(固有背筋内側群)
固有背筋内側群は椎骨の横突起と棘突起の間に存在する筋肉で、一椎体間を繋ぐ短回旋筋と二椎体間を繋ぐ長回旋筋、三椎体間以上をを繋ぐ多裂筋が存在する。
腰部多裂筋は腰椎の生理的前弯位で最も活動性が高く、後弯位で最も低い。
多裂筋は、椎体間の安定性に大きく関わり、下肢の運動にも影響を及ぼしている。
そのため、腰椎後弯位が続くと多裂筋の機能が低下して、椎体間の安定性は低下し。下肢の運動にまで影響を与えてしまう可能性がある。
さらに多裂筋は、1つのコンパートメントに囲まれるため、腰椎後弯位が続くと筋内圧が上昇してコンパートメント症候群が引き起こされてしまう。