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【よく考えてみると】看護・介護職の為のストライキは国民の為になるのか
前回「介護職の賃上げ」についてお話ししたばかりですが、追い打ちをかけるように『賃上げ』関連の記事が出てきました😮
そこで今回も「賃上げ」について取り上げますが、前回お話しした
『賃上げが語られる時の注意点』
を思い返しながら記事の概要や元記事を見てもらえると、理解が深まるかと思います。
看護・介護職の為のストライキは国民の為になるのか。
その中身を一緒に見ていきましょう。
【記事の概要】
・医療や介護の現場を支える職員で組織する日本医療労働組合連合会(日本医労連)が、十分な賃上げの実現を訴えるストライキの実施を計画。
・ストライキは患者・利用者の命や健康が守られる範囲内で実施され、看護職員や介護職員らの賃上げが必要なことを広く社会にアピールしつつ、政府に具体策を講じるよう訴える方針。
※詳しくは下記リンク参照
【ストライキとは『権利』】
この記事を理解する為に、まずは「ストライキ」について見ていきましょう。
ストライキは、労働者による争議行為の一種で、労働法の争議権の行使として雇用側(使用者)の行動などに反対して被雇用側(労働者、特に労働組合)が労働を行わないで抗議すること。
日本では、日本国憲法第28条により労働基本権のひとつとして保障され、主に労働組合法及び労働関係調整法で規定される。
簡単に言うと「雇われる側が雇う側に対して抗議する権利が憲法によって認められている」ということですね👨🏻🏫
ストライキに関して、件の医労連でも「ストライキの手引き」が公表されています。
ストライキは、憲法で認められた労働者の当然の権利です。経営者と「対等」の立場に立ち、要求を前進させる有効な手段がストライキです。
私たちは、医療・介護労働者が置かれている低賃金・劣悪な労働条件を改善し、国民の医療・介護・福祉・社会保障を守るために経営者(使用者)・自治体・政府に要求書を提出し、要求実現のために交渉を重ねます。
ここでは
・医療・介護労働者が置かれている低賃金・劣悪な労働条件を改善する
・国民の医療・介護・福祉・社会保障を守る
といった目的のため、「経営者と対等な立場で交渉する手段」としてストライキを用いる旨が書かれています🤝🏻
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【大切な権利とお金がない現実】
以前【看護・介護職の冬のボーナス減! 問われる『豊かさ』の形とは?】でもお話しした通り、看護・介護報酬による賃金とは
・看護・介護報酬とは「広い意味での税金」を財源としており、税収が増えなければ給与の財源となる報酬も増やせない
・報酬への依存率が高いほど収入は安定するが国の方針に従わざるを得なくなり、身動きが取れなくなる
という性質を帯びます😨
彼ら彼女らの給料を『報酬』で上げようとする限り誰かが代わりにその負担をしなくてはならず、さらに報酬を支払う国の意向に従わざるを得なくなる訳です😶
仮にストライキによって看護・介護職の賃上げが成功したとしても、その在り方は果たして『豊か』と言えるのか。
あるいは「お金の出所」である国の意向に従わざるを得ない状態で看護・介護が社会保障として機能するのか。
「大切な権利」と「お金のない現実」との板挟みが、看護・介護職の現状を作り上げていると言えるのではないでしょうか。
[日本の現状を知っても賃上げを望めるか]
それでも日本経済が盛況なら「高いお金を払ってでも医療・介護を受ける」という方針もなくはないのでしょうが、
・平成不況(失われた30年)
・コロナ不況
などが相まって、盛況とは言い難い状態にあると言えます😔
また2025年の日本経済の見通しも不安要素があり、「一人当たりGDP」を見ると、日本はG7で最下位の39位、韓国や台湾よりも下に位置する状況です😑
国民生活もまた厳しい現状にあり、「去年1年間の家計調査で、2人以上の世帯が消費に使った金額は、物価の変動を除いた実質で前の年より1.1%減少」との報道もあります😢
物価高による節約傾向が見られ、ここには
「お金を払わなくて済むなら払わないでいたい😫」
という悲鳴のような思いが感じられます。
このように国民全体の生活が厳しい中、国民から更にお金を徴収して「社会保障を機能させる為に看護・介護分野を手厚くする」という主張がどこまで実現されるのか。
『看護・介護職のためのストライキ』と聞いても、多くの方は
「看護・介護が大変だという気持ちはわかるけど、私たちもこれ以上お金を取られたらやっていけない😰」
「今のまま、どうにか踏ん張っていただけないだろうか😢」
と言うのが偽らざる本音ではないでしょうか。
働く人も、お金を払う人も苦しむ構造。
賃上げを『報酬』に望むあり方は、本当に社会を「しあわせで、ゆたか」にするのでしょうか?
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[看護・介護職の給料は本当に低いのか]
実際に看護・介護職や全産業の平均年収を見ていくと、
・介護職:およそ400万
・看護職:およそ500万
・平均年収:およそ460万
となっています。
こうして並べると「介護職」は確かに平均年収と比べて少ないかもしれませんが、「看護職」は平均年収以上ですから、医労連が語るような『低賃金』というイメージはありません😮
むしろ制度ビジネス側である看護職が、「金銭的付加価値を自ら生み出す産業」の平均年収以上の給料をもらっていることに違和感すら覚えます。
繰り返しになるかもしれませんが、
・「一般的な職業が経済活動で生み出すお金」から出される給料
・「一般的な職業が経済活動で生み出すお金」から徴収された税金の一部である社会保障費、その中の医療費を源泉として出される給料
この二つを比べて後者の方が大きくなるのは「経済活動よりも税収の方が多い」という事態でないと辻褄が合いませんが、そんな逆転現象を起こしていては経済回復などしようがありません😑
ところが現実として看護職の方が平均年収が多いのなら
①一般職の給料こそ低い(税金や株式配当などで抜かれ過ぎている)
②看護職の給料が高い(医療費が多過ぎる)
ということになります🧮
ただこれはあくまで平均年収で見た場合の話ですし、個々で事情は異なりますから、一人ひとりの受け止め方はまた違ったものになるでしょう。
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【給料改善より処遇改善を】
とは言え、少なくとも『低賃金』というのは無理があり、それでも体感として「給料が低い」と感じているなら、それは働く環境の問題(業務上の負荷)だと考えられます。
「仕事の負荷に見合うだけの給料ではない」ことを「給料が低い」と言い換えている、とも。
つまり
「本当に不足しているのは『働きやすさ』の方で『お金』ではないのでは?」
という話です🧐
というのも、現状は仕事量と求められる責任が多過ぎて看護・介護で働く人々が疲弊しています😥
だからこそ「せめて給料は高くあってくれ」と願い、そうなっていない現実に不満を抱えた結果、『賃上げ』ムーブメントが生まれた訳です。
これがもし給料がそのままで仕事量が減ったなら、ある時期を境に「まぁこんなものか」と納得感が生まれるでしょう。いわゆる「割りのいい仕事」になる訳ですね。
そうして心理的・肉体的余裕が出てこれば
「お金が足りないなら自分で稼げばいい」
「足りないものは自分で作ればいい」
「自分のできることを皆で分け合えばいい」
という自責思考になり、自分の問題を手早く解決して満足度の高い生活を送れるようになります😊
[働きやすい環境は未来に残せる資産となる]
加えて『働きやすさ』という環境は個人だけではなくチームに、現状だけでなく未来にも残る資産となります。
介護ロボット等テクノロジーが現場の問題を解決したり時間・労力の軽減につながったりする場合、それは介護職一人だけでなく、その現場の介護職全員を救う手立てとなります。
例えばコミュニケーションロボットを活用することで認知機能の低下抑制効果が期待できるものもあります。
(ただ「ロボットが搭載する機能に認知症の方を任せる」ことが、相手の尊厳あるいは人権を損ねていないかは評価する必要が本来はあるのでしょう。これはロボットの問題というよりは『ロボットを取り巻くヒト』の問題となります)
現状では「介護の生産性向上」を目的とした『生産性向上推進体制加算』による介護ロボット等テクノロジーの配置は、事業所にとって
「加算を取るための手段」
であり、現場の声を反映させずに導入された「働きやすい環境を生み出すツール」が使われることなく『置物化』しています😧
[給料を上げても泡と消えるばかりか、さらなる不満を煽られる]
つまるところ道具は使うヒト次第であり、ヒトがより良い環境を作り出すツールの扱い方やその意義、もたらす未来などを理解し、考えることが大切なのです🤔
そうなれば必然「学ぶ介護職」が増えることが根本的な解決に向かう道筋と言えますが、しかし制度ビジネスで働く職業は構造的に
・モチベーション(動機)
・インセンティブ(報奨)
を自分で設計しなければならず、しかしそれが設計できるならストライキを起こす労力と時間をそれらの設計に充てるでしょう。
こうなると「ヒトに直接お金を渡す」よりも「環境を良くする」方が投資効果は高いことがわかってきます🧐
看護・介護職の給料が月1万増えたとしても、何かしらの消費行動によって個人の目的を達成して消えていきます。
それで彼ら彼女らが一時満たされるなら効果があると言えますが、現実にはどれだけ給料を上げても『年収』という幻を追いかけされられて、「足りない」と不足感を煽られ、いいように操られるばかりです😭
であれば、形あるもので現場の問題を解決する方が現実的な負担が解消され、実利を得られます😊
しかもそれらは自分一人だけに効果があるのではなく、職場全体に対して効果をもたらし続けるのです。
だからこそ、看護・介護で役に立つツールを使いこなせるよう学ぶこと。
見せかけの数字を追いかけるのではなく、目の前の現実を改善する手段を身につけることが未来に残せる『資産』となるのです📖
【まとめ】未来に残せる『資産』となるか、消えゆく『幻』となるか
今回は「看護・介護職のストライキ」から、未来に残せる『資産』の話をしてきました😊
賃上げを考える時に大切なのは「職業の年収」ではなく「『あなた』の不足分」であり、その足りない分は報酬改定を待ったりストライキを起こしたりするよりも
・自分で稼ぐ力を身につける
・サービスと交換できる『付加価値』を身につける
・支え合うコミュニティに所属する
といった手段を取る方が早くて確実です💪🏻
「賃上げ」という個人消費に消えるお金を増やすより、看護・介護分野を生存させるべく「働きやすさ」という資産を残す方へお金を投入した方が長期的に見て有利です。
現場の理不尽を「昔からの決まり」「そういうものだ」と改善せず放置し続けて来たツケが
・慢性的な人材不足
・報酬依存の運営体質
・変化を望まない空気感
を助長してきた事実と、きちんと向き合う必要があるのです😶
このように「自分たちの問題は自分たちで解決する」という意識に切り替えていかないと、この状況を利用したい人々の『意図』に操られるばかりです😰
そして、そうして操られた先にあるのはいつだって「今以上の苦難」だったこと。
特に2020年からのコロナ禍で多くの人々が『正しさ』に誘導された結果、医療・介護施設ばかりがクラスターを増進させ、今なお感染症対策に勤しまなければならないこと。
それら全て、流されるように2025年まで来てしまったから起きたのではありませんか?
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未来のために看護・介護職が2025年の『今』、選ぶ道のりは何か。
SNSやインターネットが主流となり、瞬く間に情報が拡散される現代において『表面・建前・偽物』は直ぐに見抜かれて人が離れていきます。
これからの時代に生き残るのは『本質・本音・本物』であり、看護・介護職においても例外ではありません。
看護・介護職の選択が未来に残せる『資産』となるか、はたまた消えゆく『幻』となるか。
職の本分が問われているように思えてなりません😳
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