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フィルム写真への旅(ツーリング編)

フィルム写真を撮る楽しさ、フィルム写真を眺める嬉しさについて話してみたいと思います。
タイトルはフィルム写真への旅(ツーリング編)としました。私はフィルムで撮影するのが好きです。面倒な事も有りますがそれを上回る喜びもあります。スマホやデジカメで写真を撮るのが好きな人はたくさんいると思います。フィルム写真についての喜びを知ってもらい、フィルム写真家が増えることを願って記事を書きました。かなりの長文になったので分けて読んで頂く覚悟でお願いします。

1.PJM(Photographer Journey Map)

この言葉はITの世界で最近使われているCustomer Journey Mapから取ってきました。専門的な話は省きますが、元々はマーケティングの用語です。

お客様が、どの様なプロセスを経て製品やサービスを知り(認知し)、考え、感情が変化し、購入や利用に至る(あるいは至らない)流れを
時系列に視覚化・整理しまとめたものがCustomer Journey Mapです。
以下が具体的な例で、出典はジーピーオンラインさんのBlogです

この様な視覚化の目的は、
お客様がどの様な体験を経て製品やサービスを所有するに至るかを明確にし、何を改善すれば所有に至るのかを発見することです。

この考え方を写真との関わりに応用してみます。私がどの様なプロセスを経て写真を撮るのか(あるいは撮らないか)、また実際にフィルムをプリントをするのか(あるいはしないか)について、自分の感情と技術を重ねてお伝えしていきたいと思います。

フォトグラファージャーニーマップ

フォトグラファージャーニーマップ

はい。これがズバリ、私が考えたPJMです。めちゃくちゃ汚い字ですみません。冷や汗がでますね。。電子ファイルに打ち直しても良かったのですが手描きの方が楽しさが伝わるかと思いそのまま載せました。これからこのPJMで何を書いているか説明したいと思います。

どうなるかわかりませんが、最後までお付き合いしてもらえると嬉しいです。

2.はじまり(興味〜情報収集〜検討〜機材選択)

興味:ちょっと面白そう

2020年の8月中頃、うんざりする程暑い時期でしたがぶらっと写真に撮りに出かけたくなりました。知人が伊勢神宮に行った話を聞いたりして、バイクで涼しいところに行きたなと思っていました。
とりあえずバイクで伊勢神宮に行くことを決めます。それも伊勢神宮で何かを撮りたいというわけではなく、伊勢神宮にバイクで行く。その旅の中での出来事で良いものが撮れるといいな。というくらいの感覚です。ただし、伊勢神宮には過去にもバイクで訪問して写真を撮ったことがありましたので、ある程度場所の雰囲気などのイメージができています。

情報収集:計画は面倒〜ワクワク

バイクを停めれる伊勢のホテルを探して予約しました。それとバイクで移動するときはルートが結構大事です。高速道路でからダイレクトに目的地についてしまうのも面白くありません。

さらにルートを検索するときは、B級グルメやバイクでツーリングする人のブログを見たりして、寄り道ルートを決めます。今回は過去名古屋のバイクショーの帰りに立ち寄ったコケコッコー共和国をルートに追加しました。

その他、古い建物や、有名な建築家が設計したものがあればルートに追加します。お寺や神社なんかも好きです。今回は伊勢神宮、熊野大社、熊野古道も追加しました。正確なルートはもう少し遠回りしましたが、大体こんなルートでした。伊勢と和歌山で一泊ずつ泊まりました。
画面には出ていませんが12時間程度のルートです。今見たらちょっと引きますが、計画を立てているときはちょっとワクワクしています。

ツーリング経路

検討:悩み

大体の行きたいところ、移動ルートを調べると同時にどんな写真を撮りたいかを漠然と考えます。写真は自分の実力よりも、被写体、つまり周りからの頂きものです。どうすれば頂きものに出会えるか、そういった場に入れるかを考えます。具体的にはこの辺にバイクを停めて周囲を散策してみたら、何かに出会えそうかなとか考えます。この感覚は説明するのは難しいですが色々悩みながら考えます。

機材選択:更なる悩み

最後にカメラとフィルムを選びます。デジカメは使いません。(記録やインスタ向けにはiPhoneで撮影します)カメラも今はHasselBlad(ハッセル)とMakina67(マキナ)という2種類のフィルムカメラしか使っていません。

ハッセルは6x6センチのフィルムで正方形の写真が撮れます。マキナは6x7センチのフィルムで長方形の写真になります。フィルムの大きさで何が違うかというと、フレームのサイズ感です。正方形の場合は、撮りたい対象を枠の中に収める。撮りたいものを明確に入れ込むという感覚です。一方で長方形の場合は、周囲を含めて撮影することで周りの雰囲気がでやすいです。インスタなど実際に正方形の形で写真を撮る人にはわかってもらいやすいかと思います。

次に選ぶのはフィルムです。そうフィルムが無くては撮影できません。結構疲れます。後で後悔しないようにしっかり考えて選びます。
最初に考えるのは、カラーとモノクロどちらで撮影するかです。これもデジタルの場合はその場で決めれば良いですが、フィルムの場合はそうもいきません。フィルムは高価ですし、一度装填したら通常撮り切るまで使います。

カラーとモノクロで撮った写真の違いについても簡単に説明します。
カラーには色の情報が沢山含まれます。色には大きな目で見ると10年、20年単位でその時の流行が含まれるので、カラー写真には自分がそこに居るという時代感が入りやすいと思います。
一方モノクロの場合は情報が少ない分客観的になりやすく、現在の写真であっても、自分がそこに居たという過去感が入りやすいのかなと思います。その特長を踏まえた上で何を表現したいかによってフィルムを選んでいる気がします。

フィルムはこの辺りを使っています。ブローニーと呼ばれる種類のフィルムで、カメラの種類によって撮影枚数が変わります。ハッセルの様な正方形のフレームであれば12枚、マキナの場合は10枚しか撮れません。

3.旅(移動〜観察)

移動:感覚で楽しむ

いよいよ出発です。移動中はバイクにせよ徒歩にせよあんまり考えません。バイクの運転中によそ事を考えたら危ないですよね。ただ周りをよく見るし、感じます。標識や信号、周りの車や人なんかは安全に運転するための情報です。目で見た内容は無意識に情報として取り込むと思います。余裕があれば、iPhoneで記録として写真を残していきます。写真でメモを残すという目的なので目に止まったものを割とたくさん撮ります。とはいえ移動中は基本的にアドレナリンが出て楽しんで撮っています。

iPhone:サービスエリア写真

iphone:出発直後のサービスエリア

iPhone:コケコッコー共和国

iPhone:コケコッコー共和国

iPhone:コケコッコー共和国

iphone:コケコッコー共和国

それに対して「感じる」とは、見たものを「画像」として受け取ることだと思います。夕焼けを見て綺麗だなと思うのは、まず画像として夕焼けを感じているのであって、夕焼けは記号では無いと私は思います。そして画像として見る景色の中でたまに気になる場面に出くわすことがあります。そうすると立ち止まったり、引き返したりして観察に入ります。

観察:考えて楽しむ

「気になる場面」を見かけた時、観察に入ると言いましたが正確には観察しながら、同時に何が気になっているのか考えます。ここまで来ると雰囲気だとか空気感とか曖昧な感覚で考えてもダメです。闇雲にシャッターを切っても、自分が感じている感覚は写真に映りません。

iPhone:コケコッコー共和国

iphone:コケコッコー共和国

これは記録としてiPhoneで撮った写真です。写真に位置情報や天気、周囲の道路なんかも含めて撮っています。同時にこの景色、鶏の看板に強烈な違和感を感じていました。それでこの後バイクを停めて自分が感じている違和感が何か、どうすれば表現できるかを考えます。

まずは構図(どこからどこまでをどんな角度でフレームに入れるか)や露出(画面のどこの明るさを基準にするか、ピントを合わせる範囲をどれだけ深くまたは浅くするか)など、自分が気になったポイントを写真に写すには技術的にどうすれば良いかを考える必要があります。

私の場合はただ考えるのではなく、体を動かすことも多いです。近づいたり、離れたり、しゃがんだり、立ち上がったりと体の位置を変えて観察を続けます。そうして構図や露出を決めて写真を撮ります。私の場合と書いたのは、人によってはここでレンズやカメラを交換することも多いと思います。私の場合は最初に書いた通り、カメラを決めた時点でレンズも単焦点(ズーム無し)なので体を動かしながら考えます。それが性に合っている様です。

この看板の場合はまだお店に行く途中の私道なので車も全然こなかったですが、道路だったり周りの制限で動ける範囲も限られることも多いですが可能な範囲で自分の体を動かして考えます。こういった作業はとても楽しいです。ワクワクしながら考えていますね。

iphone:伊勢神宮。五十鈴川。

iphone:伊勢神宮。五十鈴川。

iphone:熊野大社

iphone:熊野大社

iphone:天の岩戸神社

iphone:天の岩戸神社

iphone:天の岩戸神社

これらの写真も最初にiPhoneで記録した写真ですが、この後でフィルムでも撮影しています。

こういった作業を繰り返して、気になったところで写真を撮ります。基本的には1つの場所(構図)で1枚か多くて2枚しか撮りません。またデジカメと違って撮った写真は現像するまで確認できません。
ただし、私の場合は撮った瞬間に撮れたっと興奮することがあります。そのときは撮影するだけで満足できます。実際の写真も、満足いく仕上がりになっていることが多いです。

実際にフィルム撮影した写真は最後に紹介します。

4.現像

現像に行く:冷静

現像に関しては特に考えることはありません。フィルム現像をお願いするお店はカラーとモノクロ別々のお店ですが、フィルム毎に決まっているので悩むことはありません。

ただ、フィルム現像は時間がかかります。カラーの場合はフィルム現像とCDへの焼き込みで2時間程で終わりますが(混雑状況による)、モノクロの場合は職人さんが全て手作業でフィルム現像をやられているところにお願いするので、フィルムを預けたら1週間後(週末しか行けないので)に受け取ることになります。

そうです、この時点でまだ写真は見れません。実際に撮ってから1ヶ月後に写真を見ることも多いです。。気持ちも少し冷静になっています。

5.プリント

現像確認〜プリント:ドキドキから嬉しい気持ち

フィルム現像を依頼するタイミングでは、カラーでもモノクロでも写真の一覧を一緒にプリントしてもらいます。私の場合はフィルム現像後にその一覧の中から実際にプリントする写真を選ぶという作業をします。もちろんフィルム現像と同時のプリントをお願いすることも可能ですが、かなり高くついてしまうので毎回選んだ写真のみプリントをお願いします。

カラーフィルムインデックス

例えばこんな感じです。ちょっと小さくて見づらいですがピントや構図露出なんかは確認できます。モノクロの場合は、今回の旅の物ではありませんがもっと分かりやすいと思うので参考に載せておきます。

モノクロ:コンタクトプリント(ベタ焼き)

フィルム現像後一覧を見るとまずほっとします。露出(光の量)が適正かだったり、ピントが浅すぎて写したい範囲がぼやけたりしていたこともたまにあります。大抵は暗くてギリギリ撮れるか頑張ったけどダメだったというパターンです。。

またこんな風に一覧で見れたとしても、どの写真をプリントしてもらうか決めるときは、結構悩みます。撮った瞬間から気になっていた写真があるときは直ぐ決まるのですが、一覧を見ると想像よりも意外と良い写真に見えたり、逆にイマイチに見えたりすることもあります。

あとはお店の人に、今回あの写真よかったよと言われる事もあります。カラーもモノクロも一人でお店をやられている職人なので褒められた写真はそのまま選択してしまいます(笑)

そんなこんなで、結局は多めにプリントをお願いしちゃいます。プリント待ちの間はまたワクワク感ですね。

Makina67 film:0021

Makina67 film:0022

Makina67 film:0020

Makina67 film:0018

この4枚は実際にMakina67で撮影したフィルム写真(フィルムスキャン)になります。画像加工は一切していない状態です。スキャンデータでもある程度フィルム写真の良さが伝わるかなと思います。

プリントされた生写真を受け取ったらまずお店の中でチェックするのですが、よく撮れてるなと思った時は頬が緩んでしまいます。帰ってからコーヒーでも飲みながらゆっくり見返したくなります。

6.まとめ

最後にプリントされた写真をまとめます。私の場合は一度ポートフォリオなど透明のファイルにしまって何回も見返します。その後で他の写真とどうやってまとめるか、どんな順番に並べたら良いかなどを考えて、スケッチブックに貼り付けることも多いです。簡単な手作り写真集として完成になります。

こんな感じですね。プリントした写真をiPhoneのカメラで撮影し直したものなので、ちょっと色味も違いますし、部屋の照明も反射してしまっていますが、プリントは本当に良いと思います。実際に見てもらいたいし、写真に興味がある方は一度はプリンターではなくちゃんとしたお店でプリントして見て欲しいなと思います。

かなりの長文になってしまいましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。よろしければイイねを押していただけると嬉しいです。

追記:オリジナルプリントの販売についての記事でまとめていきます。

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