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離婚後も複雑な元夫〜翻弄されそうでされない私達
「本当にそれだけ?…いや、気を遣って言ってるとかじゃなくて。本当にそれだけならよかった。
話があるって言うから最悪なことを聞かされるのかとちょっと覚悟してたから。余命宣告とか。
そんなことで1年以上も気に病んでいてくれてたなら、なんか申し訳なかったって思うくらいやし、もうその肩の荷は降ろしてほしい」
息子23歳のときだった。息子に話さなければならない事が起き、意を決して打ち明けたのだ。
自宅ではなく、別の場所がいいと思い、「話があるから時間をつくってほしい」と言い、息子の都合を聞いて近所のレストランを予約した。
ことの発端は娘からのLINEだった。
「パパからこんなLINE着てんけど」と。
『パパにはママと結婚する前に出来た子どもがいる。パパが何かしてあげたら奥さん、旦那さんが御礼の連絡をくれる。お前の旦那は一度も何も言ってきたことがない。だからお前にはもう何もしません』
元夫からのLINEをスクショして私に送ってくれたのだった。
実は、私は初婚だったが元夫は再婚だった。私と一緒になるとき5歳の女の子がいたと聞いた。
しかし私達が離婚して間もない頃、前妻は急逝し娘は結婚したが精神科の病院に入院しており離婚して、一生病院から出られないだろうと元夫が言っていた。
娘と息子にもそのことは私から話していた。
けれども、元夫が娘に送りつけたLINEの内容によると、子どもは他にも少なくとも2人はいることを示していた。
私との結婚は、再婚だったのではなく、再々婚だったことになる。
婚姻関係にあったとき、いくつか気になることを元夫は口走っており、私とは再婚じゃないのか?と思ったことがあった。
娘からのLINEで合点が入った。なので私はそんなに驚かなかった。「あの嘘吐きめ!」とは思ったが。
娘も、「別にもうどうでもいい」と言った。娘は父親のことを息子と違って好ましく思っていなかったのだ。
しかし、娘はそのことを息子に告げることに抵抗があると言った。どう話していいかわからない、自分と違って激しく動揺するかもしれんし、と。その気持ちはよくわかった。
だから私が話すしかなかったのだ。知ってしまった以上話さないわけにはいかない事態だった。
けれどもすぐには言えなかった。娘と同じ危惧を私も感じていた。それで1年以上もかかってしまったのだ。
自分を追い込むつもりでレストランを予約した。しかし食事を始めたものの、なかなか言い出せなかった。
食べ終わる頃、息子の方から「そろそろ話してくんない?」と言ってきた。
そうして話したのだが、息子は平気な顔をしてあのように言ったのだった。
「もうその肩の荷は降ろしてほしい」そう言ってくれて私は思わず涙してしまった。息子は続けてこうも言った。
「姉ちゃんが子ども産んだとき、俺めちゃ感動してんな。血の繋がりっていうのを感じて。
だから、今聞いてその人達ってどんな人なんやろって、見てみたいと思った。会って話をするとかじゃなくて」と。
更に、
「とにかく、言わば余命宣告の真逆の事でよかったわ、マジで。減るんじゃなくて増えてるんやからな」と。
息子の遺伝子、ガチで強靭だと感じた。この状況をそんなポジティブにとらえられるなんて。心から尊敬する。