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再・読書感想『クビシメロマンチスト』※ネタバレ注意
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今週読んだ本は著作西尾維新の戯言シリーズ第二巻、『クビシメロマンチスト』でした。
『クビキリサイクル』と同じく、人に貸すのでせっかくなら読み返そうと手に取った本作。
最後に読んだのは高校一年の終わりごろだったでしょうか。
改めて読み返すと本当に本当に、本当に最高の傑作でした。
あらすじ…(wikiから引用)
「鴉の濡れ羽島」から帰ってきて数日後、「ぼく」はクラスメイトの葵井巫女子から彼女の親友である江本智恵の誕生日パーティーに誘われる。それと同時に、世間を騒がせる連続殺人犯・零崎人識と邂逅する。
渋々ながらもパーティーへの誘いを了承し、智恵と巫女子、巫女子の友人である貴宮むいみ、宇佐美秋春を加えた4人とともに、それなりに楽しい時を過ごす。その翌日、「ぼく」のもとへ警察が来て、江本智恵が殺されたことが判明する。智恵との会話で彼女に何かを感じた「ぼく」は、再び出会った人識とともに、事件の究明を目指す。
自分は高校生のころはお酒を飲まない真面目なやつだったので、あの酒の入った喧しい感じはこの年になってようやく理解した。こういう部分もやっぱり読み返すことで分かる良さだなと思ったり。
この作品は西尾維新が三日で書き上げたと言っている通り、ものすごい疾走感のまま進むし、読んでいる方もものすごい疾走感を感じれると思います。
クビキリサイクルは二か月かけたというだけの重厚感というか、ミステリーとしてもシリアス面でも重みを感じます(てか小説って三日でかけるの…?)。
ミステリーとしてはちょっといーちゃんがめちゃくちゃやってるので、太鼓判を押せるミステリーではないような気がします。
愛憎劇が正しい表現なんですかねぇ。
改めて読み返すと巫女子ちゃんは思った以上にヤンデレ気質というかストーカー気質というか…
あの例えはめちゃくちゃ好きですけど一部理解できないところが出てきてまだまだだなと思いいたります。
さて、そろそろシリアスな話に入りますか。
この作品のテーマは間違いなく人を殺すことについてでしょう。
いーちゃんの考え方は恐ろしく冷酷で無慈悲だと思えます。
自分が人を何の感情も抱かず殺せてしまうからこそ、簡単なその行為をこの自分でも踏みとどまっているからこそ、殺す奴を許せない。
人を殺した自分を許せるのか。恐ろしい問いですね。
殺人ってのはやっぱり基本突発的なものだと思うんです。
京極だったかイーガンの順列都市だったかは忘れましたけど、殺すと決める瞬間は突発的ですが、いざとなったら一気に冷静に、計画的に殺せてしまう。その後の始末などは最も冷静で冷めた心で行っているといいますよね。
友達としては好きだけど殺せないほどではない。ってのはなかなかに歪んでいます。そりゃ今自分の友達を思い浮かべても殺せないほど好きではないと断言できます。
羽川さんみたいに「命を懸けれない人を私は友達と呼ばない。」とまでは言えません。流石にね。
自分の好きを相手が受け取ってくれると思うな。という話は残酷です。
恋慕にしろ例えば好きなものを紹介するにしろ、自分が行為を送る側になると意外と相手の感情って無視してしまうなと反省の気持ちが出てくるんですが、自分が受け取り側だと結構相手の好きを受け流したり、例えば相手の好きな作品を「見れたら見るよ~」とか言って見ないとかやりがちで、人間って恐ろしく自己中だなと(自分だけかもしれないのに人間って主語を使うなよ…)思うわけですが、このクビシメロマンチストって結局そういう話だと思うんです。
それにしてもいーちゃんの鈍感っぷりにはあきれますが…
相手の好意を受け取りもしないって結構やってることグロテスクですよね。
というあたりでこのあたりにしておきましょうかね。
このころの西尾維新はとがっててなかなか今とは違う読みごたえがあります。クビツリハイスクールもいつか読みます。
次の感想はおそらく『掟上今日子の推薦文』になると思います。
本当に忘却探偵って普通の面白さでずんずん読んじゃいます。
それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki
覚えておきたいフレーズ集(少なめ)
ふぅん。あたし、嫌いな時間が退屈なんだと思っていたけど。うーん、いろんな考え方があるんだなー。
これけっこうドキッとする言葉ですよね。僕も結構ぼーっとできるのでいーちゃん側ですけど。確かにそういう考え方があるよな。
自分のことは自分でしろ。そしてやるなら最後までしろ。
そのとおりでございます…
『甘えるな』
どんなに致命傷でも、欠陥製品でも、人間失格でも、生きたくなくなっていても、この言葉に尽きる。