読書感想文『風化水脈~新宿鮫8~』※ネタバレ注意


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※注意※
新宿鮫シリーズはバイト先の方に貸していただいた巻しか読んでいないため、九巻『狼花』、十一巻『暗約領域』、短編『鮫島の貌』のみの知識しかありません。

今週読んだのは、著大沢在昌の新宿鮫シリーズ第八巻『風化水脈』でした。先述の通り、新宿鮫は点々としか読んでいないのですが、それでも単作としても十分に楽しめる作品でした。

今作は鮫島の視点と真壁の恋人、雪絵の視点で進んでいきます。
今作は窃盗団による連続高級車窃盗事件を追い、拠点となってる古民家を鮫島が発見、そしてその民家の井戸から死蝋化した死体が出てくるところから物語が急速に動き出します。
その裏で真壁とその恋人雪絵を中心として後輩のしのぎや母親の過去などの物語が展開されていくという形になっており、そこに窃盗団であり、真壁と因縁のある中国人集団が関わることで壮大なミステリーが完成されています。

まずは鮫島とパーキングの大江さんから振り返っていきたいと思います。
なにより大江さんがかっこいい。戦後から新宿に住み、街の歴史などを鮫島に教えつつ己の過去を語りたがらない不思議なおじいちゃんとして出てきます。後々わかる彼の過去もやはりかっこよく、男としては憧れます。
今作は著者があらためて新宿の歴史を振り返るという意味も含まれており、単純に都市の歴史としてもおもしろいストーリーでした。

そして裏ストーリーである雪絵と真壁について。
なにより雪絵ママがかっこいい(笑)。大江さんと同じ感想ですがやはりなによりかっこいい女性です。真壁さんは新宿鮫一巻での事件が背景にあり一巻刊行時から人気キャラだったそうですが、人気になるのも当然といったかっこいいTHE・やくざでしたし、恋人の雪絵もかっこいい女性でした。

今作は初版刊行が二〇一四年ということで、二〇二三年の情勢を見てもやはり先見性を感じる作品であると思いましたし、この先外国人の方々と警察の関わり方や日本という国の行き先などを遠からず当てている部分があり、そういう面でも素晴らしい作品であるといえると思います。

登場人物の思惑、過去、将来など様々なものが絡まりあい、そして解けていく過程は素晴らしかったです。本当にかっこいい作品でした。

ということで今週読んだのは『風化水脈』でした。
来週は西尾維新の伝説シリーズの続き、『非衛伝』から三作連続で読み、伝説シリーズを終わらせたいと思います。また『怪盗デスマーチの退転』も買ったので早めに読みたいですね。

それでは今回も最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki

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