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再・読書感想『クビツリハイスクール』※ネタバレ注意

今月最初の読み終わった本は著作西尾維新の戯言シリーズ第三巻『クビツリハイスクール 戯言使いの弟子』でした!もちろん再読書です!

菊地秀行さんの魔界都市ブルースを挟んだのは何を隠そう、紫木一姫につなげるためだったんです!!!(魔界都市ブルースの感想で言ってた気がする…)

初めて読んだ時からそうなんですが、この作品が個人的には一番深く突き刺さってる巻です。その分好きですが、最も苦い顔をして呼んでいたと思います。

内容紹介

ミッションは少女救出!

“ぼく”が学園で見た惨劇は――



知らない誰かと仲良くするためには絶対に守らなければならない約束がひとつだけ存在する。その約束とは、相手に対して常に友愛の情を持つことだ。つまるところそれがどういうことかといえば、知らない誰かと仲良くすることなんて結局は不可能だという意味なのだろう。いや、そもそも、知らない誰かと仲良くしようだなんて考え自体が常軌を逸しているとしか思えない。絵空事を語ることさえ自らに許さず、たったひとつの矛盾さえも生理的に見逃すことのできない誠実な正直者、つまりこのぼくは、6月、人類最強の請負人・哀川潤に、およそ問答無用に引き連れられて、高名なお嬢様学校であるところの私立澄百合学園へと向かうことになった。そして事件はその学園の中で起きる。それは巻き込まれたと言えるかもしれないし、また、自ら渦の中へと飛び込んだと言えるかもしれない。まあ別に、どう言い、どう言いつくろったところで、それはきっと意味がないのだろう。だって起きた事件自体が、そもそも戯言みたいなものだったのだから――戯言シリーズ第3弾

講談社BOOK倶楽部より


これは自分語りのようで、あまり好きなものではないですし、読むほうもハズレ引いたなという感じでしょうが、まあこの本の感想を語る際には仕方ないので自分がどんな子供だったのかという事を話していきたいと思います。

自分はほとんどなんでもできる子供でした。高校卒業まで勉強に困ったこともなければ、できない運動はない、それなりに周りから信頼されて生徒会や体育大会の組副団長をやるようなタイプでした。
部活では東京都大会のベスト16まで行ったり、ピアノが弾けたり、書道ができたりと習ったことはとりあえずなんでもできる奴でした。

ただ、小学生のころから常に感じていたコンプレックスが明確に一つあるのです。
それは全てにおいて自分よりすごい奴がいる、ということです。
あの学校という小さな世界ですら、どのジャンルでもトップになれなかったという事実は当時とても自分を苦しめました。
ひとつの競技、ひとつの学問、ひとつのゲーム、どれにおいても自分より凄い奴がいる事実。

小中高6年間でこういう思いを感じながら過ごすとどうなるかというと、小中高までに多くの人が体験することの全てにおいて、できない人の気持ち、負けてしまった人の気持ち、そして諦めたときの感情を理解できるし、共感できるようになってしまったわけです。

ここまで長々と話してきましたが、なにが言いたいのかというと、中高生だった自分はこの部分においていーちゃんに共感したという事です。(まんまと無為式に嵌められたというわけです。)

そしてこの作品はある意味でなんにでもあきらめを見出していた自分にとってはとても刺さる、そしてとても力になる作品だったわけです。


この作品もミステリーとしての要素は薄く、キャラクターストーリーだと思うので姫ちゃんといーちゃんの成長、共鳴の方に焦点を合わせたいです。

お互いがお互いに別人を重ねあっているというのはわりかし現実でもあり得るような気がします。
作中でも言われているように、傷をなめ合う形のカップルだってよく見ますし、自分の知り合いにもいましたし。

でもやっぱりあまりいい終わり方はしないので、哀川さんのような存在が必要なんでしょう。

この作品の哀川さんの説教は名文です。ぐちぐちしてる人は全員読みましょう。

面白くねえ―――全然面白くねえなあたしは!敵対すんならちっとは笑わせろ!どいつもこいつも本当にやるべきことから目を逸らして、何もかも根こそぎ無駄遣いして、言い訳して嘘を吐いて誤魔化して―――こそこそと卑屈に生きやがって!怠けんな!簡単なことだろうが!サボってんじゃねえぞ!なんでもっとしゃんとしないんだお前らは!曲がってんじゃねえよ!

p222

胸を張れ、背筋を伸ばせ、自分を誇れ、敵に吼えろ俯くな!諦めんな見限るなてめえで勝手に終わらせんな!同情されてーんかガキども!媚びんな気持ち悪い懐いてくんな、動物かてめーら!自己陶酔に他人を巻き込むな、悩みたきゃ勝手に悩んでろ、相談すんなお前みてーな変なんの気持ちなんかわかるか!傷舐めあってんじゃねえぞ妥協すんな!簡単に否定すんな、難解な肯定すんな!他のことなんかどうでもいいから、自分のことだけは自分で決めろ!

p223

これを20歳で書けるって本当にどうなってんだか。
西尾維新も哀川さんみたいな人に説教されたかったんですかね。


ちょっと書きすぎてしまったような気もするし、恥ずかしいのでさっさと締めます。

それにしてもこの作品内の子荻ちゃんと玉藻ちゃんは零崎との戦いを知っていると拍子抜けをするくらい弱いですよね。
それにやっぱり悲しい。もうちょい生きてほしかったですね~


というわけでこの辺にしておきましょう。
次に出る感想は間違いなく『掟上今日子の挑戦状』です。
もうすぐ読み終わります。やっぱり普通に面白いんですよね。このシリーズ。


それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki



覚えておきたいフレーズ集

狂ってるかどうかってのは、外から見ないとわからない。何かと比べない限り、以上と正常の区別なんざつかねーし、だったら自分が正常だと思うのが当然だ。そして学校ってのは外から決して見れない密室だぜ。

p83

最近はSNSのせいでそうともいえない…
そしてそれが外に漏れだして問題になった事件が増えてますよねぇ…


お前は何かを待つのは得意でも、何かわからないものを待つのは苦手なんだな

p103

分からないってのは、未知ってのは、未来ってのは、やっぱり恐怖ですよね。


変に《力》みたいなものがあったら人間は暴走してしまいがちで大変ですから。

p105


《何も持っていない癖に自信たっぷり―――空っぽの空洞の癖に誇り満々―――そういう矛盾を抱え込んだ》存在

p106

グサッという音が聞こえます。自分の内側から。


「《先》の事を思えるなんて余裕がある証拠です!」「今必死に生きているんだったらそんなこと考える暇なんかないはずです!師匠、いっちゃなんですけど、ただ単に怠けているだけじゃないですか?」

p130

グサグサッという音が聞こえます。主に自分の内側から。

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