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読書感想『ソウルドロップの幽体研究』※ネタバレ注意
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今週読んだ本は著作上遠野浩平のソウルドロップシリーズ第一巻『ソウルドロップの幽体研究』でした。
『生命と同等の価値ある物を盗む』怪盗が巻き起こす不審死とそれを追う保険会社の調査員の二人を中心に展開する作品でした。
これ、ペルソナ5のモチーフなんですかね。
それもあって随分と入りやすかったですが、こっちはもっとシリアスですね。
自殺なのか他殺なのか、死んでしまった超人気歌手のみなもと雫。
その追悼コンサートをめぐって人々がそれぞれの思いをぶつけあう、と書いてしまえばかっこいいですが、こんな追悼コンサートに参加するような奴は殺してしまえと過激化したファンの暴走とそれを止めようと本来はペイパーカットを追うはずの調査員が4CARDを名乗る者たちを追うお話です。
と、時を同じくしてとあるお互いを大切に思っている借金だらけのカップルのお話が同時並行的に描かれます。そしてペイパーカットもどちらかというとこっちの方にいる。
このカップルの方を描く意味をずっと考えてたんですよ。登場人物としてこの作品にいる意味を。
二人はお互いを大切だと思っており、ペイパーカットの姿が見える。そしてペイパーカットも何もしない。
彼ら彼女らはお互いのことを誰も奪えないと言われていることからこの作品の中において唯一常に正しい愛を見せている存在ということなのでしょう。
彼女のほうがみなもと雫のファンであるということも、大切なものを見誤っていない人というのはこういう人だ。ということですかね。
伊佐・千条コンビいいですよね。熱血系と冷静系のコンビはやっぱり王道です。
そしてもはや自分にとっては本編のようなあとがきについてです。
味気を感じなくなってしまった音楽、感動を感じなくなってしまった音楽、僕にとってはとあるラッパーの曲であったり、小学生のころすきだったJPOPだったり。
その時にしか味わえないからこそ、実は今聞くと別の感動がまっているかもしれない。音楽が持つ力と人間の持つ良さが音楽という体験なんだろうなぁと改めて思いました。
というわけで、今週読んだのは『ソウルドロップの幽体研究』でした。
音楽が持つ力。例えば尾崎豊やHYDEのような、フレディ・マーキュリーのような、人々を熱狂させている渦中で死んでしまった人がファンの人に与えるダメージは計り知れないと思います。そしてそれが人を狂わせたり、果てには殺してしまうほどのダメージを与えてしまうこともあると思います。
ここまで人の心を動かしてしまうものって音楽くらいな気がします。
自分が好きだった曲、どこに感動・熱狂して、なぜ好きだったのか。
自分が今好きな曲、どこに感動・熱狂して、なぜ好きなのか。
自分がこの先好きになる曲、どこに感動・熱狂することになり、なぜ好きになるのか。
これも自分探しですよね。
上遠野浩平は自分の好きなもの、大切なもの、そして嫌いなものを通して自分というものがなんなのかということをいろんな作品でしきりに示してきている人だと思います。
次に読む本は次作の『メモリアノイズの流転現象』を読もうと思います!
それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki