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いりえの営業記録(6月17日〜最終日)

前回の振り返りはこちら。

6月17日(月)晴れ

この日も、タイッツーでいりえを知ったというお客さんがお越しくださいました。韓国関連の本が置いてあるという点に惹かれたらしく、ご自身がニュージーランドに留学した際に出会った韓国の人たちとの思い出を語られていました。

いわく、「ブームとかアイドルじゃない、素朴な人々の話が読みたかったんです」。韓国の市井の人々を描いた『純情物語』という漫画を見つけて満足そうにお話しされていました。

もう恐らく絶版の本で新刊書店には置いていないと思うので、こうやって自分が読んだ本を大切に手渡すことの小さな意義を感じました。

6月18日(火)雨

大雨なので今日はお客さんは来ないだろうと思い、お昼ご飯に持参した白米とイカの唐揚げを頬張った瞬間にお一人ご来店。私をタイッツーに誘ってくださったお客さんでした。

「タイッツー活用できていますか?」と具体的な使い方を直接レクチャーしてくださり、その後1時間ほど色々なお喋り。選書をしてほしいとの要望にお答えし、フェミニズムに関心があるとのことで、韓国の作家さんによるエッセイなどをおすすめしました。

ちょうど前日にSNSで紹介した本がぴったりそうだったので、こちらをおすすめ

6月19日(水)お休み

本来、木曜日が定休日ですが確か何かしらの用事があってお休みに。

6月20日(木)曇り

初来店のお客さん。詩集やエッセイをご購入。続いて常連さん、何度かご来店くださっているお客さん、そして初期からSNSをフォローくださっていたという新規のお客さん。

お店に並んでいる本について説明したり、反対に私が読んだことのない本を紹介してもらったり、お互いに読んだことのある本について語り合ったりお、喋りの絶えない時間になりました。

とてもうれしい差し入れもいただき、感激してしまいました。お腹が空いていたので、営業時間が終わって帰る前にさっそくいただきました。

6月21日(金)

引き続き、色々な方にご来店いただいた日でした。古本だけでなく、少部数で仕入れた新刊本も少しずつ売れていきました。

自分がいいなと思ったものを、ダイレクトに手に取ってもらえる喜びを感じました。中には、後日また感想を伝えに来てくださる方もいらっしゃったり。

6月22日(土)、23日(日)

別のお仕事が入り、土曜日もお店はお休みに。いりえも残り1週間!

6月25日(月)晴れ

ついにラストウィーク。

先日うかがった高麗書林さんがご来店くださったり、「書くこと」に関するお喋り会のメンバーが遊びにいらしたり、友人に渡すプレゼントを探しに来たというお客さんがいらっしゃったりと賑やかな1日に。

6月25日(火)晴れ

またまた常連さんがお越しくださいました。気になった本をたくさんご購入。

この本から派生して、障害の話ほか、いい/悪いを安易に決めないという話だったり、社会生活を送りながら、ちょっとしたポイントに気づける人と気づけない人がいるという話だったり、境界にまつわる話をたくさんできました。

こういう、オチのない話、自分の中に持ち帰って後日また反芻することになる、他者の視点を自分の中に入れるような、時に気まずさや少しの痛みも伴う、けれど向かい合って考え続ける、沈黙の多い話をする時間、が私は好きだなと実感できました。

6月26日(水)曇り

三鷹で雑貨店を開いている方が、タイッツー経由で来店くださいました。

あおだま雑貨店さんでは、かわいい靴下などが売られているようで「次は私が行きますね」とお話ししたのに、未だに行けていません…。

他にも、赤坂にある双子のライオン堂さん、江古田にある百年の二度寝さん、何度かお喋りに来てくださったお客さんが働いているというカフェバーなど、次は私がお客さんに、と思ったままの場所がいくつもあります。来年はのんびり散歩も兼ねたお店巡りをしようと思います。

夕方、小さなハプニングがありました。

6月27日(木)定休日

間借り営業があと数日で終わりでも、定休日はしっかり取るスタイル。

しかし、夜に突然の悪寒が。悪い予感がしたものの(まさかね)と思い、明日に備えて早く寝ることに。

6月28日(金)発熱

おしまい。終わりました。

この日の夜に予定していた振り返りイベント「間借り書房の数ヵ月」、そして翌日に予定していた「ふわふわの読書会」も急遽中止に。

なんでこんなに間が悪いのか。あと数日くらいどうにかならなかったのかーー。泣きたい気持ちで各所にお詫びのDMを送りまくり、呆然としては寝、悔しがっては寝、を繰り返しました。

6月29日(土)

限られた時間を棒に振ってしまったという気持ちを拭えないまま悶々としていましたが、幸いにも新型コロナではなく熱も下がってきたので、割り切ってゆっくり休み、最終日は少しだけお店を開くことに決めました。

6月30日(日)最終日!

最終日、差し入れを持って遊びに来てくださった方、SNSで労いのメッセージを送ってくださった方、最後まであたたかい関心を寄せてくださった方々のおかげで、無事に営業を終えることができました。

後日談

中止になってしまったイベントは、参加者の方々と時間を調整して7月13日と19日に追って開催しました。

以下、振り返りイベントに参加くださった方々のご感想(連投失礼いたします)🙇🏻

こうして、イレギュラーな事態もありましたが、向こう見ずに始めた5ヵ月間の間借り書店を無事に終えたのでした。

機会を与えてくださった機械書房さん、はじめから終わりまでたくさんのサポートをくださったハリ書房さんはもちろん、関わってくださった皆さんへの感謝は今も薄れません。

そしてお店を開きながらたびたび痛感したのは、子どもの私にたくさんの本を買い与えてくれた親のありがたさ。単純なありがたさだけではなくて、置く場所がないとはいえ、こんなに良い本を手放してしまう申し訳なさもありました。

でも一人ひとりのお客さんに対面で本を手渡しして、「あの本すごく良かったです」「この本はいりえさんで買おうと思っていました」「昔この作家さんの本をよく読んでましたよ」…などなど本に関するお喋りもできて、ただ処分するのとはやはり全然違ったし、やった意味はあったかなと思います。

思いつきのイベントから始まった「書くこと」に関するお喋り会は今も月1で続いていて、ここでの出会いがきっかけとなって初めてnoteを開設した方、ZINEを作成した方、ZINEの装丁を手がけることになった方もいます。

場自体はなくなっても、こうしてゆるやかにつながったり、活動が広がり続けていることは純粋にすごいなと。

それもこれも、一緒に「いりえ」という場を作ってくださった方々のおかげです。改めてありがとうございました。

ぶっちゃけ金銭面ではトータル赤字でしたが、この道を経たからこそひらけたものもあって、おおむね満足しています。

来年の今ごろ、自分は何をして、何を考えているのだろう。まだ全然イメージが湧きませんが、その分とても楽しみです。

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