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「わざわざ嫌われなくてもいい。」

前回書いた、「それも仕事だ。」という話。あの話を思い出した時、同じように思い出した言葉がある。それは、

「わざわざ嫌われなくてもいい。」

というセリフ。

これもわたしが20代前半に場末オブザイヤーを毎年受賞しているスナックで働いていたころ、わたしより3つ年下の女の子が放った一言です。

その子の名前を仮に愛ちゃんとしよう。愛ちゃんは満々亭(これまた仮名)という和風スナックの娘で、私たちと一緒に働いていた。さすが飲み屋の娘だけあって、接客が上手かった。お客さんの懐に入り込むのも上手かったし、惚れされるのも上手くて、それなのに媚びずにずけずけとモノを言う子で、なによりエピソードトークがおもしろかった。

満々亭のママは見た目はかわいいのだが、酒に飲まれる事も多々あり、機嫌が悪いとお客の前でダラダラと女の子に説教をしてしまう悪い癖があり、その日もママは永遠に、ロード第13章が歌い終わるんじゃないかってくらいに永遠に説教をしていた。みかねた愛ちゃんがママに、

「オメェ、いい加減にしろって、いつまで説教してんだよ。」

と娘だから言える事を言った。ママは、

「言わなきゃいけないことは言わなきゃいけない!わたしが嫌われようが何しようが言わなきゃいけないことは言わなきゃ!」

と、理路整然としたような事をベロベーロベロに酔っ払って言っていた。それに対して愛ちゃんは、

「嫌われてもいいかもしんねーけど、わざわざ嫌われるように言わなくてもいいべや。」

と、そんな事を言った。

そこからの話はどんなふうになったか覚えてないけど、愛ちゃんの至極真っ当な当たり前の言葉も忘れられない言葉になった。

・言う事で嫌われるかもしれない。
・嫌われる事を恐れていてはいけない。
・言うべき事は言わなくちゃいけない。

ママの言い分はこんな感じだ。とてもわかる。その通りだ。ただ、愛ちゃんはこうだ。

・言う事で嫌われるかもしれないし、
・嫌われる事を恐れていないのはわかった。
・言うべき事は言うのもわかる。


ただ、言い方ってモンがあるべや。
言い方ひとつで嫌われないって事も大事だべや。
言うべき事を相手への配慮なく言って
それで嫌われてたら
せっかく言わなきゃいけなかった事も
相手には伝わらねーし
せっかく育てた女の子辞めてったら
またイチから育て直さなきゃなんねーべや。

と、こうである。齢20そこらでこんなに物事を丁寧に考えられてすごいなー!と、とても勉強になった。

たしかに。言い方ひとつ、言うタイミングひとつで、相手との関係性や、話の本筋が伝わる伝わらないとかある。「嫌われてもいい。」と、「嫌われるかもしれないけど仕方がない。」とはワケが違うし、相手や読み手への配慮や気配りや丁寧さを欠いた上での「嫌われてもいい。」や、「嫌われても仕方がない。」は攻撃性をともなう。と、わたしは思う。

あの時あそこの場にいた人達とはもう誰とも連絡をとってないし、愛ちゃんも今どこで何をしてるかもわからないけど、あの時のセリフ忘れない。誰かに何か自分の心のうちを理解してもらおうと言葉を発する時、愛ちゃんの言葉を思い出すよ。

そして愛ちゃんのエピソードトークで一番大好きなヤツもここに書いておく事にするね。

ある日、愛ちゃんが家で夜寝ていて。下の方で猫の鳴き声がして。(愛ちゃんちは下が満々亭。2階が居住スペース。)どこかに閉じ込められていて猫が部屋に入れて欲しいのかなーと思って下の方に行ってみると、深夜、ママが、お客さんと×××してたんだって。。。


まぢ、びっくりしたっつーか!下で、
に"ゃーーーー!
に"ゃーーーー!
ってすげー鳴いてっから
なにー、どこー、って降りてったら
カウンターで思いっきりママと◯◯さん
ヤッてっからねwwwwwwwwwwwww

っと、豪快に笑う愛ちゃん。元気かな。。。ちなみに猫は愛ちゃんの布団の中に居たそうです。

最後、下ネタになっちゃったけど。それ以外はほんと為になるエピソードだと思うんよ。。。

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