オーディブルで人生変わった。
オーディブルを利用しはじめて5日。もう6冊を読んでいる。(読んでない。聴いてる。)
人生においてこんなにも「本っていいな。」と思えたのは初めてかもしれない。いや、うそ。
3回目だ。
オーディブルという、本を読んでくれるサービスはなんとなく知っていた。知っていたけれど、導入には至らなかった。月額1,500円がどうにもこうにも「高い。。」と思ってしまっていた。
1,500円という金額が高いのではない。
今わたしはサブスクに10,000円以上払っている。ほとんどが仕事で使っているアプリで、それに加えてオーディブルに1,500円となると月の出費に、う"ーーーーん(°_°)となってしまっていたのだ。
2024年12月6日、移動中にSNSを見ていたらオーディブルの広告が流れてきた。
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今なら3カ月99円
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これに飛びついた。99円なら捨て金になっても構わない。1,500円を払って1カ月に1冊も読まなかった(聴かなかった)ら自己嫌悪に陥りそうだけど99円なら。
わたしは本を読みたいくせに本を読むのが苦手だ。もともと活字を読む習慣がなかった。
本がおもしろいと、一番最初に思えたのは高校3年生。受験が終わり、授業をほとんど受けなくてもよくなり担任が、「図書館で本でも読んでて下さい。」と言った。進学が決まったクラスメイト何人かで図書館で過ごす事が多くなった。その時にたまたま読んだギリシャ神話の本。それが面白くて、しばらくはギリシャ神話の本だけを読み耽る日々だった。そのせいもあって進学先の短大では神話のゼミに入った。
それからしばらくは活字から離れていたけれど....。
ヴィレッジヴァンガードという本屋があった。いや、今もあるのだけれど、今のヴィレッジヴァンガードは本屋というよりおもしろグッズ屋。ドンキホーテのようなお店になってしまっているが、わたしが若い頃のヴィレッジヴァンガードはサブカルオシャレアンテナショップ。
流行の最先端ではなく、店員さんのオススメ書籍、CDが打ち出しにバーン!と平積みされていて、知る人ぞ知る何某かがおいてある、いわゆるカッコいいお店。ヴィレッジヴァンガードは当時わたしが働いていたファッションビルの中に入っていた。
TOKYO TRIBEもスクーターズもみうらじゅんも、みんなみんなヴィレッジヴァンガードが教えてくれた。
わたしはそこで人生二度目の、本っていいな体験をした。むしろ運命の出会いをした。
リリー・フランキーという名前はテレビで知っていた。当時人気だったバラエティ番組の雛壇に座っている、あまり知らないおじさん。その知らないおじさんは物書きだったらしい。
なんとなく本をペラペラめくって、なんとなくレジに持って行った。なんの期待もなかった。
ビルの最上階にある休憩室でコンビニのお昼ごはんを食べながら、美女と野球を読み始めた。
数ページ読んでパタっと閉じた。
ヤバい。
ヤバい本を買ってしまった。
これ以上読んではいけない。
正確には、
この場所で読んではいけない。
鼻からコンビニのパスタが飛び出てしまう。末代までの恥をかいてしまう。肩どころか、体全体を小刻みに震わせて大声で笑いたいのを必死で堪えた。
こんなにおもしろい文章に出会ったことがなかった。おもしろい漫画は稲中卓球部を超えるものに出会ったことがなかったけれど、リリー・フランキーが書いた活字が稲中を越えようとしていた。
容赦のない表現。下衆な話を品よくまとめていて、愛があるのかないのかわからない。この人は、言葉で人を笑わせている。
数ページでリリー・フランキーのファンになり、ありとあらゆる彼の本を買い漁って読んだ。
本を読むのが楽しいと思った。インタレスティングなのではなく、ファニー。活字で笑えるのが楽しかった。
リリー・フランキーを読むようになって長文も読めるようになった。リリーの大ベストセラー、"東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜は何十回も読み、何リットルも涙を流した。
そのうち自分も書きたいと思うようになって、SNSに日常を書くようになった。(当時は魔法のiらんどだったけどww)今では自分の書いたものがいつかリリー御大の目に止まることを夢見ている。
本を読むことが楽しかった経験はこんなにあるのに、今は本を読むのが苦手だ。集中力が続かない。目線が泳ぐ。時が流れてしまい、すぐに眠たくなる。
ちょっとでも頭が良くなりたいと思って、頭が良さそうな人の本を買っては積読が続いている。年に一冊読めばいい方で、本棚の本は読まずにメルカリ出品したりしている。
夫も本が好きな人だ。わたしと違って彼は本をちゃんと読む。子供の頃から本を読む子だったらしい。電車通勤していた頃は通勤時間が読書タイムだったらしいけれど、コロナ禍もあり、今は車通勤だ。
運転していたら本が読めないと、夫はオーディブルを始めたらしい。最初は朗読がなんとも合わずにむず痒い思いをしていたようだけれど、慣れだ。
むず痒さを乗り越えるとなんとも便利なモノと思えるようになったと言っていた。1日の運転時間が約1時間20分。その間本が読める。(読んでない、聴いている。)
慣れると1.5倍速で聴いたりするらしくあっという間に一冊読み終えるらしい。
中でも夫に最近革命をもたらした作品が、望月麻衣さんという方の、"満月珈琲店の星読み"というシリーズになっている作品だ。
夫はランダムでオススメされる作品を聴くようにしているらしく、たまたま上がってきたその作品を私に話してくれるようになった。
本の内容が面白いこともあるけれど、私が最近星読みを勉強し始めたから。ということもあったと思う。
"水星逆行"や、"風の時代"など、星読みの専門用語が会話に増えた。占いやスピリチュアルにあまり関心がないタイプの夫だけれど、この本を通じて星読みという世界に興味を持ち始めたようだ。
私はというと、夫の車に乗っているとき一緒に聴いていて、とてもおもしろく聴いていたけれど、目的地に着いたり自宅に着いたりして、オーディブルは途中で中断されていた。続きを聴くことはなく、続きは夫が一人で運転してる時に進んでしまっていた。
夫の車の助手席で聴いている間は、どれも中途半端に聴いているだけ。どの作品も最初から最後まで読了(聴了?)することがなかった。
そしてオーディブル3ヶ月99円に飛びついてしまった。
わたしが知ったのはセール期間の最終日。その日の23時59分59秒までに登録する必要があった。
その日はとても忙しい日で、分刻みでスケジュールをこなしていた。広告を見てからすぐインストールして登録をすればよかったけど、「後でやろう」と思ってしまい、その後の忙しさですっかり忘れてしまっていた。
その日の夜、23時を過ぎても私は知人のオフィスにいた。仕事の打ち合わせをしていて、さあ帰ろうと席を立ったときは日が変わりそうになっていた。
ふと時計に目をやると、「あ"っ!!!!」と声が出た。
時間は23時57分。オーディブルのセールを思い出した。あと3分しかない。
「ちょっと待って!ちょっと待って、もう少し時間を!」とパニックになりながらオフィスの知人に叫んでいた。
叫びながらなんとかギリギリ、インストールと登録が間に合った。知人は何が起こったかわからず、ただ笑っていた。
たった99円にこんなにエキサイティングになれるのだ。グローブをはめてリングに上がるより、タイムセールギリギリに駆け込んでお得を得る方がよっぽどアドレナリンが溢れ出る気がする。
そうして2024年の暮れから、わたしのスマホにはオーディブルのアイコンが表示されているけれども、一度も使われることがないまま1ヶ月が過ぎた。
正直、思い出すこともなくなっていて99円はやはり捨て金。という具合になりかけていた。
なりかけてはいたけれど、一回くらいは試してみようと重い腰をあげた。いや、正確には重い指を動かした。。
お気に入りの本の中から一冊を選ぶ。
福に取り憑かれた男。
わたしはこの作品をビジネスのバイブルとして大事にしている。小説ではあるけれどビジネス書だと思っている。
本を読む前に、この作品の舞台を観に行っていた。舞台を観に行くことには慣れていなかったけれど、作品の内容に魅了されてしまった。
つぶれかけた本屋で働く主人公が、自身の店をなんとか軌道に乗せるべく葛藤したり苦悩したりする。それは実は福の神の仕業だったという事。福の神は人間に直接的な福を与えるのではなく福に導くための試練や出会いを与える。ある一人のキーマンとの出会いから本屋というビジネスを成功させていき、自分のやりたいことや自分の心に向き合う、そんな内容の小説だった。
何度も聴いて思い出したい内容のその本をオーディブルで聴く。何かに慣れるためや何かにチャレンジする時にグッとハードルを下げる事が大事で、この場合、本を読む(聴く)というより、オーディブルに慣れることが優先なので、好きな、一度読んだことのある、頭の中にスッと入ってくる、そんな内容の本を選ぶ事が最適だと思った。
最初はやはり慣れなかった。
私は家事をやっている時にオーディブルを利用していて、そういう時は大抵リビングに家族がいる。家族がいると個人的な音を出すと、テレビを観てる人、作業に集中している人に迷惑がかかる。オーディブルを利用する時はイヤホンが必須だ。
イヤホンから耳に直接聴こえる朗読に、耳の感覚(聴覚ではなく、耳の感覚)が嫌悪感を感じていた。
嫌悪感があったけれど、「これは慣れ。慣れるまで続けてみたらオーディブルと仲良くやっていけると思う。」と、なんとなくそんな気がしていた。
"福に取り憑かれた男"を聴き終えるころ、すっかりわたしは"慣れ"ていた。人間は大概のことに良くも悪くも"慣れる" 。
「違和感を我慢してまでやる事ない。」
こんなことを言う人もいるかもしれない。それもそうだ。だけどわたしはオーディブルに慣れてみたかったし使いこなせるようになってみたかったし。なにより、本が読みたかった。本に書かれているいろいろなことを自分に取り入れたかった。
そこからはサクサク読み(聴き)はじめた。夫に変化を起こした、"満月珈琲店の星読み"を、1冊目から聴きはじめた。全部中途半端に聴いた事があるシリーズは5冊もあった。
「つ、続けられるかな。。」
という不安はどこへやらで、わたしはあっという間に満月珈琲店シリーズを3日で聴き終えた。どのストーリーも印象深くて想像を掻き立てられ、スピリチュアルで啓発的。なにより、「本当にこの珈琲店がどこかにあるかも。わたしも出会いたい。」と思えるほどに物語に没入した。
夫との会話の種類も増えた。
「今、満月珈琲店のこの辺りを聴いてる。もう泣けて泣けて、、、」というわたしに、「あー、あれね。」と、ニコニコしている夫。
今までも、共通に好きなモノはあったけど、新たに本というジャンルでも共通に好きなモノができて楽しい気持ちになる。
本って素晴らしい。
本を読むって素晴らしい。
本の内容を知るって素晴らしい。
子供を持ち、家庭を持ち、仕事を持ち、いろいろ持ちはじめて、それはそれで素晴らしいのだけれど、本を読む事がなくなっていた。
人生三回目の本っていいな体験は、読むではなく聴く。テクノロジーがわたしに与えてくれた喜びだ。
こうして5,000文字を超えるnote.を書いているのも、オーディブルを人生に導入できたからだ。
満月珈琲店の星読みを読み終えて、今は"モモ"を読んでいる。
1970年代の児童文学で超有名な作品らしい。らしい、というのはわたしはモモをこの歳になるまで知らなかったから。周りの人たちがモモの話をするたびにちょっとだけ劣等感を感じていた。
「自分には教養がないから。」
と、卑屈な気持ちになる時もあったけど今はオーディブルがある。きっと活字で読んだら300年はかかるであろうボリュームと思うけど、1.5倍速で聴いていてあと3時間ほどで読み終わる。
倍速で聴いているのは急いでいるからというのではなく、そのスピードの方が心地よく聴こえるからだ。
そしてなんと、朗読しているその声が、"高山みなみ"様なのだ。
声優界の大スター、高山みなみ様がモモを朗読してくれている。登場人物ごとに声色を変え、演技も入れて読んでくれている。
モモに出てくる登場人物が、ある時は魔女宅のキキやウルスラに、ある時はコナン君に、はたまたムーミンに、らんま1/2のなぎさに聴こえたりして"エモいオブザイヤー"の鐘が鳴り響く。
オーディブルすごい。モモの情景が、高山みなみ様の声でありありと浮かんでくる。
わたしは今、物語を聴く事に夢中になっている。人生の楽しさをまた一つ知ってしまった。
本が読むのが苦手な私でも。
イヤホンで朗読が流れてくる事が苦手な私でも。
そもそも物語や小説に興味がなかった私でも。
モモが終わったら次は宮沢賢治を聴こうと思う。銀河鉄道の夜。私は読んだ事がない。みんなが知ってて私は知らない。教養がないから、、、と勝手に卑屈になっていた自分にサヨナラができそうだ。オーディブルならそんな事も叶えてくれそうだ。
私の人生は変わった。オーディブルを利用してさらに私の人生は楽しくなった。