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台風10号 不思議ちゃん知事 むきたて桃こすらない美容法 ガラクタの心

 台風で家にいる。

 テレビで動かない新幹線と動じない兵庫県知事を見る。新幹線が動かないのはJR職員さんの責任ではない。しかし彼らは「申し訳ありません」をくりかえし口にする。
 兵庫県知事はあるいは「たいへん動じている」のかもしれない。百条委員会はいわゆる「パワハラ行為」についての彼の考えをただそうとする。彼は加害者なのか当事者なのか、正当な施政者なのか、あるいはよくいる「不思議ちゃん」のひとりなのか。
 多くが彼の発言を注目している。

 昭和のころ、ある上司に「女は子宮でモノを考える」と言われたことがある。当時はポカンとやり過ごしたが、「女は子宮でものを考える」この言葉を結果的に私は40年近く忘れずに「とってある」。当時は「セクハラ」という言葉、あるいはその概念すら存在しなかった。
 私は「女は子宮でモノを考える」という迷言を細胞レベルで嫌悪している。

 朝の早い時間に1時間卓球のレッスンを受け、帰り、激しい雨に会いずぶ濡れとなった。本来なら卓球の練習試合に出かけ徹底的に負ける、という素敵なルーティンが待っているのだが、この台風だ、気が抜けた。
 
 ヒマになったので昨日ご近所さんに教わった「こすらない洗顔」をやってみる。

①まず手を洗う。
②両手のひらでクレンジング剤をなじませ、両手で肌を包むように押さえてながらメイクを落とす。このとき、ぜったいにこすらない。こするとぷっくらとした顔のキメが潰れてしまうからだそうです。
③専用の泡立てメッシュを熱いお湯で濡らし洗顔せっけんを両手で泡立て、もくもくの泡になるまでくしゅくしゅする、もっこりしたカタイ泡になったら泡を顔にのせ、じかに肌に手をふれずに泡をそっと動かすように洗顔する。手に力入れない、こすらない。
④両方の手のひらをお椀状にして低音のぬるま湯をため、顔にぬるま湯をかけるように石鹸を落とす。何度もお湯をかける。少しイライラするが、こすらない。
⑤洗顔後の肌は「むきたての桃」です。むきたての桃をゴシゴシしませんよね、なのでタオルは水分を吸い取るようにそっと顔に当てる、
この「むきたての桃」表現がたいへん気に入った。自分の肌を「むきたての桃」だと思えば、最大限の繊細さで扱おうとする。

 水分をぬぐった「むきたての桃」に化粧水をつける。両手で化粧水をなじませて顔を包むようにしてそっと肌を押さえる。おでこ、こめかみ、目元、頬、鼻筋、あご、口元、首まで。順にゆっくり優しく押さえていく。これを2回行う。つまり化粧水は2回に分けてつける。同じ作業を乳液使いでも行う。

 「肌がワントーン明るくなるから」
鏡の中の私の肌は、ご近所さんのマジックワードにすっかり誘導され、なんだかクリアになった。
 「ファンデーションは要らない。日焼け止めだけでいいんじゃない?」
 日焼け止めを2回に分けて顔になじませた。ナントカ成分の入った日焼け止め、パッケージにナントカプロテクトUVと書いてある。パール粒2個分で肌を護る。

 ファンデーションは要らない。たしかにファンデーションをつけない方が自然でみずみずしく見える。有頂天になって眉を作る。眉は明るい色の眉用マスカラで「つぶし」、その上に深みのあるブラウンシャドーを鋭角のブラシでのせる。チークは健康的を意識しオレンジ系、リップは2種類を重ねてつけた。

 洗顔からメーク完成までごキゲンでいられた。雨の中、外出したくなり、レインコートをかぶり近所のショッピングモールに出かけた。
 韓国製のリップ、マットなレッドの発色がチープで素敵、299円で売っていた。こういうのに心底弱い。

 むかしから「ガラクタ」が好きだ。「ガラクタ」が放つある種の猥雑さに惹かれる。
 こころは「一流」であれ?そんなの嘘だ。
 こころは「ガラクタ」の集積だ。

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